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憤怒の魔王

おはようございます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。

第49話投稿させて頂きます。

楽しんで頂けたら幸いです。


 さて、暁の国から出て二日後、私達は無事に憤怒の国の首都イラに無事に着くことが出来た。

 そして現在、私とクロノスと毛玉ちゃんは憤怒の王の居城の控室で待機している。

 クロノスのお陰で憤怒の王と面会させ得て貰える事になったのだが、色々とデリケートな事情があったりするため、憤怒の王の執務が全て終わってからの面会になった。

 何分こちらは少し前に崩御したと噂になっている黄昏の王の後継者を名乗る妖しい小娘だ(相手は私が女だとはわからないだろうけど)。まぁ、色々調べる時間とかほしいよねぇ~、調べても何にも出てこないけど

 フードは憤怒の国に入った時点で被っているから大丈夫だし、あ、そうだ。片眼鏡外しておこう。それにしても、一体何時間経ったんだろうねぇ・・・いい加減暇だ・・・

 片眼鏡を外し、アイテムボックスに入れるとガチャっと音がしてドアが開く。


「クロノス様、コハク様、お待たせしました。ただいま、我らが憤怒の魔王様の執務が終了しました。王の間へお越しください」

(この少女が本当に黄昏の魔王か分からないが、まぁ、謀れば黄昏の国に攻め込む良い口実が出来る。本物だったら良い関係を築き利用するだけだ。見た感じ人間種の様だしどうとでもなるな)


 案内に来てくれた魔族さんがそんなことを思っているのを無視して部屋を出る。

 うん、そりゃあ、疑うよねぇ~。私でも疑うもの。でも、本物でも偽物でも貴方とは良い関係は築かないし、その本音が見えた時点でお付き合いもする気はないよ。

 憤怒の魔王に関しても何を思っているかによっては一切のお付き合いをするつもりもないよ。

 大体、貴方如きに負ける気もないし・・・


「貴方、失礼な方ですね。なぜ、我が魔王より先に私の名を呼んだのですか?主人より先に従者である私の名を先に呼ぶなど我が魔王を軽んじているのかな?」

(事と場合によっては滅ぼすぞ小物が‼)


 クロノスが私より先に名前を呼ばれたって、怒って殺気立っている敬語も途中で止めちゃった。呼びに来た魔族さんが二、三歩後退している。相手もそれなりに戦えそうなんだけどねぇ・・・まぁ、格が違うか。


「クロノス、今現在私が本物だって証明してないんだからしょうがないよ。怒らない、怒らない。案内をお願いします」

「はっ‼我が魔王、御見苦しい所をお見せしました」


 クロノス宥め毛玉ちゃんを預けつつ、いささか顔色が悪くなった案内人に着いて行く。

 しばらく歩くと一際大きな扉の前で案内人が待つように言い待機させられる。

 少ししてから扉が開き、その瞬間物凄い威圧感が圧し掛かる。クロノスと毛玉ちゃんは少しきつそうだ。

 私には効かないようなのでそのまま中に入って周りを見回すと臣下と見られる獣人や一見魔物に見える人達もきつそうな顔をしている。


「ほぉ?威圧程度では臆さないか・・・面白い」

(まず、第一段階は合格か)


 私が平然と歩いているとそんな私を見て憤怒の魔王はニヤリと獰猛に笑いながらそんな事を言って来る。

 そんな事を言われている私は、憤怒の魔王の顔を見て『憤怒の魔王って・・・ライオンじゃん‼』とか思っていたのは内緒である。


「お初にお目に掛かります。憤怒の魔王殿、新しく魔王になりました。コハク・リステナ・トワイライトと申します」


 挨拶をしてからお辞儀をし、憤怒の王のステータスを確認する。



 HP 356599/ 356599 MP 348312/348312 

 名前:クリスト・サムナー 229歳 Lv.130 近接戦闘術Lv.100 魔法Lv.85

 種族:獣人(レオ種・魔王種)

 ATK:SE2

 DEF:SF8

 MAT:SF1

 MDF:S6

 SPD:SF9

 



 うへ・・・化け物だ・・・それにしても、200年近く生きているみたいだけど前に見た師匠とほとんどレベル差が無いなぁ・・・上がりにくくなるのかな?


「ククク、疑われていると分かっているのに平然と黄昏の魔王を名乗るか・・・それで?何様でここに来た?」

(よもや挨拶だけとは言わないだろうな?)

「えっと・・・ちょっと聞きたいことが有ったのと後は単純に挨拶ですね」


 頬のあたりに右手を当て小首をかしげながらそう伝えると憤怒の王はいささか驚いたような、呆れたような顔になる。というか驚いたりしていても何となく怒っているような顔なんですね。


(なにぃ⁉たかが挨拶と聞きたいことの為だけに敵対している魔王の居城に来ただと⁉コヤツ正気か⁉)


