だからやめましょうって言ったでしょ‼あんたフラグ立てすぎなんだよ‼ヴァカァァァァァァァァ‼
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おはようございます。第45話投稿させて頂きます。
楽しんで頂けたら幸いです。
朝の光が降り注ぐ静かな草原にブォンというような風切り音が響き背の高い周囲の草が一瞬で薙ぎ払われ粉々に砕け散る。
海王国メルルクを目指して街を出てから数日、皆がまだ眠っているのを確認した私は前日にキャンプを張った場所から離れ、怒りのままに闇雲にカグツチを振りまくる。
「てめぇら、護衛の意味分かって依頼受けてんのかぁぁぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼役に立たないのはてめぇだろぉぉぉぉぉぉぉ‼‼‼‼‼‼‼‼‼やる気ないならささっと死んで私の前から失せろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ギルドも紹介するならもうちょっと身元を調べてから紹介しろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
見張り番や寝ている皆に絶対に聞こえない位置に居るのを確認した後で私は口汚く叫びながら尚もカグツチを振るう。目の前の草が又もや薙ぎ払われ粉々に砕け散る。
え?なんでそんなにブチギレているのかって?そんなの簡単だ。理由はこの護衛依頼を一緒に受けているパーティー《《黒歴史》の連中の所為だ。
連中のこの数日の行動を思い出すと幾ら剣を振るっていても無心にはなれない。
まず、第一にこの数日で20匹程の魔物の群れに襲われること5回、連中(ファルナさんを除く)の取った行動と言えばルガーノさんを守ると体の良い事を言いながら後方に下がり(お前らの武器は飾りか?)私とラゴンさん達《旅人》のメンバーに全て押し付け、終わった後に私にのみ嫌みを言ってくる(ちなみに倒した数は私の方が《旅人》の人達より多い)。キャンプを張るのに魔物除けの結界を張るための魔道具(魔物除けの杭を打ち込み、結界を張って安全地帯を作り出す魔道具、通常買うとお高いが、ある程度の魔法が使え、魔道具の知識が有る人は作れる。ちなみに私は学校を出るまでの間に師匠から作り方を教わっている)を私が善意で取り出した時にそんな物が有るんなら早く使えと嫌みなことを言われ、その後その魔道具を早く使えと頼りまくること10回(通常は依頼主が使うのなら分かるが護衛の冒険者が使うことは採算が合わないのでまず無い)。休憩時間に私がアイテムボックス(皆から見たらアイテムポーチ)から出したお菓子を奪われる事10回、夕食時に作った食事(食事は各々で用意して食べている)を奪われる事10回。見張り番をファルナさんに押し付けサボること8回。
いい加減堪忍袋の緒が切れ掛かっているのだ。
剣の風圧でフードが脱げ、顔を出したのを良い事に私はカグツチを振るのを止め、乱れた髪を手櫛で整える。
「うん。やっぱ今夜殺そう。今夜は新月で月明りはないし。もう少し行けば森の中に入るし、死体は分からないくらいに顔をつぶせば誰も気にしないだろう。残ったファルナさんは《旅人》の人達の仲間に入れて貰えば良いし、うざいのも居なくなって皆ハッピーじゃないか・・・ハハハハハハ・・・・なんでこんな簡単な事に早く気が付かなかったのだろう」
光の無い目で空を見ながら私は一人感情のこもらない笑いを上げる。
ちなみに《《黒歴史》には《旅人》の皆やルガーノさんが再三にわたって注意にしたもかかわらず反省の色無しなのでもはや皆あきれてしまった状態だ。
「あ、あの~、我が魔王?お怒りは多少治まりましたか・・・?」
「ミッミ~」
クロノスと毛玉ちゃんがそんな私を見て怯えたように声を掛けてくる。
どうやら相当な殺気を出しているらしい。気づけば私の周りの草は綺麗に刈り取られており私を中心に綺麗な円が出来ている。
「クロノス、これぐらいで怒りが治まったら世の中に殺人なんて起こらないと思うの?」
「さ、左様でございますか・・・」
冷ややかな笑顔を浮かべながらクロノスの質問に答え、カグツチを鞘にしまう。
クロノスには悪いが今現在の私は冷静に話そうとしても怒気が滲んでしまうのだ。てか、堪忍袋の緒が切れかけている処か完全に切れているのではないだろうか?
