チャンバラ
こんにちは、第8話投稿させていただきます。
楽しんでいただけたら幸いです
「よし、勝負だ。コハク!」
テルルの世話を終え牧場の少し開けた広場までくるとテトは元気に木剣を構えてそう言った。
「ハイハイ、わかったから早く終わらせるよ。ユユ達も待っているんだからね。」
テトの投げてきた木剣をキャッチしながらテトに向けて構える。
「ルールはいつも通り有り有りで大丈夫?」
「もちろん。それでコハクを倒せなきゃ意味がないだろ!」
ルールの確認を取るとテトは気合十分といった感じで答えてきた。
ちなみに有り有りとは、魔法有り、体術有りの事である。
「じゃあ、二人とも準備は良いか?」
トウアが審判をやってくれるらしい。多分勝負が白熱しすぎてどちらかが怪我をしないように止めるためだろう。本当にいい子だなぁ~
「じゃあ、二人とも怪我をしないようにな。始め‼」
トウアの合図と同時に二人そろって魔法の詠唱を始める。
「我を守りし雷の精霊よ、我に従い我が肉体にその力を宿せ」
「我を守りし水の精霊よ、我に従い我が身を守る力を授けよ」
テトは雷の魔法、私は水の魔法の詠唱を行う。ちなみに私はこの村では水と風の魔法を使えるという事にしている。
「モノ・ライトニング・オーラ」
「モノ・ミストサンクチュアリ」
魔法の強さは十段階でモノ・ジ・トリ・テトラ・ペンタ・ヘキサ・ヘプタ・オクタ・ノナ・デカの順で強くなっていく。今使ったのは二人とも一番弱い魔法だ。
テトは肉体強化の魔法、私は水の新しく考えた防御系の魔法を発動させる。私を中心に周囲を霧が覆っていく。この霧、実はちょっとした特殊効果を持っている。
「よっしゃ、いくぜぇー」
テトが大きな声を上げ得ながら霧の中に突っ込んでくる。
しばらくすると霧の中から戸惑ったような声が聞こえてきた。
「げぇ、魔法の効果があまり機能してない!?」
このミストサンクチュアリは同じ強さの魔法の効果を弱める力もある。弱点としては自分の魔法も弱くなるところだけどね。
声のした方向に一気に駆け出し距離を詰め、辺りを見回しているテトの背後に回り木剣を振る。
「なめるなぁー」
テトが私の気配に気づき振り向きざまに木剣でガードをしてきた。おお、初めて見せる攻撃パターンだったのにちゃんと反応したよ。本当に厄介な子だなぁ、戦う度に考えている戦略にどんどん対抗してくる。本当に戦闘センスはピカイチだ。
「おぉ~、凄い!よく分かったね。」
テトから距離を取りながら素直な感想を口にする。霧で何処にいるかも分からないのに本当によく反応したなぁ~。
「姿が見えなかったら後ろから来ると予想しただけだ。てか、なんだよ。この魔法こっちの魔法が弱体化するなんて聞いてないぞ。また、新しい魔法を創ったのか?」
「ご想像の通りだよ。まぁ、私の魔法も弱体化しちゃうんだけどね」
木剣を構え直し駆ける。テトも駆け出しお互いの木剣を何回か打ち合い鍔迫り合いになる。お互い全力で押し合うが時間が経つにつれて弱体化しているとはいえ肉体強化をしているテトに押され始める。
テトは初勝利が出来ると思い、渾身の一撃を加える為に力いっぱい木剣を振るってきた。その時を待っていた私は剣の角度を変えテトの渾身の一撃受け流す。
力いっぱい振るった一撃を流され、バランスを崩したテトのお腹に一発拳を入れる。
お腹をさえ膝立ちになったテトの手から木剣が落ちる。テトの手から落ちた木剣を左手で拾い上げ、右手で持っていた木剣をテトの首筋に当てたところで霧が晴れ、トウアから試合終了の声が上がった。
「そこまで‼勝者コハク」
「チクショーーー、また負けた。」
大の字に倒れながらテトが大きな声でそう言った。
ちっ、まだ一発しか殴ってないのに・・・
次もなるべく早く投稿できるように頑張りますので気長にお待ちいただけたら幸いです