 えぇ~、敵対しているって・・・話が違うじゃないですかストリアさん・・・


「あ、そうだ。そろそろ威圧を解除して貰っても良いですか?周りも辛そうですし」

「き、貴様ぁー、我らが魔王に意見するか!大体貴様、顔も見せずに我らが王を馬鹿にしているのか‼」


 いい加減私には効かない威圧の所為で周りの人達が辛そうなので威圧を止めて貰うように言うと憤怒の魔王の部下の一人が怒鳴り声を上げてきた。

 てか、そこ怒るところなの?まぁ、顔を見せないのは悪いと思っているけどね。


「黙らんか‼愚か者が‼」


 私に怒鳴ってきた部下に向かって憤怒の魔王が物凄い形相で怒鳴る。

 その様子に威圧をくらっている人達も一斉に身を竦ませる。怒鳴られた人なんて顔面蒼白だ。

 いやいやいや、威圧よりマジで怖いですって・・・私もビビってるもん・・・


「この者は黄昏の魔王としてここに来ている。私と同等の存在だと思わないか‼愚か者め‼身の程を知れ‼」

(大体、俺の威圧が効かない時点で俺より格上だという事がなぜわからない)


「し、しかし‼この者は黄昏の魔王を名乗っているだけであって明確な証拠を提示したわけでも王としての器を示したわけでもありま・・・」

「ほう?ならば王たる器を示せば納得すると?」


 そう言いながら憤怒の魔王は玉座から立ち上がると両手に双斧を召喚する。

 はぁぁぁ?なにそれぇぇぇぇ?魔王って武器を召喚出来るの⁉ずるい‼

 そんな事を思いながら思わず召喚された巨大な双斧を凝視してしまう。

             


 名称:憤怒の双斧

 製作者:unknown

 スキル:ライオンゴロシ、攻撃力アップ(特大)、攻撃力アップ(大)、物理攻撃無効スキル無効

 特性:怒りによる攻撃力強化

 クラス:レジェンド

             


 あぁ、魔王の専用武器って奴だ・・・多分見えている以外にもまだいろいろなスキルが有るんだろうなぁ・・・てか、レオ種(ライオンみたいな見かけの人)の持つ武器に付いているスキルがライオンゴロシってどういうネタなんですかねぇ?

 そんな事を考えている合間にも憤怒の魔王はどんどんと近づいてくる。


(ギリギリで止めはするがせめて魔王として恥ずかしくない受け方をしてくれ)


 そんな事を思いながら憤怒の魔王は右手に持っている巨大な斧を私に向けて物凄い速さで思いっ切り振り下ろした。

 クロノスや周りの人達が悲鳴を上げる中で私は一歩も動かずにその斧を受けようとする。

 私に斧が触れるギリギリの所で斧が止まり物凄い風が衝撃波となって辺りを包む。


「バ、馬鹿者‼一歩も動かないとはどういうつもりだ⁉貴様死ぬつもりか‼」


 心底驚いているという顔のまま憤怒の魔王が斧を消しながら聞いてくる。くそ・・・いいなぁ、便利そうで・・・


「え?だって殺すつもりは無かったんですよね?だったら下手に避けるのも危ないですし、何より貴方はそんな不意打ちみたいなやり方で殺すような人じゃないと思ったんで避けませんでした」


 まぁ、実際は目で見てわかっていたんだけどね・・・分からなければ恥ずかしながら漏らしてたかも・・・


「ふ、ふふふ、あーっはっはっはっはっは、聞いたか?レグナード?今の返答を聞いただけでもこの小童が只者ではない事ぐらいわかるだろう?正式に魔王か調べるのは今度の魔王会議の時にすればいい事だ。その時が来るまでこの小童を黄昏の魔王として扱え、わかったな?」

「は・・・はっ‼差し出がましい事を致しました申し訳ありませんでした」


 実に愉快そうに笑いながらそんな事を言う憤怒の魔王をぶっちゃけると驚いた顔で見ながら返事をしてレグナードと呼ばれた人は元居た所に戻って行った。


「さて、さっきはすまなかったな。取り合えずこの場が納得したところでそろそろ顔を見せて貰えないか?なに、心配する事は無い。敵対しているっていうのは穏健派と過激派同士というポーズみたいなものだ。即刻抹殺なんてことはせんよ」


 ひとしきり笑った後で私の方を向き顔を見せてほしいと言って来る。クロノスをチラッと見ると静かに頷くので問題ないと判断し、フードを脱ぎ改めて挨拶をする。


「改めまして、今代の黄昏の魔王になりました。コハク・リステナ・トワイライトと申します。」


 そう言って顔を上げると先程切りかかってきた時よりも遥かに驚いた顔をして憤怒の魔王が固まっている。


(アイシャ⁉)


 いやだから誰ですかアイシャって?私はコハクだって言っているでしょ?

 不思議に思いながら憤怒の魔王を凝視していると何とかフリーズ状態から脱することが出来たようで自己紹介をしてくれる。


「・・・いきなりすまなかった。今代の憤怒の魔王クリスト・サムナーだ。出会いは最低だったと思うが懇意にしてくれると助かる」

(いや、他人の空似だ・・・彼女の訳が無い)

「はい、よろしくお願いします」


 未だに混乱しながら差し出された右手を握り私は後に小父様と呼ぶようになるほど親しくなる人に出会ったのだった。


このお話含めて後2話でプロローグの所に戻れるようにしたかったのですが、無理そうなのでもう少し過去編が続きます。

ごゆるりと楽しんで頂けたら幸いです。

憤怒の魔王の斧は四国の勇者の女の子の双斧を想像していただければ幸いです。

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