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森のくまさんなんて可愛らしいものじゃない

おはようございます。

第74話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。作品作りの励みになります。

また、誤字脱字報告もありがとうございます。

☆はコハク視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「リル‼左に行かせる‼《アクア・バインド》を頼む‼マカ‼右側に《ルクス・ウォール》を頼む‼」

「「ハイ‼」」


 俺の言葉にリルとマカが返し、魔法を使い追いかけているスニークシュガーラビットの進行方向を変える。そこにリルの放った《アクア・バインド》が対象を絡めとり捕獲した。


「やった!やっと一匹捕獲した‼」


 昨夜、コハクと話をして気配察知のスキルを習得してから早数時間、テスト2日目にして俺達はやっと最初のスニークシュガーラビットを捕獲する事が出来た。

 気配察知を獲得したおかげで今まで相手が一方的にこっちの気配を察知して隠れるという状態からこちらも相手の気配を察知して追いかける事が出来るようになった。

 後は気配を頼りに任意の方向に追い込み捕獲するだけだ。捕獲と同時に隠蔽スキルの取得練習はしているんだけど今一、上手く行っていない。ちなみに今現在も一匹を散々追いかけまわして捕まえた。


「この調子で行けば何とか3匹捕獲する事が出来そうですね‼」


 マカも嬉しそうに近くに寄って来る。


「少し休んでから次の子を狙いましょうか?全て生け捕りにするなら捕まえたこの子達も逃げないようにしておかないといけませんし」


 リルが捕まえたスニークシュガーラビットを抱っこしながら俺達に合流する。

 俺は今朝、コハクにスニークシュガーラビットは生け捕りにしても大丈夫かを確認した。

 試験と言う名目でむやみに命を取りたくないという考えも有って聞いてみると予想していた通り三匹確保すれば生け捕りでも構わないとの事だった。だが、当たり前だが殺すよりも難易度は上がると教えてくれた。

 その話を聞き俺はマカ達とも相談し、スニークシュガーラビットを生け捕る事にした。


「うーん」


 唸りながら考える。魔法で檻などを作っても良いと思うが他の魔物や野生動物に襲われる危険性もある。生け捕ると決めたなら捕獲後も安全性を確保しなければならない。

 少し考えてから少し手間だが一番安全そうな所に連れて行くことを決めそれを伝えるために口を開く。


「一度キャンプ地に戻ろう。この仔の安全確保の為にもコハクに預けようと思う」


 俺の言葉にリルとマカはポンっと手を叩き納得した顔で同意してくれる。

 まぁ、彼女が居れば魔物が寄ってこないからその反応は当たり前か・・・




「わぁ、本当に生け捕りにして来たの?」


 キャンプ地に戻ると座りながら猫じゃらしみたいなものでネージュと呼んでいた仔龍と遊んでいたコハクは俺達を見て開口一番そう言った。もちろん猫じゃらしをうごかす手は休めずに・・・


「まさか、気配察知だけで生け捕りにして来るなんて思わなかったよ。初捕獲おめでとう」


 コハクは少し微笑みながらに俺達に話しかけて来る。それと同時にネージュが少し高く跳び猫じゃらしを捕らえそうだったが寸前で届くギリギリの高さに持ち上げる。

 ネージュは悔しそうに猫じゃらしを見ながら再度飛び掛かる準備を始める。

 なんか本当に猫みたいだなこの仔龍は・・・

 そんな事を思いながら俺はコハクに捕まえたスニークシュガーラビットについてお願いをする為に口を開く。


「あ、ありがとう・・・それで少しお願いが有るんだけどこの捕獲したスニークシュガーラビットを見ていてくれないかな?変なところに檻に入れて置いといて襲われてもかわいそうだし・・・」

「うん、良いよ。他にも捕獲したら連れておいでよ」


 そう言うとコハクは二つ返事でオーケーしてくれた。

 ・・・なんだかんだで甘いなこの試験官・・・


「それじゃあ、お願いするよ。俺達はまた捕まえに行って来る」

「はい、行ってらっしゃ~い。あ、あまり森の奥深くには入らないようにね」


 ネージュと遊ぶのを一度止めリルから檻を受け取りコハクは俺達に軽い口調で行ってらっしゃいと言った後に朝いつも俺達に言う様な注意をもう一度言う。


「了解。気を付けるよ」


 コハクにそう答え俺達は再び森の中に入った。




「よし‼あと一匹だ」


 森に戻って更に数時間、やっとの思いで二匹目のスニークシュガーラビットを捕獲した。


「だいぶ時間を使いましたね。もうすぐ暗くなりますから今日はもう戻りましょうか?」

「そうですね。あと一匹ですが無理はしない方が良いと思います。あと一日有りますしコハクちゃんも無理はしない様に念を押していましたし」


 マカの言葉にリルも同意する。周囲はまだ明るいがキャンプ地に戻ってからでは暗くなってしまうだろう。今日中に三匹捕獲したかったけどこれ以上は無理になる確かに引き際だろう・・・

 二人の意見に同意しようと口を開きかけた時に唐突に近くの草むらが揺れそこから小さな毛色の違う兎が飛び出し何故か俺の腕の中に納まる。

 先日から俺達の事を馬鹿にした様に笑っていたスニークシュガーラビットだ。

 皆でこの兎の行動に目を丸くしていると兎は必死で俺の腕を前足でバシバシと叩きだす。

 何かと思ったその瞬間、ドンっという音が響き俺とマカ達の間に会った巨木がゆっくりと倒れ込んでくる。


「避けろ‼」


 咄嗟に声を上げ、全員後ろに飛ぶ、俺とマカ達の間に巨木は倒れ見事に分断された直後に木を倒した犯人が姿を現した。

 ゴワゴワとした真っ赤な毛並みに巨大な体躯の熊が興奮した様子で木の影から出て来て俺とスニークシュガーラビットの方を向く。


「イビルベア⁉和登様!逃げて‼」


 マカの声に後ろに飛び退るとさっきまで俺の居た場所をイビルベアの爪が通る。

 危ね‼クラシアで一通りの戦闘訓練受けていて良かった。

 リルとマカが俺の方に来ようとするのを声を掛けて止める。


「リル‼マカ‼コハクの居る広場まで走れ‼」


 何か言いたげなマカをリルが引っ張り二人が離れたのを見送ってから兎を片手で抱え直し俺は剣を呼び出し熊に向ける。

 魔王の城に行くまでに何回か魔物と戦ってはいるけどこんなでかい熊は初めてだなぁ・・・やばい・・・死ぬかも・・・

 そんな事を考えながら俺は熊と一定の距離を取り熊との戦闘を開始するのだった。


 ☆


「今日は帰って来るのが遅いなぁ・・・」


 ネージュと猫じゃらしで遊んでいた手を一度止め私はまだ帰ってきていない勇者君達の事を思い独り言をつぶやく。

 懐から懐中時計を取り出し、時間を確認すると時刻は午後三時半をまわっている。彼等は時計を持っていないが昨日はこれぐらいの時間には戻って来ていた。

 ・・・捕獲が思った以上にうまく行っているのか、はたまた想定外の出来事に見舞われたのか・・・?

 少し不安に思いながら私は現在地から広範囲に気配察知のスキルを使い辺りを調べる。

 すると少し離れた所から此方に急いで走って来る気配が二つとそれより離れた所に大きな気配と対峙する気配が一つ確認できた。

 私は緊急事態だと思いカグツチを腰に差し、ネージュにキャンプ地と彼等が捕獲したスニークシュガーラビットの事を任せ。急いで森の中に駆けて行った。


次回で森の中は終わりに出来るようにしたいと思います。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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