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女神の忠告

おはようございます。第97話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

最近急に寒くなりましたが皆様も体調にお気を付けください。

楽しんで頂けたら幸いです。

「メイド長‼魔王様を確保しました‼」


 私を押さえつけている人物の一人、私の専属のメイドであるリューンが声を張り上げ近くまで来たメイド長に報告をする。


「すぐにカーテンを引いて‼服をひっぺがして傷の確認‼」

「「「はい‼」」」


 その言葉に私を取り押さえている以外のメイド達が私の周りにカーテンを引き、周りから見えなくしてから私の衣服を脱がしだす。


「ちょっ‼何するの⁉」


 私の抗議の声を無視しカーテン内のメイド達は私の体を確認し、カーテンの外に居るメイド長に報告する。


「左肩に新たな刺し傷有り、治療痕も有ります」

「左手の傷は傷痕が開いたみたいです‼」

「他は新たに負った傷などは見当たりません‼」


 その言葉と同時にこれまた見事な手際で私に何時もの私服のワンピースを着せると拘束を解きカーテンを片付け、私達に一礼して城の奥に引っ込んでいく。


「お帰りなさいませ。魔王様、御無事に帰還されて何よりです。まぁ、傷は増えてしまったみたいでございますけど・・・」


 メイド長が最後の方は些か非難するような口調で出迎えてくれる。

 私は立ち上がりながら服装を整え、口を開く。


「ただいまメイド長、傷の確認ならこんなに人が多い所でやらなくても良いでしょう?一応私も女なのだけれど・・・」


 後ろの方で狗神君とリルから「いや、一応じゃないでしょう‼」というツッコミを貰ったが無視してメイド長を見るとニコリと笑いながら口を開く。


「だって魔王様はすぐに傷を確認しないと傷を魔法で隠してしまいますでしょう?同じ手はもう喰らいませんわ」

「あはははは・・・・」


 綺麗な笑顔の目の奥に怒りをにじませながらメイド長は話す。

 あ、やばいこれメイ怒長だ・・・過去に実際に傷を隠した事が有るから否定できない・・・


「まぁ、多少の傷はございましたが魔王様がご無事でほんっっっっっっっっっっっっとうに良かったです」

「魔王様、お帰りなさいませ」


 メイド長がたっぷりと間を持たせてお小言モードに入ろうとした所で漸くメルビスとクロノスが部屋に入って来る。

 助かった・・・心配かけて申し訳ないと思うけど今、叱られるのは体調的にも少し辛い・・・


「ただいま、メルビス、クロノス。メイド長、お叱りは後で受けるからまずは皆を部屋に案内してあげてくれるかな?メルビス、一か月後に厄災が白夜の国に出る。それまでに少しでも生き残れる確率を上げる為にレクセウス、デクリノミアに狗神君やリル達の訓練をして貰う様に言ってくれる?武器は、光の勇者の狗神和登君が剣、暁の勇者の乾優君が鎌、白夜の勇者の山辺戌夜君が槍、風の勇者の湊瀬夢菜さんが弓、水の勇者の早乙女光さんが突剣(レイピア)、リルとマカさんとマカさんは魔法がメインだからデクリノミアに相談をしてくれる。あと、今日はもう皆に休んでもらって明日にでも皆に彼等の紹介をしてあげて」


 私は矢継ぎ早に集まった皆に指示を出し、メルビス達は一礼して行動を起こした。

 皆と別れ私は多少、ふらつきながら自分の部屋に戻る。正直、魔族領に戻って来てから気が抜けたのか今日は朝から体調が悪い。はっきり言ってもう限界・・・多分この調子だと体調が悪い時恒例のアレも来るだろう・・・メイド長達が私服に着替えさせてくれていて良かった・・・多分、何時もの事だから読んでたのかな・・・

