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あ、本日は野宿です

おはようございます。第71話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。励みになります。

楽しんで頂けたら幸いです。

「さて、これからの事を話そうか?」


 リルとの再会を喜び少ししてから私はポンっと手を叩き勇者君達に今後の行動方針を伝えようとすると聖女さんが小さく手を上げて口を開く。


「あの、なぜコユキさんがここに居るんですか?」


 私がいる事に聖女さんは疑問符を頭に浮かべ、聖女さんの言った『コユキ』という名前にリルと勇者君は疑問符を浮かべる。

 あぁ、聖女さんはこっちの私を知ってるんだ。まぁ、あっちこっち行っているからねぇ・・・勇者君は知らないのは当然としてリルが知らないのはイリアでは全く活動していないからだ。


「私の事を知っているんだ?」

「もちろん存じています‼銀姫、剣姫、精霊姫、剣士なのに魔法オタク。それ以外にも沢山の通り名が有り、女性の中では最年少の《エメラルド》クラス冒険者の貴女を知らないわけが有りません‼」


 お、おぅ・・・思った以上に食い気味の反応が返って来た・・・てか、最後の二つ名悪口だよね?


「人物画でお姿を拝見した事も有りますし、ルファルデ法国にいらした時にも遠目から拝見させていただきました。髪をお切りになったんですね?綺麗な髪だったので残念です・・・」


 わぁお、魔王の時と全然態度が違うや・・・これ私が魔王ですって言ったら面倒くさそうだなぁ~


「それで?なぜコユキさんはここに居るんですか?そして、なんでミューウェルクさんはコハクさんとお呼びしているのですか?」


 聖女さんは小首を傾げながら再び同じ質問をして来る。私はなるべく簡単に答える事にした。


「では、改めて自己紹介させていただきます。コユキというのは冒険者をする際に名乗った偽名です。素顔で話すのは初めてですね。私は今代の黄昏の魔王で本名はコハク・リステナ・トワイライトと言います」

 口調を改め名乗りながらゆっくりとお辞儀をする。

 聖女さんは私の自己紹介を聞いた途端にポカーンとした顔をしたまま止まってしまった。

 勇者君は私の後ろで「だよね。驚くよね」っと言いながら腕を組んで頷いている。


「先程まで一緒に居た・・・」


 聖女さんは再起動し、気まずそうに私の顔を見て聞いてくる。おや?予想外の反応だ。もっと軽蔑されるかと思った。


「あ、はい。あの黒コートです」


 私の言葉に聖女さんは唐突に頭を下げて謝罪をして来る。


「すみません‼祖国の恩人に対して知らなかったとはいえ失礼な態度を取りました。伏してお詫びします。あと、名乗り遅れまして申し訳ありません。私は、ルファルデ法国にて女神様より聖女に任命されましたマカ・ネキネリスと申します。宜しくお願い致します」

「宜しくお願いします。それと態度等の事ですが分からない様にしていたのは私ですから謝らなくて良いですよ?あ、それと私の事はこの格好の時には皆コユキって呼んでください。特に人間側の領地の時には徹底してくださいお願いします」


 聖女さん改めマカさんと挨拶を済ませ、私は皆に細かい注意事項を頼む。この場に居た皆が頷いてくれた後にマカさんは更に質問をして来る。


「それで、コユキさんはなぜ魔王なんてやっているんですか?」

「・・・・・敢えて言うなら女神に嵌められたからかな・・・」


 マカさんのしてきた質問に遠い目で答えると皆は同情的な目で私を見ていた。





「さて、じゃあ、これからの予定を話そうか?」


 一通りの説明や挨拶を終え私は再び同じ言葉を言う。


「えっと、コ・・・ユキちゃん今後の予定って何するの?転移魔方陣を使ってコ・・ユキちゃんのお城に戻るんじゃないの?」


 リルが私の名前を間違えそうになりながら控えめに手を上げて聞いてくる。まぁ、リルには呼び方かえて貰うのは少し厳しいよね・・・

 リルの質問に私は苦笑しながら答える。


「まぁ、最終的には黄昏の城に帰るんだけどそれが出来るかはこれからの皆次第だねぇ~」


 頭に?マークを浮かべる三人に向かって更に言葉を続ける。


「今から君達をテストしてそれに合格したら君達を鍛えながらフルニカ王国のカルルカという街に向かう。そこで最後のテストをしてそれに合格したら他の勇者達と合流して黄昏の城に戻るよ」

