この日一番の驚き
こんにちは、第53話投稿させて頂きます。
楽しんで頂けたら幸いです。
また、評価ポイント・ブックマークありがとうございます。
「ふ、ふざけるんじゃねぇよ‼そんな簡単な事で魔王とか決めてんじゃねぇ‼」
暁の魔王と白夜の魔王に向かい怒鳴り散らす強欲の魔王。まぁ、そうなりますよねぇ・・・私だってドン引きだもの・・・
「ほぉ~、じゃあ、お前はこの字が読めるんだな?言っとくがさっきこの子に見せたのとは別の言葉だからな。お前が読めたら納得してやる。大体、原初の三魔王の判別方法はその代の原初の魔王達に一任されてるんだ。お前にとやかく言われる筋合いはないんだか、今回に限り他の魔王含めこれが読めた奴が居たらさっき言ったことを撤回してやる」
そう言いながら暁の魔王は日本語で《畑こそ我が命》と書かれた紙を強欲の魔王に渡す。
その紙を受け取るのを見た瞬間、他の魔王は皆、強欲の魔王から視線を逸らす。要するに巻き込むなと言っているのだ。
「うるせぇ‼これが読めたからって何だって言うんだよ‼てめぇ、ふざけてるとぶっ殺すぞ‼」
周りから見捨てられ字も読めずに逆上した強欲の魔王は浅慮にも、魔王の専用武器であろうナイフを取り出し、立ち上がるが立ち上がったまま一歩も動けなかった。
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名称:強欲のナイフ
刀匠:unknown
スキル: HPドレイン、MPドレイン、自動追尾、HP、MP還元
特性:相手のHP、MPを上限無く吸収する。
クラス:レジェンド
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「いい加減にその口を閉じろ、お前の声は聞いていて耳障りだ。大体、いつからお前は三魔王の決まり事に口を突っ込めるほど偉くなった?傲慢の魔王でも従っているこのルールにたかが七大罪の魔王の一柱如きが否と唱えるなど調子に乗るのもいい加減にしろ。それと先程から黄昏の国や先代に対して口が過ぎる。それとも貴様はもう代替わりがしたいのか?」
巨大な大剣を片腕で軽々と持ち上げ、その刀身をピタリと強欲の魔王の首筋に当てながら、この会議室に入って来た時とは打って変わった冷ややかな口調で暁の魔王は強欲の魔王に問いかける。
ぶっちゃけると、強欲の魔王の首は今にも飛びそうな感じである。心の声が全然見えないところを見ると本気で殺す気満々みたいだ。
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名称:日輪
刀匠:unknown
スキル:劫火の刀身、統一化、一体化、火炎吸収還元
特性:unknown
クラス:レジェンド
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というか、他の魔王が何も言えないって事は要するに力関係は黄昏、暁、白夜の三魔王>他の七魔王という感じなのかなぁ・・・?
「フェル、そろそろ剣を下げてやれ、どうせ殺す気は無いんだろう?」
白夜の魔王が特に慌てた様子も無く暁の魔王に問いかける。
「ちっ、止めるなよ。オウル」
暁の魔王は憮然とした顔で大剣を下げる。
その様子に周りの魔王も暁の魔王が剣を収めた事にほっと息を吐く。
う~ん、魔王同士の力関係ってとっても微妙なんだなぁ・・・
「だが、まぁ、確かに口を出してはいけない事に口を出したグリドには何かしらの粛清が必要だとは思うがそれをやるのは俺達じゃなくて先代を貶された黄昏の住人達じゃないか?君はどうしたい?」
そう言いながら白夜の魔王は私の頭の上からちらりと私とクロノスを見る。
あ、要するに私になにかしろって事ね
「う~ん。そうですねぇ・・・じゃあ、先代を貶してくれてましたし、口を出してはいけない事にも口を出したという事で過去の誓約に則って謝罪か慰謝料でも請求しましょうか?」
「ふざけるな‼新参者が何をもって過去の誓約とか言ってやがる‼」
私の言葉にさっきまで蒼い顔をしていた強欲の魔王が再び勢いを取り戻して喚きだす。
てか、貴方勉強不足の癖にうるさいよ。周りの魔王特にクリストさんなんて馬鹿を見る目になってるもん。
「はぁー、勉強不足ですよ。強欲の魔王グリド・ロイド。欲しい欲しいと言っているだけでなくちゃんと勉強しないと駄目ですよ?」
クスクスと笑いながらいきなり自分のフルネームを呼ばれて驚き黙り込む強欲の魔王を見ながら私はアイテムボックスからクリストさんに許可を取って持ち出した資料を引っ張り出し、全員に見えるように件の記録を出す。
そこには、他の国への侵略を制限する事や他国に対して侮辱的な発言や行動を取った際に行われる粛清に関する事などに同意する旨が各魔王の役職名でサインされていた。
「そもそも、記録によるとこの誓約は原初と呼ばれている三魔王ではなく七大罪の魔王と呼ばれている魔王から提案された物なんですよ?この誓約が満場一致で可決されたって事は過去の魔王達は仲が良かったんですかね?念の為なのか使われているのは魔法の契約書みたいですけどね。まぁ、これは写しですけど」
私が見せた紙に強欲の魔王は顔を顰めて私の予想通りの言葉を叫ぶ。
「どっちにしてもだからどうしたってんだよ‼別に俺がその誓約書にサインしたわけじゃねぇ‼」
「いやいやいや、関係大ありですよ?だって個人名でなく魔王という役職名でサインをしているんです。当然その役職を引き継いだ後世の魔王にも適応されますよ?ちなみにこの契約書の罰は最大のものに設定されているみたいですね。あと、誓約が破られた場合の罰ぐらいは知ってますよね?」
強欲の魔王は私の言葉に顔を引きつらせているが、何人かの魔王は首を傾げている様子が見て取れる。ちなみに最大限の罰則は死だ。
「さて、以上を踏まえて私達に謝罪するか、多額のお金を払うか選んでください」
「・・・くそ・・・黄昏の国に対し色々と口を出すような真似をして申し訳なかった。また、先代黄昏魔王を侮辱するような真似をして申し訳なかった。ここに伏して謝罪する」
にっこりと笑って強欲の魔王に問いかけると悔しそうな顔をしながらとうてい謝る様な態度じゃ無かったけど頭を下げた。
まぁ、良いよ。今回はそれで許してあげる。それにしても本当に勉強不足だね。私達にとって無知は罪だよ?
「さて、一先ず話が一段落した所で俺からもう一つ皆に報告が有る」
強欲の魔王に対する話が一段落し、私がクロノスの前の席に着いた所でクリストさんが口を開く。
「・・・なんだ。クリスト?まだ何かあるのか?」
(正直今日は疲れた・・・もう終いにして帰りたいのだが・・・)
クリストさんの言葉に何だか物凄く疲れた様子になった傲慢の魔王が答える。
「な~に、大した事ではない。長年過激派に席を置いていたが、今回のこの会議を機に俺は穏健派に移る事にする」
「「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」
ストリアさんの発したそんな一言に会議室がシーンとしてしまう。
「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」」」」
魔王達はその日、何回目か分からない驚愕をした後に本日の会議は終了になった。ちなみに暁と白夜の魔王もこの発言には大きな声を上げていた。
それにしても驚き方のタイミングやなんかを見ても実は本当に中が良いんじゃないかと思う。てか、私の時より驚いてない?
予定ではあと少しで今度こそ過去が終わる予定です。
ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