 そんな事を考えながら私は部屋のベッドに倒れ込む。ネージュはメイド長に付いて行ったのでしばらくは戻って来ないだろう・・・

 最後にそんな事を考えながら私は意識を手放す。結局、私はこの後3日間熱を出し寝込んだ。




 意識を手放し、少しして私は見たことのある真っ白な世界に一人で立っている。最初に見た時はまた死んだかと思い不安に為った物だ。

 内心であぁ、やっぱりなぁっと思いながら何で毎回、体調の悪い時なんだと溜息を吐く。


「溜息ばかり吐いていると幸せが逃げちゃうよ~(・ω・)」


 今この状況に為っている元凶が脇から顔を出し何時もの気の抜けたような喋りで話しかけて来る。

 まぁ、丁度良かったか・・・私も聞きたい事が有ったしね。


「溜息の原因の一つが何を言うのか・・・久しぶりだね。レスナ、どうでも良いけど何で私の体調が悪い時にばかり出て来るの?」


 とりあえず目の前で呑気な顔をしているレスナに挨拶ついでに疑問をぶつける。


「う~ん。それは、たまたま貴女に与えた神託スキルが貴女と相性が悪くて現実の肉体がすこぶる体調が悪くて深い眠りについている時じゃないとこちらに繋がらないと言うだけよ。いや~、盲点だったわぁ~。まさか相性の善し悪しが有るとは(-ω-;)」


 殴ったろうかこの駄女神・・・

 てか、レスナもスキルに相性が有るって知らなかったんかい‼


「言いたい事もこの握りしめた拳もとりあえず今は置いといてもう一つ聞きたい事が有るんだけど」

「ほいほい、なんぞや(。´・ω・)?」


 この状態って基本的には神託というより分からない事を私が聞く会に為ってるんだよなぁ・・・などと思いつつ私は女神の贈り物と勇者武器の間に起った事に対しての質問をする。


「レスナ、狗神君達とフルニカ王国に行った時にそこの選定勇者の女神の贈り物を狗神君の剣が吸収するという現象が起きたけどどういう事なのか教えて貰える?」

「あぁ、あれね。破壊された時に近くに聖武器が有ればソレに吸収統合されるようにしてあるんだよ。そうか・・・アンシャルは本来の用途として使用されたんだね」


 レスナのその言葉に私は眉をしかめてしまう。


「貴女達が女神の贈り物と呼んでいる武器は回を追うごとに強化されて行く厄災に対抗するために勇者の武器を強化する目的で作った物なの。まぁ、武器としても優秀だからそれを人に持たせて使うのも間違いでは無いのだけどね」

「武器の選んだ人間に問題が有り過ぎるでしょう・・・それで?今回、私がここに連れてこられた理由は何?」


 レスナの話に納得し、私がここに呼ばれた理由を尋ねる。

 まぁ、あまりにもひどい人間の手に渡っていたらその都度奪えばいいか・・・ティアマトもいつか手放さなければいけないかもなぁ・・・


「まぁ、ソレは武器に任せているから┐(´∀`)┌。で、貴女を今日ここに呼んだ理由だけどちょっとした忠告をする為に呼んだの」

「忠告?」

「うん、多分、厄災達は今回の襲撃でこの世界を終わらせるつもりなの」

「今までが本気じゃなかったって事?」


 私の言葉をレスナは首を振って否定する。


「ううん。今までも本気だったけど今回は人間と魔族の結束が悪かったりしていてあいつ等はそこをチャンスだと思っているわ」


 そこまで言った所で唐突に私の意識が薄れ始め床に膝をつく。毎回の事だがここから現実に戻る時の合図の様な物だ。


「最後にもう一つ‼私達(女神)でも把握できていない何かが暗躍しているわ‼コハク‼気を付けて‼お願いだから――――」


 いつも私と話す時の様に掴みどころのない感じから何故か泣きそうな顔のレスナの最後の言葉を私は聞き取ることが出来なかった。

 少しして意識が覚醒すると体には未だに倦怠感が残っている。服を見ると寝間着に使っているワンピースに代わっていたので恐らくメイド長かリューンが着替えさせてくれたのだろう。

 そんな事を考えていると部屋のドアがノックされた。


「どうぞ・・・」


 メイド長かリューンだと思い入室を促すとドアが開き、水の入った容器とお椀やレンゲが乗ったお盆を持ったリューンと土鍋が乗ったお盆を持った狗神君が遠慮気味に中に入って来た。

 なぜ狗神君がお盆を持ってここに?


