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決戦1日前(少しだけ2日前)

おはようございます。

第99話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

楽しんで頂けたら幸いです。

急に寒くなりましたが皆様も体調崩さぬようにお気を付けください。



「ふぅ~」


 確認していた資料を借りている部屋の机の上に置き背もたれに背を預け一息つきながら唐突に休みになった明日の事を考えて頭を悩ませる。

 狗神君達と別れ、お風呂に行ってそこでお風呂に住む魔物(湊瀬さん達)に戦闘服を届けそのままお風呂に引きずり込まれそうになるのを何とか回避してフェル達と明日の事について話をしようとした時にフェルとオウルから一方的に休みにされてしまったのだ。


『お前、明日休みな』

『何で心配そうな顔をしている?俺達だけじゃ不安だと言いたいのか?甞めるなこれでもお前より長く魔王をやっているんだぞ。戦の最終確認ぐらいお前が居なくても大丈夫だ。勇者達はお前とほぼ同い年だろ友好でも深めていろ』

『大体、お前は明後日ネージュに乗って最前線で飛び回るんだろ?なら休める時に休んどけ‼』


 唐突にその時の会話の一部を思い出し何とも言えない気持ちになる。

 まぁ、同い年ぐらいと言っても私には実質前世の白の時の記憶やなんかが有るので精神的には前世+今世で3(ピー)歳なので同い年と言ってはいけないと思うのだが・・・

 そんな事を考えていると何だか微妙に悲しくなってくる。


「・・・寝よう・・・」


 何だか考えるのが面倒くさくなり、チェックを終えた必要物品のリスト等を片して先にベッドで寝ているネージュの横に潜り込んだ。


「あるじー‼おはよう‼きょうおやすみだよね?おでかけしよ~、おーきーてー‼‼‼」


 眠りについてから少しして小さな衝撃と共に元気に私を起こすネージュの声が聞こえて来る。


「ネージュ・・・おはよう・・・起きるから上から降りてくれる・・・?」


 ネージュに挨拶しながら上から退かし、私はもそもそとベッドから出てから身支度を整える。


「ネージュ、おいで」


 近くでワクワクと落ち着きなくしているネージュを抱き上げ、まず朝食を摂りに行くために扉を開き思わず目を丸くしてしまう。


「「「コハクちゃん。おーはーよー‼」」」


 扉を開けると昨日、私をお風呂に引きずり込もうとした三人(リル達)が笑顔で扉の目で立っている。

 よく見ると湊瀬さんと早乙女さんは昨日渡した戦闘服に身を包んでいる。

 ちなみに勇者の戦闘服は皆、紺色で統一されている。

 湊瀬さん達の私への態度は一応、同い年という事でリルと同じフランクな物に決定したようだ。


「今日お休みになったんだよね?一緒に街に行こう」


 ネージュを抱っこしたまま面喰っているとリルが代表して訪問の理由を言って来る。

 まぁ、私が休みになったと言うのは昨日フェル達が言っていたので皆が知っているのだがまさかこんな朝早くに誘われるとは思っていなかった・・・


「リル、湊瀬さん、早乙女さん。おはよう。もう街に行くの?」

「おはよー‼」


 私の後にネージュも小さな手を元気よく上げて皆に挨拶をする。


「おはよう。ネージュちゃん。うん、朝食は街で出ている屋台で済ませようと思うんだけどどうかな?」

「わかった。大丈夫だよ。ネージュもそれで良い?」

「良い‼おにく~‼」


 リルの言葉に頷き私は外套を羽織って、外で待っているという狗神君達と合流する為に三人に着いて行く。

 湊瀬さん達と同じ様に昨日渡した戦闘服を身に着けた狗神君達とマカさんと共に私は街へと繰り出した。



「おぉ~、一ヶ月前に来た時はあんまりゆっくり見れなかったけど色々と面白い物が有るんだなぁ・・・あ、美術館だ」

「暁の国より薬屋が多いな。やっぱり国の名産品だからか?」

「名産品ですから当たり前ですけど人間領で見るよりはるかに安いですね・・・」

「冒険者も多いですねぇ。あ、冒険者ギルドですよ」

「宝石店とかも有るんですねぇ~」

「あれ鞄かな?訳の分からない物も沢山あるよ?」

「あ、リコリス商会だ~」


 そんな事を話しながら皆口々に街を眺め楽しんでいる。

 順番は狗神君、乾君、山辺君、マカさん、早乙女さん、湊瀬さん、リルの順だ。

 各々の手にはホットドック、焼きそば(もどき)とフランクフルト、タコ焼き(もどき)、お好み焼き、サンドイッチと屋台で買った食べ物が握られている。

 そんな事を思っている私の手にもホットドックが握られ、抱っこしているネージュは

 肉串を三本持って齧っている。


「この国って結局ポーションが名産品なの?」


 ホットドックを齧りながら狗神君は何となく気になったのか私にそんな質問をして来る。

 さっきから建物とか観光名所について皆から説明を求められるけど今日の私はナビですかそうですか・・・


「うん、今はポーションが名産品に為っているね。オウルが魔王になる前は宝石の輸出が盛んだったみたいだけど資源には限りが有るからね。早々にポーションにシフトさせたらしいよ。まぁ、オウルの目的の第一段階みたいだけどね」

「第一段階?」

「あれの最終目標はよくあるエリクサーの生成だよ。今もその研究に没頭しているみたいだけど失敗作と評する試作品の4本が出来ただけであまり芳しくないみたいだね」


 まぁ、貰った2本の内1本を使った事が有るけど失敗と評しているエリクサーモドキは想像以上の回復力で瀕死の人間を一本で全快させるとんでもない品物だったのだがオウル曰く何かが違うらしい。詳しく教えてくれないのでどう違うのかも分からない。

