厄介ごとはお呼びじゃないのよ‼帰れ!帰れ‼
おはようございます。
評価・ブックマークありがとうございます。励みになります。
第48話投稿させて頂きます。
楽しんで頂けたら幸いです。
「おい!もっと弓や砲弾を持って来い‼このタコ野郎ぶっ殺してやる‼」
「一般のお客を逃がしやすいように一部屋に集めろ‼荷物は置いていかせろ‼急げ‼」
「誰か海に落ちたぞ‼引き上げろ‼」
「暁の国から救援が来てくれるもう少し持ちこたえろ‼」
そんな怒声の飛び交う船上で船の外周を囲う転落防止用の手すりに結んだものすごく長い縄で体を固定してから頭を抱えてしまう。
・・・どうしてこうなった?
戦闘に参加義務の無い四等級の部屋の切符を買ったはずなのに私はなぜか戦闘に参加している。
理由は簡単だ。船を襲った襲撃者が海賊や小型の魔物ではなく《ユニーク》クラスのクラーケン(色は赤色でタコよりの姿)だったのだ。
雑魚寝組の冒険者でも事足りるのではないかと思われたのだが、苦戦を強いられ、慌てた船長が救援を要請したのだ。拒否権はもちろん無く私はこうして戦闘に参加する羽目になった。
後で絶対に船の代金請求してやる‼
大体、足が着かないような水のある所で戦闘なんてしたくないのに何でお約束の様に厄介事が舞い込んでくるのよ‼お呼びじゃないのよ‼帰れ!帰れ‼
え?なんでそんなに嫌がっているのかって?理由は簡単ですよ。私は泳げないんですよ‼
えぇ、そりゃもう命に係わるレベルで泳げませんとも前世でも小学校のプールはいつも見学していたし、家族で行ったプールも足の着く場所にしか行きませんでした。
そりゃあ、努力しなかった訳ではないけど終いには泳げないなら足の着かない所や水辺に近づかなければ良いじゃないという結論に達したわけです。
え?暑い日とか村で水浴びとかしなかったのかって?したよ?しましたよ。足の着く場所から動かなかったけどね。だから幼馴染達は私が泳げないことも知っているよ。
まぁ、こうなった厄介事にはとっととご退場頂いて海に落ちる心配の無い部屋にさっさと戻りましょう。てか、レスナよ。私の人生波瀾万丈すぎないかい?
あっ、ちなみに今の格好はしっかり闇魔法を掛け直したいつもの黒コートです。
私は間抜けにも命綱でしっかり固定した体を起こして剣を抜く。この縄の長さならクラーケンに飛び移っても十分な長さだろう。さっさとぶっ刺して電気流して終わらせてやる。
剣を構え、《ライトニング・オーラ》を自分に掛け私は助走を付け甲板を駈け出す。怒声を上げながら戦っている冒険者の横を駆け抜け一気に飛び出しクラーケンの額にカグツチを突き刺す。
「我を守りし、雷の精霊よ。白き稲妻となりて彼の者の身を焼きたまえ」
カグツチから手を放し後ろに飛ぶ。
「《オクタ・サンダーボルト》」
空中に身を投げ出した瞬間、カグツチに向かって白い稲妻が落ちクラーケンの身を焼く。
あっ‼くそ‼このクラーケンまだ生きてやがる‼
自由落下に身を任せながら軽く舌打ちし、懐から六枚の呪符を取り出しクラーケンに追い打ちをかける。
「《オクタ・ヘルフレイム》」
感電しているクラーケンを蒼い炎が覆い数十秒してからやっとその動きを止める。
ふう、死んだみたいだね。後でカグツチを回収しなくちゃ・・・あれ?というか落下が長くない?縄の長さ的にもそろそろ止まっても良い頃合いだよね?
疑問に思い上を見上げると手すりの一部をしっかりくっ付けたままの縄が目に入る。
あぁ、《ライトニング・オーラ》を使って一気に駆け抜けたから手すりが耐えられなくって折れちゃったのかぁ。
そんな絶望的な解答にポンっと手を叩くのと私の体が海に沈んで小さな水柱を立たせたのはほぼ同時だった。
・・・合掌
死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った
そんなことを考えながら私は海水でビショビショの服のまま船を降りる。
海に落ちた後、暁の国の救援である魔族のクラーケンさん(こちらは色が白色でイカよりの姿)に助けて貰わなければ確実に次の人生に旅立っていた。
クラーケンさん(名前は聞き忘れた)に救出された後でカグツチを回収し(幸いサンダーボルトを受けても破損などは無かった)、お祭り騒ぎのまま船は暁の国の港街(港街と言ってもかなり大きい)シノノメに着き今に至る。
全く、着替える時間ぐらい作って欲しかった・・・それにしても街の名前がシノノメって歴代の暁の魔王が皆転生者なのかな?