「あ、魔王様。丁度起きられたみたいですね。流石、メイド長です。水とお食事をお持ちしましたよ」


 リューンの言葉に今更ながら喉が渇いている事に気付く。ついでにお腹も減っているみたいだ・・・


「ありがとう。それで私はどれぐらい寝てた?」

「今日を含めて3日です。まだ体調が悪そうですので食事を済ませたらそのまま寝てください。もし、出て来たら皆で縛りつけますからね」

「病人に優しくないなぁ・・・あと、なんで狗神君にお盆持たせているの?」

「魔王様が無理をするからです。イヌガミ様は魔王様に用事が有るようだったのでついでに重い物を持ってもらいました。立っている者は勇者でも使えです」


 その言葉に私と狗神君は苦笑を浮かべてしまう。そうこうしている内にリューンはテキパキと手際よく机をベッドの近くまで持って来て食事を摂れる準備を進めてくれる。


「イヌガミ様、ありがとうございました」


 そう言いながら狗神君からお盆を受け取りテーブルに置いて土鍋の蓋を開くと味噌の香りが鼻をくすぐる。

 土鍋の中を見ると味噌仕立てのおじやだった。


「食べきれなければ残してください。では、私は外で待機していますのでお話等が終わったらお呼びください」


 リューンはそう言って私の向かい側に椅子を用意して狗神君に一礼して部屋から出て行く。

 私はお椀におじやを二人分取り分け狗神君に椅子をすすめる。お椀が二人分という事はこれで正解だろう。

 グラスの水でとりあえず喉を潤しながらどこか遠慮気味の狗神君が席に着くのを確認し、一緒にいただきますと言いながら食事を摂る。

 うん、美味しい。やっぱりアライさんと一緒に味噌を作って良かった・・・


「・・・これ、匂いでも思っていたけど味噌ベースなんだな。この世界にも味噌が有るんだ・・・」


 狗神君も懐かしそうにおじやを口に運ぶ。


「あぁ、この味噌は私と暁の国のアライさんと一緒に作ったんだよ。憶えてる?アライグマの姿でメイド服を着ていた人だよ」

「あぁ、あの人か・・・なんでアライグマの姿のままなんだ?」

「彼女・・・って言うと怒られるけど彼女も転生者で元男性なんだよ。未だに性転換してしまった事を受け入れないで人の姿にはなかなかならないんだよ。人の姿は結構可愛いんだけどね。大豆やなんかはフェルが転生特典で要求した物らしいんだよね。米とかも有るよ」

「なんだかなぁ・・・」


 狗神君は何故か遠い目をしたままおじやを口に運んでいた。

 暫く二人で黙々と匙を動かし、少しお腹が落ち着いてきたので狗神君にここに来た理由を聞こうと口を開く。


「えっと・・・今更だけど元気にしてる?何か困った事でもあった?」

「うん。大丈夫。俺達は元気だよ。皆、良くしてくれているし特に困った事も無いよ」

「うん?じゃあ、どうしたの?」

「いや、単純にコハクが大丈夫かと思ってリューンさんに聞いてみたらここに連れて来られたんだよ」


 はい?単純に私の心配してくれただけ?・・・それはなんか悪い事をした・・・今後の事を考えて話しておいた方が良いかな?


「あー、心配を掛けちゃったね。ちょっと疲れただけだよ。安全に逃げる為に普段使わないスキルやなんかをフルで使ったから体に負担が掛かったんだね。まぁ、人間領に行った時の定番みたいな物だから心配しないでよ。あとついでにこの世界の女神に呼ばれていたんだ」

「女神に?」

「うん、一応、神託スキルを押し付けられているからね。相性悪いみたいで体調が滅茶苦茶悪い時にしか効果が無いけど・・・・」

「それはまた微妙な・・・それで女神は何て言ってたんだ?」

「今回の襲撃で厄災はこの世界を終わらせるつもりだから気を付けろって忠告をしに来てくれたんだよ」

「本気って事か・・・じゃあしっかり食べて早く元気にならないとな」


 まだ聞きたい事は有るのだろうけど私の体調を気遣ってくれたのかそう言って食事を再開する。

 ふと、こちらに戻ってくる際にレスナの言っていた最後の言葉が頭を過ぎる。


『最後にもう一つ‼私達(女神)でも把握できていない何者かが暗躍しているわ‼コハク‼気を付けて‼お願いだから――――』


 お願いだから――――レスナはあの後に何て言おうとしたのだろう・・・

 レスナの最後の言葉を頭の中で繰り返しながら私は食事を終え狗神君と別れた後、リューンに言って湯浴みと歯磨き等を済ませ体調の回復に努めた。


次回からやっと厄災との戦闘編に入ります。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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