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あ、師匠は要らないです

おはようございます。

第329話投稿させて頂きます。

誤字・脱字報告ありがとうございます。

今回はコハク視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

 突然笑い出したアラン君を見ながら私はどうしようかと考えていると先程までアラン君と同じ様に驚いていたライオネス王太子が口を開く。


「黄昏の魔王陛下。お久しぶりです。お体は大丈夫なのですか?」


 ライオネス王太子は一早く冷静に戻ったのか私の体の事を心配してくれる。


「お久しぶりです。ライオネス殿下。体は色々有って今現在は健康体です。それより・・・アラン君は大丈夫ですかね?」


 ライオネス王太子の問いに答えた後で未だに笑っているアラン君が心配になって問い掛けえると彼は苦笑い浮かべて答えてくれる


「貴方が生きていてくれた事が相当嬉しかったのでしょう。それで黄昏の魔王陛下。お願い事とは?」

「ここでは何ですのでクルシナ陛下にお目通り願えますか?」


 ライオネス王太子の言葉に取り敢えずクルシナ陛下に話を通すのが筋だと考え提案するとライオネス王太子も納得したのか直ぐに使いを出して対応してくれる。

 使いの人が戻ってくる間にアラン君の様子も落ち着いたので三人でしばし待つ。

 少しすると伝言を言いに行った人がクルシナ陛下から直ぐに会うとの返事を持って戻って来たので三人で謁見の間ではなくクルシナ陛下の元へと移動する。

 移動した先は謁見の間ではなくクルシナ陛下の自室でノックをして中に入ると謁見の間で見るよりも少しだけラフな格好をしたクルシナ陛下がソファーに座って待っていた。


「お久しぶりです。黄昏の魔王陛下。ご無事で何よりです」


 私の顔を見るとクルシナ陛下はソファーから立ち上がり声を掛けて来る。


「お久しぶりです。クルシナ陛下。今日は幾つかお願い事が有って来ました」


 扉を閉めてからクルシナ陛下に挨拶を返して私は早速、本題に入ろうするとクルシナ陛下が苦笑いを浮かべながら口を開く。


「黄昏の魔王陛下。急ぐのは分かりますがまずはこれだけ言わせてください」


 そう言うとクルシナ陛下は言葉を切り、私に向けて頭を下げる。


「帝国とクラシア王国との戦いの際に我が国に助力していただき感謝します。魔王陛下が無事で本当によかった」


 突然の事に面食らっているとクルシナ陛下は言葉を歩続ける。


「貴女があの場に介入してくれなければイリアは帝国とクラシア王国の手に落ちていたでしょう」

「頭を上げてくださいクルシナ陛下」


 頭を下げるクルシナ陛下に私は内心慌てながら頭を上げてもらうように促すとクルシナ陛下は笑みを浮かべながら口を開く。


「本当に感謝しているんですよ。私が頭を下げるぐらい安いものです。貴女の頼み事もできうる限り協力させてもらいます。まずは座ってください」


 そう言われて私は素直にクルシナ陛下の前のソファーにアラン君達と腰を下ろすとクルシナ陛下も席に着く。


「それで頼み事というのは?」


 全員が落ちつた所で私が魔王の時の格好でも会った事の有るクルシナ陛下の従者さんが全員分のお茶を淹れてくれて部屋から退室した後でクルシナ陛下が改めて私のお願い事について問い掛けて来る。


「まず、一つ目ですが魔族側はこれから強欲の国との戦争に突入します」


 私の言葉にクルシナ陛下だけでなくアラン君やライオネス王太子も疑問が尾を浮かべる。

 まぁ、これに関しては本来、人間側の国々には関係が無いのでこんな顔をされてもしょうがないだろう。でも、本題はこれからだ。


「貴国には強欲の国と戦争が終わった後で帝国とクラシア王国と戦う際に同盟を結んでいる他国と共に助力して頂きたいのです」


 私がそう告げるとクルシナ陛下が納得した様子を見せ、直ぐに口を開く。


「なるほど、分かりました帝国とクラシア王国の争う際には全力で助力させて頂きます。しかし、魔族が人間側に戦を仕掛けて大丈夫なのですか?」


 もっともな疑問に私は一つ頷き、理由を口にする。


「そこに対しては大丈夫です。先に仕掛けて来たのは向こうです。他の国々も納得してくれました」


 此処に来る前に話を通しておいた他の国の事を口にするとクルシナ陛も納得してくれる。


「了解しました。それなら今度は早急に外に居る帝国兵をどうにかしないといけなくなりましたね・・・」


 私の説明に納得したクルシナ陛下が今度は外の帝国・クラシア兵について思案するのを見て私は口を開く。


「あ、外の連中ですけど全員撤退していましたよ。イリアの結界が厄介だと思ったんでしょうね。私が作った壁も崩しましたからもう結界も解除しても大丈夫だと思いますよ」


 私が外の様子を告げると部屋の中の空気が目に見えてホッとしたように緩む。

 外の様子が分からなくて相当に神経をすり減らしていたのだろう。

 その様子を見て私は二つ目のお願いを口にする。


「そして二つ目のお願いなんですが、こっちが本題なんです。レイン先生を暫く私の国へと連れて行き、治癒魔法の教授をお願いしたいのです」


 私が告げた二つ目のお願いにクルシナ陛下が首を傾げるので私はまた説明をする。


「実は最後の勇者が見つかりましてその人物が快癒の魔法の使い手なんです。私では治癒系の魔法を完全に教える事が出来ないので専門の型に教えて頂きたいのです。私が知っている限り、レイン先生が一番の適任なんですお願いできませんか?」

「なるほど、分かりました。しかし、本人には魔王陛下から直接交渉をお願いします」

「分かりました。ありがとうございます。私のお願い事は以上です」


 思ったよりもスムーズに話が纏まり、内心でホッとしているとクルシナ陛下が再び口を開く。


「ゴルデュフェスも付いていくと言うと思いますがよろしくお願いします」


 クルシナ陛下の言葉に私はスッと真顔になり口を開く。


「あ、レイン先生にはぜひとも来ていただきたいですけど師匠(先生)は要らないです」


 その後はクルシナ陛下と師匠の不毛な押し付け合いが始まり、隣で座っていたライオネス王太子が苦笑いを浮かべながら「一応うちの国の最高戦力の一人何だけどなぁ・・・」と言っていたのが何だが印象的だった。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。

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