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氾濫と銃の力

初回なのでもう一話!!

よろしくお願いします!!

秋葉原の街に鳴り響く警報。

逃げ惑う人々。


「お、俺も逃げないと!!」


俺はとっさに戦うという選択肢を捨て、逃げることを選んだ。

氾濫がおきたのはDランクダンジョンである秋葉原第一ダンジョンだった。Eランク冒険者の俺にできることなど何もない。

おとなしくここから離れなければ命はない。


そう言い聞かせダンジョンの方角に背を向けようとした。その時だった。

見てしまった。

醜い姿をしたオークが一人の少女に襲い掛かる瞬間を。


「くっそ!!」


俺は少女のもとへと走り出していた。

迫りくるオークに震えながらもアサルトライフルらしき銃を向ける少女のもとへと。


(俺はなにしてるっ!?逃げると決めたじゃないかっ!!くそがくそがくそが!!!)


オークの討伐ランクはDランク。

Eランクの俺なんかが太刀打ちできる相手ではなかった。

わかっている。俺が行った所で無意味だと。それなのに意思とは真逆な行動をとる己の身体。


「どう……にでもなれええええ!!!!!!」


俺は覚悟を決めた。

どうやらオークは少女しか目に入っていない様子。

狙うなら今しかなかった。


『グオオォォォォ!!!』


俺は不意を突く形でオークの首にナイフを突き立てる…だが、首の筋肉が厚すぎた。俺のSTA値では致命傷すら与えることもできずに、オークの振り払った腕により吹き飛ばされる。


「痛っでぇ。くそ、俺の職業がもっとまともだったら」


またしても自分への悪態。

こんな死にそうな瞬間でも恐怖はなく、あるのは己への苛立ちだった。


「んなこと言ってる場合じゃねえ、オークを止めないと」


オークは俺を吹き飛ばしてすぐにターゲットを少女へと戻していた。

俺はとっさに武器になりそうなものを探す。

幸いなことに吹き飛ばされたのは防具屋だった。ナイフの一本くらいあるだろうと探す。


…そして見つけた。

しかし、それは俺が一切の期待も持っていない物だった。


武器を手に取り店を出るとオークは少女に拳を振り落とさんとしている瞬間だった。


「こっちを見ろ。筋肉だるま」


そう言って俺は拾った武器の引き金を引いた。


拾った武器は拳銃だった。

よりにもよって銃だった。

自分が呪いと呼び、忌み嫌っていた職業の十八番である武器だ。


(ダメージなんて与えなくていい。少女が逃げれる隙さえ作れればいいんだ)


そして、拳銃から放たれた弾丸はオークの背中へと着弾。


『グガアァァァアア!?!?!?』


着弾した弾丸はオークの分厚い皮膚を貫通し、内臓を破壊した。その証拠にオークの口からは血があふれている。


「き、きいてる!?な、なんで…まさか!!!」


そう。そのまさかだった。


自身の呪いだと思っていたユニーク職業の効果が拳銃を所持したことにより自身の枷を引きちぎったのだ。ダンジョン外でも職業やスキルの力は有効。今の今になるまで失念していたのだ。ダンジョン内でないならば銃を持つことによる恩恵が得られることを。

これにより、ユニーク職業【銃士】により銃弾には本来の威力にDEX値が加算され、さらにユニークスキル【銃術Lv.1】【現代兵器特化Lv.1】によるダメージ上昇により、威力は4倍となる。


その一撃はDランクの魔物に十分通用するほどであった。


オークは思いもよらぬ損傷をあたえた俺に怒りの表情を露わにする。

先ほどまでご執心であった少女には目をくれずに俺へと目標を定めた。


「そのまま死んでくれ」


俺は冷たい視線をオークに向け、引き金を引いた。

狙うは頭。どんな生き物でも脳を破壊すればしに至る。そう信じて。

だが……。


『カチッ』


玉切れだった。

あろうことか拾った銃には一発しか弾丸は込められていなかったのだ。


「これだから銃は!!!!」


俺の動揺が伝わったのだろう。

オークはニヤリと笑い俺へと跳躍した。


まずいと思いとっさにオークの攻撃を躱す。


「は?」


簡単に言ったが、俺がオークの攻撃を躱すなど本来は不可能なはずなのだ。

だが躱せた。


「銃持っただけでこんなに変わんのかよ。俺」


右手に銃が握られていることによる身体能力のDEX値依存化に加え、制限されていたAGIの解放による脳処理力の倍化。

それにより俺はぎりぎりでオークへのスピードに対応できる身体能力を身に着けていたのだ。

だが、攻撃手段がない。

いくら身体能力がDEX値依存とはいえLv.5である。俺のDEX値が伸びやすいとは言え、素手でダメージを与えれるほどの値には達していなかったのだ。

現にオークの猛攻は絶え間なく続いていおり躱すのがやっと。しかも、これも長くはもたない。体力の限界が近かった。


(少女は逃げれただろうか)


そう思い、少女がいた場所に目をやる。


「ッ!!!!」


逃げていなかった。

その場で立ち尽くし俺とオークの攻防に目を奪われているのか動く様子はない。

何故?...かはどうでもいい。

だが、俺はそこに勝機を見出した。


俺はオークの攻撃を躱すに躱す。

そして、機は熟した。

攻撃を躱し続ける俺への怒りが最頂点に達したのか、これで決めるといわんばかりの大振り。


「この隙を待ってたぞ豚野郎!!」


そう言い放ち、少女の立ち尽くす方向へと跳躍した。

そして少女の持つそれを拝借する。


「ごめん。きちんと返すから」

「わかった」


そんなやり取りもつかの間、俺はオークへと向き直る。


「お前にはハチの巣がお似合いだ」


そう言い、少女の持っていたアサルトライフルをオークに向け、引き金を引いた。


荒れ狂う弾丸の雨に空の薬莢が地面に落ちる音。

今ではそのすべてが心地が良い。今まで使ってきたどの武器よりもしっくりくる。


今でも思い出せる。

初めて銃を持ってダンジョンに向かったあの日のことを。

ユニーク職業である俺なら持ち込めるはずと信じていたあの日のことを。

だが、その期待が裏切られたあの日のことを。

世界で一番嫌いなものが銃になったあの日のことを。


だけど、なんでだろうか。

実際使ってみるとこれしかないと思わされる。

俺の武器はこれしかないと。


……探してみようダンジョンに持っていける銃を。

まずはそこからだ。


そう感傷に浸っている間にオークは息絶えた。


俺は思いもしなかった。

この機を境に停滞していた物語が急速に進み始めたことを。

オークの適正討伐レベルはLv.25ほどですが生命力と腕力が強くスピードは大したことありません。

主人公のDEXは普通の戦闘職冒険者の3倍ほどあり、Lv.15相当、AGIも2倍ほどの数値のため躱すことだけなら可能であったという結果になりました。


読んでいただきありがとうございます!!

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