微妙な空気を残しつつそろそろ見張りをしてくれているラゴンさんたち以外の《旅人》の皆が起きだす頃かと思い、フードを被り直しクロノスと毛玉ちゃんを抱いて皆の所に戻ることにした。
その数分後、森での殺害計画を自分の意志で頓挫させざるを得なくなるとは私は思ってもいなかった。
「《不死者の森》ですか?」
《旅人》の皆が起きファルナさん以外の馬鹿共が眠っている間に食事を済ませ、後片付けをした後に今後の道順についてルガーノさんとラゴンさん、カインさんと話をしている最中にそんな名前を聞き、私はフードの下で思いっきり嫌そうに顔をしかめてしまう。
「ええ、ルートでいうとこの森を突っ切って行くのが最短なのですが、名前の通りこの森には沢山のアンデットが出没するので決して安全な道ではありません。しかも今から通るとなると確実に森の中で一夜を過ごさなければいけません。危険は倍になります。得策とは言えないでしょう」
「人数的にも少々不安が残るし、俺達はこの森を迂回して行くルートを押したいと思っているんだが・・・」
名前の通りの説明をカインさんがしてくれてルートの案をラゴンさんがしながらちらりとルガーノさんを見る。
「危険なのは百も承知なのですが私としては仕入れの為にも出来るだけ早いルートでメルルクに着きたいと思っているので出来るのなら森を突っ切って頂きたい」
迂回ルートを提案した二人に対し、ルガーノさんは最短ルートでの強行軍を提案してくる。
通常の護衛パーティーなら森を突っ切ても問題ないだろうが今回は相方になるパーティーが役に立たないのでラゴンさん達はかなり渋い顔をしている。
私としてはラゴンさん達の迂回ルートに大賛成である。森で邪魔者共を排除できないというデメリットは有るがアンデットに遭遇する危険とは天秤に掛けられない。
実を言うと私にはこの世(前世に引き続き)に怖かったり苦手な物が二つ有る。その一つがお化けやゾンビ、宇宙人などのオカルト的な物なのだ。
正直に言って私はお化けが怖い。前世の妹である黒羽がにんまりしながら『おねぇの弱点を見つけた』というレベルで私はお化けの類が苦手なのだ。
ちなみに幸いなことにもう一つの苦手な物やお化けが怖いという事は同じ村出身の幼馴染であるテトやユユ達は知っているが師匠やアラン君には気づかれていなかった。
「なんすか~、ルガーノさんは最短ルートで行きたいんっすか~、ならそのルートで良いじゃ無いっすか~」
呑気に昔の事を思い出していた私の後ろから急に割り込んでくる何も考えていなさそうなその声を聴き思わず顔をしかめる。ラゴンさん達達を見るとラゴンさん達も思いっきり顔をしかめている。
振り向くとそこには案の定ソレが立っていた。
「依頼主であるルガーノさんの言葉が一番優先されるんじゃないっすかぁ~、それを俺っち達がとやかく言う権利はねえっすよぉ~。それに百パー、アンデットに遭遇するわけじゃないんっすからそんなに警戒しなくて言いしょ」
「私は反対です。さっきも言われていたようにこの人数だと不安もありますし、魔物除けの魔道具が効くかも不明です。ここは安全な道を通った方が…」
「あ、チビには聞いてないっすよぉ?余計な事言う暇があるなら俺の飯でも持って来いよ」
っと余計な事を言うゴミに対して私は冷ややかに意見を言うが、相変わらず無視されわけのわからん事を言われる。
てか、さらっとフラグ立ててんじゃねぇ。
「ヴィオ、食事はこっちに有るから早く食べてしまって」
カグツチを抜こうと思った瞬間、塵の後ろからファルナさんが声を掛け文句を言いながら塵が向かう。
「あ、そうだ!俺っちが皆にどっちのルートがいいか聞いといてあげるっすよぉ~。それで多かった方のルートで行きましょう」
っと去り際に余計な事を言い私達が止める間もなく所々が抜けた説明を塵がした所為で結局最短ルート派が多くなってしまい。私、ラゴンさん、カインさんの三人は不安を抱えながらも同意せざるを得なくなってしまった。
「キー」
鬱蒼と茂った森の中でそんな声を上げながら飛び掛かってくる大きな鼠の魔物を一刀両断し、カグツチを左右に振り血を払い鞘にしまう。
私達は予定通りに《不死者の森》の森に入り、道中で《ビックマウス》の群れと戦闘になりそれを何の危なげもなく処理した。もちろん、ゴミ共はファルナさん以外働かない。
「取り合えず片付いたな」
「はい、じゃあ私は皆さんとビックマウスがアンデット化しないように燃やしてきます」
私から少し離れた所でラゴンさんとファルナさんがそんな会話をしているのが聞こえる。
げぇ…切り殺した魔物までアンデット化するの・・・?マジで勘弁してほしいです・・・
「おい‼そんなの良いからこっちを手伝えよ!大体百パーアンデットになるわけでもないのに一々処理なんてしてんじゃねぇよ、全く使えねぇな‼」
フェリドさん達の方に行こうとするファルナさんを塵が強い口調で呼び戻すファルナさんは申し訳なさそうに皆の方を見る。皆は大丈夫という反応を返し塵の方に行くように促す。
