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実は全軍団長よりお強いのでは?

おはようございます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。

また、ごじだつじ誤字脱字報告ありがとうございます。

第57話投稿させて頂きます。

今回からプロローグの所に戻ります。

楽しんで頂けたら幸いです。

 長い・・・本当に長い回想をしながら私は目の前の書類を片付けていく。

 ・・・いや、マジで長かったな・・・

 余りの書類の多さに半分自動的に書類を処理していたようで永久に終わらないかと思われた書類は最早目の前の一枚だけ、念の為、処分の方に分類した書類と正式に受理した書類を確認する。

 うん、自動状態でもちゃんとしっかり分類して処理出来ているね。

 私が魔王になってから8年の月日が経った。あの後、私は色々な功績を上げることができ、あまり嬉しくは無いけど無事に皆からは王として認めてもらえた。

 とは言っても何代にも渡って異世界からの転生者が魔王をやっていて整えた国だインフラなども完全完備されていて今更私の出番なんてそんなに無かった訳だけども・・・

 まぁ、主な実績としては、国の税金の見直し、銀行の設立(ストリアさんが考えていた構想に肉付けし運用できるレベルに持って行っただけ)、国の運用費と自分達の生活するお金を別々にするために商会の設立(もちろん商品の開発やなんかもしたよ)、暁の国との農業経営の協定の更新(主に現在暁の国に貸し出している土地に関する事と出来た作物の取引に関して、因みにフェルやオウルは転生の際に転生特典が有ったらしく地球産の野菜などを栽培できるのはその特典なんだって・・・私は何も無かった)、一部の人間側との協定の締結、過去に失われていた初代黄昏の魔王が創った転送魔方陣の再生と改良、孤児院の設立、調子に乗ってやりたい放題やっていた貴族の粛清、評価されるべき貴族の正式な評価等々まだ色々細かい物もあるけど概ねそんなところである。

 まぁ、地味に頑張ってしまいました・・・

 最後の書類を確認し、サインと判を押してから私は椅子の上で大きく伸びをする。


「クロノス、私はこのまま勇者君と戦う準備をするから用意をしておいて、メビルス、他の人達に勇者君のパーティメンバーの戦士、暗殺者、盗賊(シーフ)、格闘家、踊り子の人達はゲートBの魔方陣に放り込んで人間領に戻しておくように頼んでおいて、この人達は話が通じないから、あとの勇者君本人と聖女さん、魔法使いの子は暴れても大丈夫な大広間に移しておいてくれる」

「「畏まりました」」


 クロノスと近くで待機していた宰相メルビスに指示を出し私は部屋着からいつもの黒コートに着替えるべく席を立つ。

 え?皆の呼び方がさん付けじゃ無くなっているって?もちろん最初は私だって年上ばかりだし皆にさん付けで呼んでいたよ?でも、メイド長や宰相、その他に軍団長にまで自分達は部下なんだから敬称はつけなくて良いと散々言われてしまった。また、公務中は魔王らしい口調を心掛けるようにも言われてしまったのだ。


「魔王様‼お待ちください‼」


 私が席を立つと書斎のドアを開けメイド長と私より二つ上で宰相の娘で私付きのメイドのリューンが駆け込んでくる。


「魔王様、まさかとは思いますけど、そのままの状態ですぐに勇者と対峙するおつもりじゃあございませんよね?」

「え・・・?一応、着替えてから対応するけど?顔を見せる気は無いし、なにか問題でもある?」


 私の言葉にキラリと眼鏡を光らせ表情が些か厳しくなる。

 しくった・・・言葉の選択を間違えた・・・


「失礼ながら魔王様、御髪も乱れておりますし、顔にインクも付いております。そのような姿で勇者と対峙するなど勇者と神が許しても私が許せません。湯浴みをされてから準備なさる事を御提案させていただきます。否、淑女として絶対に湯浴み等を済ませ身嗜みを整えるべきでございます」


 メイド長は密かに逃げようとする私の服の襟首をガシッと掴みそう宣言をして来る。まぁ、確かに、連日の仕事の処理で些か身嗜みに気を使っている場合ではなかったけど、お風呂はちゃんと入っていたんだよ・・・

 てか、提案って言っているけどもう決定事項だよね?


「父さん‼父さんも魔王さまの身嗜みとか気を付けてあげてよ‼」

「あ、あぁ、すまなかったな・・・」


 メビルスは娘でもあるリューンにお叱りを受けている。どこの世界も父親は娘に弱いらしい。


「では、行きますよ。魔王様。全く魔王様は私達が見ていないとすぐに女を捨てるのですから、もう少し御自分の容姿などに自覚を持ってください‼」


 そう言いながらメイド長はズルズルと私を引き摺ってお風呂場に向かう。

 えぇ・・・私ってそんなに女を捨ててますかね・・・?


「え‼少し待ってください‼もう時止めは解除してもよろしいでしょうか?」


 私が引きずられているとクロノスが些か焦ったように聞いて来る。

 クロノスのスキルを使って、もう結構時間も経っている。いい加減魔力がつきそうなんだろう。まぁ、今、スキルを解除される訳にもいかないので当然却下なのだが・・・

 メイド長はキッとクロノスを睨みつけると口を開く。


「はぁ?言いわけが無いでしょう。貴方の持ち込んだ書類の所為で後の予定が押してしまったんでしょう。魔王様の支度が整うまでそのままでいてください‼」

「あの・・・いや・・・でも、私の魔力的にももうそんなに長く維持できないのですが…」


 そう言うクロノスに冷たい目を向けながらメイド長は二本の瓶をクロノスに向けて投げる。毎度お馴染みの梟印のエーテル薬だ。


「あの~・・・どのぐらいの時間を想定しているのですか?」

「三時間程です。女性の身支度には時間が掛かるのです」

「えっと、それだと少し足りないのですが・・・」

「持たせなさい。身から出た錆です」

「はい・・・」


 メイド長が更に3℃ほど温度の下がった冷ややかな声でクロノスに答え、クロノスはしょんぼりしながら返事をする。

 うちの軍団長達はなぜかわからないのだがメイド長にめっきり弱いのだ。

 実は全軍団長より強く、黄昏の魔王軍最強なのでは?


「リューン、魔王様は捕獲しました。行きますよ」

「ハイ!メイド長‼それでは、宰相様、クロノス軍団長失礼いたします」


 メイド長の声にリューンが一瞬にして仕事口調に戻り宰相とクロノスに挨拶を済ませる。

 メイド長は、そのまま私を引き摺りながら執務室を出て行った。

 メイド長よ・・・もう少し敬うとかないの?

 ちなみに部屋を出る前に二人に『助けて』っとアイコンタクトを送ったが結果は『無理』だった。

 いや、私だってお風呂は好きだよ。助けてほしいのはメイド長の小言なだけで・・・


次回もまだまだゆっくりしています。

ごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。

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