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少年

 

 心から願った。何度も願った。夢の中でも願ったのを、今でも鮮明に覚えている。それは魂の叫びだった。


「助けて。見捨てないで。」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 少年は孤独だった。物理的にという意味ではなく、精神的にという意味で。少年の周りには、確かに多くの人間がいるのに、その誰もが少年の事を理解してくれていない。故に孤独。

 

  周囲の人間達は、まるでその分野の権威の如く、「少年について、既に(つぶさ)に理解しきっている。」と思い込んでいるのだ。しかし、本当に理解している者は1人もいない。これは少年に原因がある。


 少年は嘘つきだった。誰にも悟らせなかった。自分は陽気なおバカさんだと偽り、周囲にそのイメージを思い込ませることに成功したのだ。


 だが実際はその逆。少年は陰鬱な性格だった。劣等感や猜疑心(さいぎしん)の塊だった。人を信じるということが苦手だった。嫌われないように、人の顔色を窺うことが癖になっていた。

 

  そして、周囲のご機嫌をとることで、自分は人気者であると錯覚し、孤独を紛らわせようと必死に努力した。そしてその度に、やはり自分は理解してもらえてないと再認識しては、悲しくなるのであった。


 〝拭いきれない孤独〟を紛らわせるために、人を騙し、その結果、やはり自らが〝孤独〟であることを改めて自覚するという。嗚呼、なんて……なんて無様で皮肉なことでしょう……。



 少年は貧しかった。これまた物理的にという意味ではなく、精神的にという意味で。そこそこ裕福な家庭で生まれ育った。もしかしたら小金持ちだったのかもしれない。今まで不自由なことは、あまりなかったように思われる。


  だが、心の豊かさまでは手に入れることは叶わなかった。


 例え美味しいはずのご馳走を食べたとしても、何一つ味を感じない。例え、色鮮やかなはずの光景を目にしたとしても、少年の目には淡く霞んでモノクロに見える。もはや何一つわからない。心が死んでしまっているのだ。


 少年の心模様を形容するならば、〝白紙〟とでも言おうか。それはあまりにも味気なく、虚しくて、寂し過ぎるものであった。



 さて、何故少年はこのように育ったのか。少年に栄光の明日は訪れるのか。その答えをこれから読者のあなたと一緒に見届けてもらいたい。


 さぁ、ダークサイドへようこそ。



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