なぜ皆がこいつらに何も言わないのかというと現状は我慢し、街についてからギルドに報告しようと考えているからだ。
森に入る前にディオロさん達からその事を聞いた私は抹殺計画を一時保留にし(さすがにアンデットの出る森で抹殺する勇気は私にはない)、その計画に乗ることにした。こいつら私の使った魔道具の杭をちょろまかしているので窃盗の罪も上乗せする事が出来る。私の使った物には全部同じ印を入れてあるので証明は容易い。
ちなみにファルナさんについては彼女さえよければ《旅人》に入らないかと交渉するつもりらしい。
「周囲も暗くなって来ましたし、ここで野営をしましょう」
大鼠と戦闘し、少しした所で周囲が暗くなりこれ以上動くのは危険と判断したカインさんがルガーノさんそう提案し、私が最も恐れていた森での野営が確定してしまう。
「そうっすねぇ~、おいチビ早く魔物除けの魔道具使えよ」
カインさんの言葉に同意しながら私に威圧的に言ってくる。そんな塵を無視しながら私は杭を打ち込みに皆から離れて行く。コートの中のクロノスが多少暴れていたので皆から見えない場所で宥め、私は設置作業を終了させた。
「じゃあ、深夜に為ったら交代するんでお願いしまっす~」
夕食を各自で済ませ、見張りに着いた私にそう言いながらとっとと寝床に行く奴ら見送り私はアルデさん達と話をする。
今日の見張り番は9時から12時ぐらいまでを私、アルデさん、カインさんで行い、12時から3時を《《黒歴史》のメンバー、3時から皆が起きだす時間帯までをラゴンさん、フェリドさん、ディオロさん達がやってくれる事になっている。
魔物除けの結界杭を使っていても相手は魔物だけとは限らないので見張りを立てるのは当たり前なのだ。
てか、私の見張り番の時にアンデットとか出てきませんように、今夜は寝るとき荷馬車の下で寝よう。目立たないし、万が一見てしまっても足だけで済むだろう。
そんな事を考えながら私はひたすら周りを見ないで音だけに集中して警戒する事にした。
さて、無事に自分達の見張り時間を終え、文句を言いながら交代に来た奴等と交代し(どうせこいつ等はすべてファルナさんに押し付けるのだろうが)私は先ほど考えた通り荷馬車の下に入り込み毛玉ちゃんを抱きながらそこで寝る事にした。
「襲撃です‼皆さん‼起きてください‼」
毛布に包まり地面に寝てから数十分後に異変が起こった。
ファルナさんが焦った声で敵襲を告げてくる。
私はその言葉になぜ自分が荷馬車の下で寝ていたのかも忘れてソレを思いっきり見てしまう。
鼻をツーンと刺す腐敗臭を撒き散らし、腐った肉を引き摺りながらズリズリと音を鳴らしたソレを・・・
「うんにゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
そんな絵に書いたようなゾンビ達を前に私は思わずカグツチを抜くのも忘れて盛大に悲鳴を上げ回れ右をし、全力で逃げ出す。
いぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ‼追いかけて来てるぅぅぅぅぅぅ‼
全力で逃げている私の後をさっきまでの緩慢な動きが嘘のように綺麗なフォームで走ってくるゾンビ、その後ろにはなぜかクラウチングスタートの姿勢を取っている奴までいる。
なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで⁉なんで私ばっかり追いかけて来るのぉぉぉぉぉぉ⁉
混乱している頭でちらりと周りを確認するとファルナさんとラゴンさん達は剣を抜き他のゾンビ達の相手をしている。他の役に立たない奴らは周りに見えない。
そんな余所見がいけなかった。私の進行方向に追い掛けて来ているのとは別のゾンビが回り込んで来たのだ。
「‼」
私は咄嗟にカグツチを抜きそのゾンビを上半身と下半身に切り倒す。
グシャっと湿った音と共に上半身が下半身から落ち・・・その動きを停止させる事無くこちらに向かって上半身と下半身は動いてくる。
「‘*+*?**‘{**+*‘{{‘+‘+L+`{{}*‼」
真横に切れば当然と言えば当然の相手の動きに私は声にならない悲鳴を上げ、その途端プツンと何かが切れ、その場に留まり魔法の詠唱を始める。
「我を守りし光の精霊よ。理に背き死に迷うものに安らかなる導きを与えよ」
魔法の詠唱と共に私を中心に巨大な魔方陣が展開する。
「オクタ・ホーリーサークルゥゥゥゥゥ。死にさらせぇぇぇぇぇぇぇ‼」
死んでいる相手によくわからない事を叫ぶのと同時に魔方陣から眩い光が放たれるその光に包まれた途端にゾンビ達は塵の様に消えていく。
「ちょっ‼我が魔王いきなりその魔法はマズ・・・」
「え⁉ちょ⁉俺達も⁉」
どこかでそんな声が聞こえたような気がしたが、全く余裕のない私はそのまま魔法を発動させ、ゾンビを消し去った後で意識を手放した。
次回は人間の領土を出る所まで行けたら良いなと思います。
ごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。




