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魔王会議後の密談

おはようございます。第54話投稿させて頂きます。

楽しんで頂けたら幸いです。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。励みになります

「お~い、ちっちゃいのちょっとこっちにおいで」


 皆が一通り驚き終わった後で今日の会議もお開きとなり、クロノスとクリストさんと一緒に会議室を出ようとしていた私に暁の魔王が手招きをして来た。

 はて?何の用事だろう?


「ちょっと、行ってきます」


 クロノスとクリストさんに声を掛け、私は暁と白夜の魔王がいる会議室の隅の方に行く


「何か御用ですか?」


 二人の近くまで行き声を掛ける。白夜の魔王は相変わらず梟の姿のままだ。


「おう、用事、用事、少し話でもしようぜ~」


 そう言いながらクシャクシャと私の頭を撫でてくる暁の魔王はとても軽い感じで話しかけてくる。この人なんかオンオフが激しいな・・・


「クククク、いやぁ~、それにしても、グリドの奴の表情は傑作だったな」

「全く持って勉強不足も良い所だな。あんな嘘に騙されて今後やって行けるのか甚だ疑問だな」


 暁と白夜の魔王が先程の会議の強欲の魔王の様子を笑いながら話している。


「少し勉強しておけば魔法の契約書に役職名でサインしても別に後継者には関係ありませんからねぇ~、まぁ、誓約は誓約なので何かしらの事は覚悟して貰うんですけどね。今回は強欲の魔王が無知で早く済んで助かりました。あと、他の魔王が何も言わなかったのにも救われました」


 私の言葉に二人の魔王は更に面白そうに声を上げて笑う。


「で?強欲の魔王を無知といったお前は魔王についてどこまで知っている?」


 一頻り笑った後で暁の魔王はニヤリと笑い私にそんな事を聞いてきた。


「魔王についてですか?敢えて言うならお二人のお名前すら知りませんけど?」


 私の二人はキョトンとした顔を見せた後また笑いだす。


「ハハハハハハ、確かに知らねぇよな~」

「まだ正式に名乗って無いからな」


 二人はそう言うと綺麗な礼をして自己紹介をしてくれた。


「俺は暁の魔王フェル・W・シルヴだ。よろしくな~」

「オウル・F・テテリヌス、白夜の魔王だ。先代の黄昏魔王ストリア殿には世話になった。あの人最後の頼みもある。困ったことが有れば頼ってくれ力に為る」


 ・・・フェルさんはともかく、オウルさんはどうやって梟の姿で礼をしてるんだろう・・・?


「改めましてコハク・リステナ・トワイライトです。フェルさん、オウルさんよろしくお願いします」


 二人に淑女の礼(カーテシー)をし、改めて自己紹介をする。


「あ、さん付けなんてしなくていいぞ。むずがゆくなる」

「恐らく同郷なんだろう?気軽に呼び捨てにしてくれ俺達もそうする」

「あ~、善処します」

「「そうしてくれ」」


 フェルさんは笑いながら、オウルさんは私の頭に停まりながらそんな事を言ってきた。


「それで?何か聞きたい事は無いか?」


 オウルさんが頭上からそんなことを聞いて来るので丁度良いので魔王についてやさっきのアライさんについて聞いてみよう。


「じゃあ、まず魔王って何のために居るんですか?」

「?コハクは何も知らないで魔王になったんか?」

「何も知らないでというか、嵌められたと言いましょうか・・・」


 二人に魔王になった経緯を簡単に説明する。


「なるほどなぁ・・・」

「まぁ、要するに」

「「女神がちゃんと説明せずに適当な仕事をしたって事だな」」


 二人が納得がいったという顔で同じことを言った。

 レスナ・・・会う人皆に仕事が適当すぎるって言われてるよ・・・


「それで、魔王が居る理由だったか?簡単な話だ。要はこの世界に来る十匹の厄災への対抗手段の一つだ」

「十匹の厄災ですか?どんな奴なんですか?」

「えっと、確か恐怖、憎悪、光刃、支配、幻惑、増殖、厄毒、人災、殺戮、虚無の順で出てくるんだっけか?」

「ああ」


 フェルさんが頭を掻きながら厄災とやらの出てくる順番を自信なさげに挙げ、私の頭の上のオウルさんがそれを肯定している。


「出てくる敵がわかっているって事は、それらに対する資料が有るんですか?それなら対策も立てやすそうですね」

「「・・・」」


 私の言葉に二人は微妙な顔で黙り込んでしまう。

 え?何?私なんか変な事言った?


「資料や記録は有るには有る・・・いや、有ったといった方が正しいか・・・」


 オウルさんの言葉に私はじんわりと嫌な予感がしてくる。


「各国にそれらの資料が保管されてたんだが、少し前に保管されていた図書館は全て火事で消失してしまった」

「各城に保管されてたもんもいつの間にか全部な・・・犯人は大方予想がついている。ストリアのおやっさんが言ってた金髪金眼の女だ。ちなみにおやっさんが狂化した原因でもある」


 フェルさん達は苦虫を嚙み潰したよう顔で教えてくれた。

 やっぱり資料は全部無くなってたかぁ・・・それにしても金髪金眼の女の人は避けては通れない脅威みたいだ。


「とりあえず対策はおいおい考えよう。他に何か聞きたい事はないか?」


 現在は一切対応が取れない事なのでオウルさんが話題替えてくれた。


「普段はどんな仕事をしてるんですか?」


 魔王ってどんな仕事をしてるのか今一わからないし一応聞いておこう。


「特にする事無いな。俺はすぐに畑に出ちゃうし」

「俺も研究に没頭してることが多いな。新しいポーションとかどうやったら人間側に安く流せるかも研究している」


 えぇ・・・魔王って大して仕事ないの?本当にぃ?