 残念な事に私の眼で見て見てもエリクサーモドキの名称はエリクサー(エリクサーの)イミテーション(紛い物)だった。


「結局、試作品も4本だけしか成功していないし、この戦いに間に合わなかった事を悔やんでいたよ。まぁ、要するに今のポーションはオウルが実験の為に作ったのが始まりって事だね」


 さて、大体の説明はこんな物かな?私の説明で通じただろうか?まぁ、私も白夜の国の状態はそこまで詳しく説明できないのでこれ以上聞かれても分からない事も多いのだが・・・


「なあ‼やっぱり俺達も明日の戦いに参加させてくれるようにギルドから白夜の国の人達に頼んでくれよ‼この国には色々と世話になったんだ。帰国命令が出ているからって素直に帰れねえよ‼」

「この国の薬に仲間が救われたんだ。恩を返す為に一考願えないかと聞いてくれ」


 皆にこの国のポーション開発の経緯やオウルの目標を話していると唐突に冒険者ギルドの方から大きな声が聞こえて来る。

 見るとギルドの閉鎖のお知らせを張っていた職員に数名の冒険者が何やらお願いをしてもめているらしい。

 まぁ、険悪な感じではなく懇願に近い感じなので大きなトラブルにはならないだろうけどまだ帰国していないって言うのが問題だ。


「誠に申し訳ありませんが冒険者の参加拒否は白夜の魔王様直々の要請なので我々ではどうしようもないのです。それよりも自身の身を護るために早く帰国する様にとのお達しですので急いでください。今日中にこの国から出なければ重い罰に処すとの事です・・・我々も今から帰国するところなのです」

「「そんな‼‼」」


 職員の言葉に尚も食いつこうとする冒険者に溜息を吐きネージュを狗神君に預けて近寄る。

 白夜の国を心配してくれるのは嬉しいがこのままだと無理矢理残りかねないし、ギルド職員の言い方だと厚意を無碍にしたとオウルに悪い印象を持たれそうなのでさっさと仲裁して避難させるか・・・


「あの、すみません。少し良いですか?」

「あ、なんだよ今取りこみ・・・銀姫?」

「えっと・・・何の御用でしょう?」


 私の声に冒険者達とギルド職員が驚いた顔をしていきなり敬語になる。

 てか、その二つ名こっちでも使われてるんかい


「白夜の国の発表に文句が有るみたいですけど、どうしようもない事なんですよ・・・白夜の魔王の言い方も悪いのですが皆さんの為を思って言っているんです。死ぬかもしれない戦いに巻き込んでしまうのはとても心苦しい上にやっと友好関係を築けた人達には生きていて貰いたいという配慮なんです。それに今回は暁と黄昏の軍も動いています。それなら少しでも生きて友好を続けて行きたいと思っているんですよ」

「何であんたはそんな事を知っているんだ?」


 私の言葉を聞き疑問に思ったのか冒険者の一人がそんなことを聞いて来る。


「実は私も直談判に行った一人で直接お話を聞いたんです。仕方ないので今回は素直に引き下がる事にしました。ですから皆さんも悔しいでしょうけど従ってあげてください」


 はい、嘘です。私は明日、最前線で戦いますしオウルに直談判なんてしていません。ただ、話した内容自体は本当で前にオウルから聞いたものだ。嘘も方便だ。

 私の話を聞き冒険者達はまだ納得できないながらも引き下がってくれた。一応エメラルドクラスの私も断られたのなら仕方がないとの事、こういう時に実力を示す冒険者表は役に立つ。

 その後はギルド職員と別れ、皆の元に戻り街をブラブラと散策して乾君と約束したネージュに乗せるという約束を(山辺君や意外にも湊瀬さん達にも好評だった)果たすと結構良い時間に為ってしまい白夜の城に皆で戻る事になった。


「あ、そうだ。明日、指揮官に配るものだけど皆には先に渡しておくね」


 帰る少し前に私はアイテムボックスから人数分の小箱を取り出すと全員に渡していく。

 皆、頭に?を浮かべながら受け取り中身を確認する。


「コハクこれは?」


 箱の中身を見た狗神君が皆を代表して聞いて来る。

 小箱の中身は昨日やっと完成して国から送られてきた蒼い石の嵌ったイヤリング型の通信機だ。ギリギリだったけど完成して良かった。


「小型の通信機だよ。戦いになったらこれで連絡を取り合おう。それぞれに決まった波長が有るからそれに合わせる様に魔力を流すとその相手に繋がるようになっているんだ。混戦も予想されるから有った方が便利なんだよ」


 そんな事を説明しながら城に戻り全員に使い方を説明し決戦の前夜は明けて行った。



「諸君‼本日は集まってくれたことに感謝する。今、我が国は我々が経験した事の無い未曾有の危機に陥っている。国を守る為に集まってくれた諸君には感謝しかない‼また、援軍として駆け付けてくれた暁と黄昏の者達にも深く感謝する。この戦いは恐らく予想の出来ない物になるだろう。だが、俺達は勝たねばならない‼守らねばならない‼だから皆、俺に力を貸してくれ‼そして死ぬな‼第三の厄災を退けまた皆で笑い合おう‼出陣‼」


 翌朝早く。転移装置前にてオウル(人型)の演説を聞き、ついに第三の厄災との戦いが始まったのだった。



次回は戦闘になります。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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