船着き場の職員さんから切符代を返金してもらい(本来戦わなくて良い等級の切符を買ったので当然の権利である)着替えが出来そうな場所を職員さんに教えて貰ってひとまず海水で濡れてしまった服を着替える。
とりあえず、アイテムボックスから適当な服(なんともう着る事は無いと思っていた学校の制服)を引っ張り出しソレに着替えカグツチと毛玉ちゃんを持って暁の国の市場を見ながら乗合馬車のある所まで行くことにした。
まぁ、魔族の国だしこの髪と目の色を見ても変な反応や嫌な顔をされる事は無いでしょう。結局人間の領土では怖くて大っぴらに顔を出して歩けなかったし・・・
「あ!我が魔王、少しこの薬屋に寄って頂きたいです‼」
シノノメの街を観光気分で色々と見ながら歩いていると薬屋さんの前でクロノスが私の肩をペシペシと叩く。
「薬屋さんに?何の用事?」
「私の魔力を回復するための薬がここにあるのです‼」
クロノスに聞くとそんな返事が返ってきたので急ぐ旅でもないので私は薬屋さんのドアに手を掛け中に入る。
「いらっしゃい」
カウンターの奥から獣人と思われるナイスミドルな店主さんが顔を覗かせ私を見て少し驚いたような顔になる。
まぁ、何処かの学校の制服を着た子供が入ってきたら驚くか・・・私でも驚く
「我が魔王これです。この薬を三本購入したいのです。カウンターに持って行って頂けませんか?」
そんな店主さんに一礼しクロノスの所まで行き薬のラベルを見て驚く。
そこには2年前にお世話になり私が魔王になる要因の1つになった梟印のエーテル薬とポーションが隣り合わせに並べられていた。お値段なんと人間領で買うより遥かに安い銀貨3枚ずつ。
まぁ…輸送料や関税を考えればもっともな値段なんだろうけど・・・分かってはいるんだけど・・・何て言うか・・・ねぇ・・・
「?我が魔王どうしました?」
密かにショックを受けている私にクロノスが不思議な顔で見てくる
「ううん、何でもないよ」
そう言いながらエーテル薬を5本とポーション2本手に取り(今後の為に少し余分に買っておこう)会計を行おうとした所でふと基本的な事を思い出す。
しまった・・・人間領は金貨が全部統一だったから大丈夫だったけどさすがに魔族領は同じ金貨でも変わってくるだろう着いたばかりで魔属領のお金持ってない・・・
「全部で小金貨二枚と銀貨一枚だね。どうしたんだい?」
私の顔を見て店主さんが声を掛けてくる。
うん、素直に言うのが一番だね・・・
「あの・・・すみません。この国に着いたばかりでまだお金の換金をしていなくてこの国お金をまだ持ってないんです。すみませんが、換金できる場所を教えて頂いても良いですか?」
その言葉を聞いて店主さんは優しい声で教えてくれる。
「あぁ、その事なら大丈夫だよ。暁の国は人間の国とも取引しているからそのまま使えるよ。価値も昔から統一されているしね。まぁ、人間側の金貨をそのまま使えるのは、この国限定だから魔族領のお金には替えないといけにけどね。換金所は三軒隣に有るからそこですると良いよ。まぁ、多少の換金料は取られるけどね」
「色々教えてくださりありがとうございます」
お礼を言い店主さんに代金を支払いお店を出る。
その後、教えて貰った換金屋さんで魔族領側のお金に換金してから乗合馬車の場所に向かう。
「プハー,私、フッカーーーーーーツ‼」
エーテル薬三本をごくごく飲み、元の執事服姿の男に戻ったクロノスがどや顔でそんな事を言っているがスルーして先に進む。
とにかくまずは、暁の魔王に会って色々聞こう。先代であるストリアさんもまずは暁か白夜を頼れって、言っていたもんね。
元の姿に戻れてはしゃぐクロノスを連れ乗合場で首都暁行きの馬車の切符を買い乗り込む。
驚いた・・・道が全部舗装されて整えられている。人間の住んでいる大陸よりよっぽど発達してるんじゃない?
そんなことを考えながら私は着いて早々にシノノメの街を後にした。
シノノメの街を出て早三日が経ち私達は暁の魔王がいる首都暁に無事に着き現在は暁の魔王の居城の前に居る。ちなみに格好はいつもの黒コート(道中の休息中に洗濯のできる場所が有ったので私は無事に海に落っこちた際の服をすべて洗うことが出来た)だがフードは被っていない。
「あ~、大変申し訳ないのですが魔王様はつい昨日、別の街に出てしまっているのでお帰りは数日後になります。あと、近い内にうちの国でやる会議の所為で城の幹部も対応できなくて申し訳ありません」
「いえ、私達も急な訪問だったので失礼致しました」
暁の城を訪問した私達は運悪く暁の王とすれ違ってしまったようだ・・・
まぁ、アポ無しだったのが一番の原因だよね・・・
「では、またお伺いします。ありがとうございました」
門番さんにお礼を言い私達はそのまま乗合馬車の停留場に向かう。
「さて、クロノス。暁の魔王には会えなかったけどどうすれば良いかな?とりあえず黄昏の国に行く?」
「う~ん、賭けにはなりますが、一度、憤怒の国に向かうのも良いかもしれません。あそこの魔王は過激派ですが、先代様も声を掛けていた方ですので何か力に為ってくださるかもしれません」
「じゃあ、そうしようか」
黄昏の国に入る前に別の魔王話を聞いておきたいので、私はとりあえずクロノス達を連れ憤怒の国に向かうことにした。
道中で魔族のサイクロプスさんに驚いてクロノスに「落ち着いてください。魔族です」って言われたり、トンネルを抜けた先の景色が古き良き日本の田園風景で驚いたのは地味に良い思い出になりそうだ。
コハクがお世話になっていた。冒険者の女性の名前を間違えていたので修正しました。アデル✖→アルデ〇
出来たら次の次ぐらいで子供時代を終わらせてプロローグの現代に戻れたらと思います。
ごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。