「もし、テストに合格できなかったらどうするんだ?」


 今度は勇者君が小首を傾げながら少し不安そうに聞いてくる。


「もし、テストに合格できなくて君達の実力が今後戦うのに不足していると判断したらレイデア王国かフルニカ王国に有る私の商会で全ての戦いが終わるまでひっそりと身を隠してもらう。ちなみに家の従業員は皆強いから抜け出す事は出来ないという事を肝に命じておいてね」


 勇者君の質問に答え、次はマカさんが質問をして来た。

 ・・・どうでも良いけど順番で聞いて来るのやめない?


「なんでテストをする必要が有るんですか?」

「はっきり言ってこっちも余裕がないんでね。厄災共の襲来がもう始まっている所為で戦闘技能を一から十まで訓練している暇がないんだよ。あと、魔王は死んでも代わりが居るけど勇者には代わりは居ない。さらに最悪な事になんでかは分からないけど勇者が一人死ぬたびに厄災共の勢力が強くなるらしいんだよね・・・だからある程度振るいに掛けたい。ちなみに私が今話している事は先代魔王が隠していた手記に書いてあった事だから多分間違いない」


 ストリアさんが隠していた手記に書いてあった事も含めて説明をすると一応みんな納得してくれたみたいだった。


「それで?今からやるテストの内容はどんな物なんだ?」


 一通りの質問を終えた勇者君が本題である第一のテスト内容を聞いてくる。

 私は笑顔で勇者君達の方を向いたまま右手を振り手に握っていた投げナイフを草むらに投擲する。


「ぴぎぃ‼」


 ガサっという音と共に甲高い鳴き声が辺りに響く。ネージュが私の肩の上からナイフを投げた草むらに飛びその足に先程の鳴き声の正体を掴み戻って来る。


「ありがとう。ネージュ」


 ネージュにお礼を言いながら頭を撫で獲物を受け取り皆に見せる。リルとマカさんは私の手に握られた獲物を見て声を上げる。


「「スニークシュガーラビット‼」」

「そ、捕まえにくいけど味は一級品な事で有名な高級食材魔物の一つだね。この兎を最低でも3匹確保してもらうよ。勇者君以外は知っていると思うけどこいつ等は逃げ足が速くて気配にも敏感だ。要するに簡単には捕まらない。期間は今日を除いて3日間。それまでに3匹確保できなかったらテストは失敗。持っているスキルを駆使したりして頑張ってね。ちなみにこのテスト中は野宿です。それと勇者君には装備も返しとこうね」


 私の言葉を聞いたリルとマカさんは「無理‼」っと頭を抱えている。

 私はそんな二人を横目に見ながらクラシアから持ってきた勇者君の装備をアイテムボックスから出して彼に渡す。もちろん聖武器込みだ。


「あ、ありがとう」

「聖武器の封印は解いてあるから前みたいに呼び出す事も出来るよ」

「リル達は無理って叫んでいるけど実際どれぐらい難しいんだ?」


 装備を受け取った彼は若干不安そうに私を見ながら聞いてくる。


「あるスキルさえ身に着けてしまえば辺りを敵に囲まれた状態から脱出するよりは遥かに簡単だねぇ~。練習しても良いと思うけど今日は休んで明日頑張る事をお勧めするよ」


 その後は勇者君達は私の出した課題の為に練習をしに行ったり、私は野営の準備や食事の支度をしたりして過ごした。

 ちなみに勇者君達は練習では一匹も捕まえられなかった。


次回は和登視点です。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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