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外伝〜《勇者(偽)と勇者(真)その1》出会い〜

お久しぶりです。ようやく一話が書けましたので投稿します。本当に遅筆で申し訳ありません。


ただの村人である俺が、勇者の代わりとなって半年が過ぎた。何故かはいまだに不明だが、俺は勇者の聖武器、聖武具を見に纏い、魔王軍の侵攻を抑えた。

それどころか、弱った魔王軍にこちらから侵略を仕掛け、無事魔王を倒したのだった。


今行われているのは魔王を倒した俺、勇者と『聖域(サンクチュアリ)十二騎士(トゥエニナイツ)』の12人、騎士長の8人、そして生きて帰ってきた兵士たちの凱旋パレードだ。


「勇者様ーーーっ!」


「魔王を倒してくれてありがとうーーーっ!」


「私たちの希望っ! 我らの英雄ーーーっ!」


「勇者様、私を抱いてーーーっ!」


民衆から放たれる様々な称賛。それが命がけで戦い抜いた俺たちに向けられる。

本当の勇者じゃないのにそう言われるのは複雑だが、魔王を倒したのは本当なので、称賛の声は素直に気持ちが良いな。

あと最後の人、夜になったらお城に来い。俺が歓迎してやるよ、ベッドの上でな! ヒャッハーーーっ!


ボカン!


「っ! ……アリア、なにをする?」

《意訳》痛いですよ! なんで殴ったんですかアリアさん!?


「いえ、ちょっと虫がついておりましたので。別に叩きたかったわけではありません」


やっぱり俺の頭を叩きたかったんじゃねぇか!


「あら〜、そこの2人、私を置いてイチャイチャしないの!」


「失せろ」

《意訳》いぎゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ!? 来るな来るな来るなぁぁぁぁぁっ! おーかーさーれーるぅぅぅぅぅっ!!! あ、性別的にはそれやるの俺だわ。


ヘルティスが近づいてきたが、いつも通りすぐに逃げたので追いつかれない。

これが普段なら俺は速攻で捕まっていることだろう。寝る時も装備を外すかどうか迷ったぐらいだしな。ちなみに付けて寝ているぞ。


「おい、知ってるか。勇者様ってあぁ見えてロリコンらしいぞ」


「え、まじかよ。尊敬して損した」


一部の人間、凱旋に来ていた男の一部からそんな声が漏れ出ているのが聞こえた。

それに感化されて周りの女性陣の目が変わっていくのが分かった。


……って、うぉーーーいっ!?!?!? なに言ってくれちゃってのぉぉぉ!?!?!?誰がロリコンだっ!!! 俺はアリアさんみたいな巨乳がーー。


「目を潰されたくなければ今すぐその目を閉じろ」


「はい」


アリアさんの胸を見ながら心の中でそう思ってたら殺されそうだったんでやめた。

……でもそれじゃあ俺がロリコン扱いされるじゃないかぁぁぁ!!!

勇者がロリコン扱いはまずいだろう。そう、俺がアリアさんの胸を見るこの行動は仕方がな……ごめんなさいだからその剣をこっちに向けるのをやめてくださいすみませんでしたぁぁぁぁぁっ!!!


「勇者様!」


幼い子供の声と共に近寄ってくる1人の幼女がいた。年は6歳児ぐらいだろうか。


「えっと、あのね。私たちの村を救ってくれて、ありがと〜」


その幼女は笑顔を浮かべながらお礼を言った。


「勇者として当然のことをしたまでだ。礼を言う必要などない。……だが、どういたしまして……だな」


幼女の頭を撫でながら俺はそう言った。


「ほ〜ら、やっぱりロリコンなのよ」


「最低……!」


ちょっと待ってそこのお姉さんたちぃぃぃっ!? 俺はロリコンじゃありませんからぁぁぁっ!!! ただの村人、モブですからぁぁぁっ!!!


こうして、一部の人間に勇者は公認的にロリコンと呼ばれることとなった。


***


「ゆ、勇者様、長旅お疲れ様でした。まずは、わ……私のお部屋に案内をーー」


「しませんよエミーリオお嬢様、勇者様はこれから陛下に謁見するのです」


俺たちを城の前で出迎えてくれたエミーリオの誘いを(アリアさんが無理やり)断る。本音を言えば、俺はそっちに行きたかった。


「ロリティーブ」


「モルティーブです!」


だからロリコンじゃないって!!!!! 何回言わせれば気が済むんだこの人!!!


