黄昏の国
おはようございます。第55話投稿させて頂きます。
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さて、魔王会議から数日後、途中まで一緒だったクリストさんとオウルさんと別れ、私は無事に黄昏の国に入ることが出来た。
「・・・」
そして現在、私は黄昏の城で些か動揺しながら玉座の間と呼ばれている部屋の椅子に毛玉ちゃんを抱っこしながら座らされている。
なぜ、私が玉座の間で動揺して座って居るのかというと目の前でズラッと跪いているこの城の人達とこうなる迄の過程で動揺してしまっている。
城に着いた際にクロノスは眼鏡を掛けたメイドさん一言告げるとメイドさんは驚いた顔になり私はそのままメイドさんに連れられてお風呂まで来ると身包み剥されそのまま洗われ(お風呂はとっても大きな温泉でした)ドレスを着せられ。何もわからぬまま玉座に着いた時にはもうこの状態だったのだ。
私が何となく落ち着かなくしていると一番前に跪いている男の人が頭を下げたまま自己紹介を始めた。
「お初にお目に掛かります我らが魔王様。黄昏の国宰相 メビルス・グランデ、御身の前に」
「特別剣術指南役 レクセウス・ウルフェス、御身の前に」
「魔術指南役 デクリノミア、御身の前に」
「第一軍団長、クロノス、御身の前に」
「第二軍団長 ファリタ、御身の前に」
「第三軍団長 クエウス、御身の前に」
「第四軍団長 メメリ、御身の前に」
「第五軍団長 クラウス、御身の前に」
「斥候部隊隊長 ゴルク、御身の前に」
「隠密部隊隊長 ココル、御身の前に」
「使用人統括 バラン、御身の前に」
「メイド統括 メリッサ、御身の前に」
最初の宰相さんの挨拶を皮切りに恐らくこの国のトップの人達、軍団長、部隊長、使用人の統括、大臣や貴族というような順で挨拶された。
予めクロノスから説明されていた事とはいえ、私に対し敵意の様な物は無く表向きは歓迎ムード見たいだ。このような状態に慣れていない私としては本当に落ち着かない。
後は私が皆に挨拶すれば終わりみたいだけどはたして本当にそれだけで終わるだろうか?まぁ、終わらないんだよねぇ・・・
そんな事を思いつつ私は毛玉ちゃんを椅子の上に置き、アイテムボックスからカグツチを取り出し、挨拶をするために皆の方を向く。
「皆さん、本日は急な招集に応じて頂きありがとうございます。今代の黄昏の魔王を継承致しまし・・・」
皆に向かって挨拶をしている途中で私はカグツチを振り四方から飛んできたナイフを叩き落とし、跪いている人達のあいだを一気に駆けメイド長の近くでメイドのふりをしている本物の隠密部隊隊長に剣をつき付ける。
その間に私の周りでは四人の黒子の様な格好をした人達が同じように剣をつき付けて来た
「動くな‼全員剣を収めなさい‼」
メイドに扮していた彼女の言葉で私に剣を向けていた黒子達が一斉に剣を引く。
「さて、じゃあ、誰の差し金か教えて貰えますか?宰相さん?」
にこりと笑いながら特に驚いた様子の無い宰相に向かって問いかける。
クロノスも驚いてない所を見ると知っていたみたいだねぇ・・・まぁ、私も聞かなくても知っているんだけど
「試すような事をしてしまい。誠に申し訳ございませんでした。我らが魔王、先代様の指示とは言え刃を向けた事深くお詫び申し上げます。どうか私の首一つでお許し下さい」
平伏して謝罪してくる宰相を見ながら私は「あ~、やっぱりなぁ」ぐらいの感想ぐらいしか持たなかった。
実際問題、表向きは歓迎ムードだったけど貴族連中はどうやって寝首を掻くかを考えてる人もいるし軍団長の人達も戦闘力の面で本当に私で大丈夫かを疑問に思っている人もいた。
この手の考えに関してどうやって解決しようか考えてはいたけど、ストリアさんとメビルスさんは予め考えていてくれたみたいだね。要するに手っ取り早く実力を見せて貴族や不信感を持った人達を黙らせる作戦だったみたい。まぁ、良くて飛んでくるナイフを叩き落とせたら上等ぐらいにしか考えてなくて私が反撃するとは考えてなかったみたい。
この件に関しては罰はいらないでしょう?首もいらないし・・・
「面を上げてください。この件に関して私は貴方を罰するつもりはありませんし、私の実力を測るのは当然の事でしょう?」
「しかし・・・」
「じゃあ、聞くけど貴方は父親であるストリアさん跡を継ぐために私から魔王の座を奪いたいと思っていた?」
「いいえ・・・そのような思いは一切ございません」
先代魔王との関係を私の口から言われ些か動揺した様子で宰相さんは答える。まぁ、ストリアさんがミドルネームで名乗っていた名前と宰相さんの家名が同じだし予想は付くよねぇ~。私もなぜかリステナがミドルネームになってるし、そもそもなんで暁と白夜にはデイブレイクとかホワイトナイトって入ってないのに黄昏にはトワイライトって入るんだろうか?
脱線しだした思考を戻しながら少し唖然としている宰相さんから視線を外し、剣を鞘に納めながら全体を見て改めて自己紹介をする。
「では、改めて自己紹介をしましょうか、今代の黄昏の魔王を継承したコハク・リステナ・トワイライトです。分からない事も多くあるとは思うけ精一杯務めるつもりだからよろしくお願いします」
皆に笑顔で挨拶をし、その後は特に問題が起こることも無く継承の儀を済ませた。
全員に認められるのや膿になる人を排除するのは追々やって行こう。
継承の儀式後に宰相さんから先代魔王の愛剣のもう片方で白銀の長剣、《オカミノカミ》(カグツチと同等のステータス)と継承の儀式後に渡すように言われていたという四つ葉をモチーフにした持ち手の葉の一つに緑色の宝石が嵌った鍵と今後の予定等がびっしり書かれた予定書などを渡された。
ぶっちゃけると予定書を見るとやることが多くて眩暈がして来た。執務の他に剣の稽古、魔法の稽古、淑女教育、ダンスレッスンなどなど・・・
剣の稽古や魔法の稽古はありがたいけど淑女教育とか必要かなぁ?
剣の稽古等は指南役として挨拶してくれた二人が直接担当してくれるらしい。
それにしても、フェルさんとオウルさんの言葉なんて鵜吞みにするんじゃ無かった‼魔王だもんね‼暇なわけがないよね‼
てか、やっぱり魔王になんてなるんじゃなかった・・・
こうして、村娘Aに転生したはずだった私は何だかんだで女神の思惑通りに魔王になってしまったのでした。
憶えていろよ。レスナめ‼
あ・・・いい加減、毛玉ちゃんの名前も決めないと・・・
今回でやっと子供時代は終わりです。
次回は閑話を挟んでプロローグの時間軸に戻ります。
ごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。