 てか、ポーションの研究ってひょってして梟印のポーションって貴方の所で作った物ですか?


「他にはないか?」

「えっと・・・あ、そうだ。さっきのメイドさん。私のちょっとしたスキルであの人が転生者って出てるんですが、他にも居るんですか?」


 私の言葉に二人は興味深そうな顔をする。


「コハクは随分面白いスキルを持っているんだな」

「先天的な物なのかそれとも後天的な物なのか?」

「後天的な物ですね。魔王になった時に得ました」

「なるほどなぁ~、で、アライちゃん達についてだっけ?あの子は確かに転生者で間違いないし、転生者は結構多いぞ。アライちゃんやトムみたいに魔王候補者ってのは結構珍しいけどな」


 フェルさんは面白そうに転生者について教えてくれる。

 ・・・ちょっと待って、トムさん魔王候補なの⁉


「何言ってるんだ。お前の所で働いてるのはほとんど魔王候補者だろ?強い候補者が次の魔王って言うルールの通りお前の命を狙ってきた奴も片っ端から自分の部下に引き込んでただろ?」

「あ~、そんな事も有ったなぁ~」


 わぁ~、暁の国こわぁい~


「転生者も魔王候補者も結構いる、うちにも結構いるぞ。候補者が見当たらなかったのは黄昏ぐらいだな・・・」


 う~ん、これにも金髪金眼の女性が関わっているのかなぁ~

 そんな事を話していると会議室のドアが開いてパタパタと金髪碧眼の少女が駆け込んできた。


「フェル~、お帰りなさいませ~」


 そう言いながらフェルさんにギュッと可愛らしく抱き着く。


「お、姫ただいま~。良い子にしてたかな?」


 そう言いながらフェルさんは抱き着いてきた女の子を優しく抱き上げる。


「もちろんです。作法や歴史のお勉強もしっかりやっておりました。ですからまた色んなお話を聞かせてください」

「おうよ‼たくさんお土産も有るからな‼楽しみにしてくれ」


 近くに待機していたアライさんに目配せで確認するとフェルさんは女の子に優しく話す。

 ところでその子はどちら様で?


「あ、いけね。忘れてた。オウルは知ってるよな?この子はテルミア・シビタ・メルルク、メルルク王国の第二王女で今はうちで預かってる。メルルク以外の他の国には暁の国に攫われたって事になってる子だ。メルルクと貿易するのに他国には姫を人質に取られていて仕方なくという体で話してるからな。もちろん国民には連絡済みだ」

 私が少し混乱しているとフェルさんが説明してくれる。


「んじゃ、姫から挨拶」

「はい」


 そう言ってフェルさんはテルミアさんを一度下すとお姫様は綺麗な淑女の礼(カーテシー)をして挨拶をする。


「ご紹介に預かりました。メルルク王国第二王女テルミア・シビタ・メルルクです」

「あ、えっと・・・今代の黄昏の魔王を継承致しました。コハク・リステナ・トワイライト

 です」


 ちょっと戸惑ってしまったが私も淑女の礼(カーテシー)をし、挨拶を済ませる。


「コハク様、ぜひ、お友達になってください」

「あ、はい、喜んで」


 私の手を握りそう言って来るテルミアさんに笑顔で答えるとテルミアさんは嬉しそうにしている。

 というか、本当に綺麗な子で如何にもお姫さまって感じだなぁ~

 フェルさんとオウルさん、あとアライさんはそんな私達を温かい目で見ている。


「さて、姫様、ご挨拶も済みましたし、フェル様には後でいくらでも甘えられます。しかし、魔王様達はまだお話が有るので席を外しましょうか?」

「あ、はい、アライさん。それでは、フェル様、オウル様、コハク様お話し中に失礼いたしました」

「それでは失礼いたします」


 そういうとテルミアさんはアライさんに手を引かれて出て行く。

 途中でアライさんが思い出したように立ち止まり、フェルさんに向かって文句を言う。


「あ、そうだ忘れてました。魔王様。何度も言ってますが僕の事はアライちゃんではなく。敬称無しのフルネームで呼んでください。今度ちゃん付けで呼んだら本気で(タマ)取りに行くのでそのつもりでいてくださいね?」

「俺に勝てたら考えてやるよ~」

「本当にその余裕が頭に来ますね」


 ニコニコと笑顔で殺気を飛ばす二人を同じくニコニコとしながら見ているテルミアさん。日常的な光景なのかな・・・

 そんな一幕が有ってから二人は退出し、私は、再び二人に質問し、ある程度のことを聞き、クリストさんとクロノスが待つ馬車に行き。憤怒の国に寄った後、ようやく黄昏の国に行くことが出来るのであった。


次の一話と閑話を入れてプロローグに戻る予定です。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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