その後王様の元へと案内される。今は俺と王様の2人しかいないので、口調はいつもの勇者ブシではなく、村人にとってできるだけ丁寧な言葉を選んでいる。


「……よく帰ってきたな、勇者よ。魔王を倒してくれたことは感謝する」


王様は一言目にそう口を開いた。ちなみに最近王様の裏が読めるようになってきた。

今回は『お前の功績は魔王を倒したことだけだ。どうせなら相打ちにでもなれば良かったのに』と言っているぞ。

エミーリオと仲が良いのが気に入らないらしい。普通、自分の娘と対等な友達ができて嬉しいはずなんだが……。


「はい。それで、私は今後どうすればいいのしょうか? 村に帰ることはできますでしょうか?」


俺は王に今後の身の振り方を尋ねる。個人的には村に帰ってのんびりと暮らしたいんだけどなぁ……。


「……ふむ、そうじゃのう……。勇者は向こうの世界に帰っていったということにしよう。そしてお主はもう用済みじゃな。村に帰って勇者となったことを生涯漏らさずに細々と生きておれ。口封じ金は渡しておく」


よし、村に帰れるぞ! アリアさんとエミーリオ……あとは一応ヘルティスにもお礼を言って別れるか。

エミーリオには異世界に帰るって言えば良いだろう。二度と会えなくなるのは残念だけど……。はっ! 王様、もしかしてこのことを見越して!!!

王様を見ると、こちらの方を見ながらニヤニヤとしていた! やっぱりか!!! くそっ!!! なんか嵌められた感があって腹が立つ!!!


「……了解です。では3日後でよろしいですか?」


「今すぐでも良いが……それではエミーリオが可哀想じゃの。仕方がない、3日待とう」


あくまでエミーリオのため。俺は可哀想じゃないの!? ……なんだよ、金もらえるか文句ないだろって? いや、対して無いけどさ!!!


こうして、俺はみんなとのお別れする時間まで、残り3日になった。


***


俺はとりあえず城下町に出る。戦いで王都を楽しむ時間も無かったからな。

と言ってもこのままでは騒ぎになって疲れるし、聖武具に付けられた特殊効果《隠密(インビジブル)》を使って街に出る。

これは自分が他人から見て透明に見えるようになる特殊効果だ。


文字通り、魔王軍への奇襲なんかしやすかったなぁ。ついでにアリアさんの露天風呂に突入したんだけど、犯罪行為やモラルを欠く行為をした場合、強制解除されると言うデメリット(これのせいで使う意味ほぼ無くなった)がある。

さすがは聖武具の特殊効果だ。こんな恐ろしい罠が仕掛けられているとは……!

それにしても、まったく、なんて汎用性の低い特殊効果なんだ! なんて思っていたが、こう言う時には役立つんだな。


歩く人々をスイスイと避けながら散策をする。これぞ陰キャだけが極めし技術『隠密歩行(インビジブルウォーク)』!

さてさて、行く場所は決めている。無駄に歩き回るなんて愚行は起こさないからな。


俺が行きたい場所は決まっている。俺が一番言ってみたい場所は夜の街だ。ここ半年間、エミーリオがほぼ毎日、たま〜にアリアさんも俺の部屋に来るんだよな。

おかげで俺のリビドーは溜まりに溜まりまくっているんだ。このままじゃいずれどちらかを襲いかねない。襲った場合、アリアさんには物理的に殺され、エミーリオには社会的に殺される。

それを考えるだけなんとか抑えていたのだが……もう正直無理だ。


でも、そこに行くのは今日の夜。今回行きたい場所は違う。村のみんなにお土産を買うのが目的だ。幸い報奨金は受け取っているので、それを使おう。


あらかじめ決めておいた店に入るとフードを深くかぶった男性がいた。

そいつが店の店員と何かしらを話しており、今その交渉が失敗した事が分かる。

そのままこちらに向かって全力ダッシュで走ってきて……あ、待って速いこの人! 避けられーー。


ドンっ!


俺はその男の人にぶつかってしまった。向こうはいきなり何もない場所でぶつかった事で目を白黒させている。

だが、俺はそれよりも魔王軍と戦ってきた勇者(偽)として、一般人の突撃すら避けれなかったことにショックを抱いた。故に俺は気付いていなかった。


「えぇ! あれ、ゆ、勇者様なんじゃない!?」


「本当だ!? 勇者様だ!」


そんな声が聞こえた。まずい! さっきのぶつかりで《隠密》が解けたか!? だが、それは間違いだった。

だって目の前のフードをとった男性の顔が、あまりに俺と同じだったのだから。


「いてて……ってまず!」


その男はフードを深く被り、全速力で何処かへと消えていった。

俺はそれをポカンと見つめていたが、後からハッ! と気がついた。


……あれ、本物の勇者じゃね? と。

もし面白いと思っていただけたなら、下にある星のアイコンの一番右を、一回だけタップしてくれるとありがたいです。


もう一つの長期連載作品である


『目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜』(全145部、幕章2部、設定集などなど3部の合計150部で本編完結済み、番外編投稿中)


『普通を求めて転生したら、剣の勇者の息子で杖の勇者になっちゃった〜剣技と魔法で最強〜』(連載中)


もよろしくお願いします。

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