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剣の帰還

おはようございます。

第327話投稿させて頂きます。

誤字・脱字報告ありがとうございます。

今回はコハク視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「こんにちは、親方居ますか?」


 城から出て旅装で前に来た時と同じ事を受け付けのお弟子さんへと問い掛ける。


「魔王様!少々お待ちください直ぐに親方を呼んできます‼」


 私の事を見てお弟子さんはやっぱり前回同様に転げる様に走りながら親方を呼びに走ってくれる。

 少しだけ待つと親方が珍しく慌てた様子で奥から出て来る。


「お嬢‼本当にお嬢か⁉怪我は大丈夫か⁉」


 親方は私が思っていた以上に私の事を心配してくれていたらしく私の怪我などを心配してくれる。


「お久しぶりです。親方。ご心配をおかけしてすみませんでした。見ての通り健康体で戻ってきました」


 私がそう言うと親方とお弟子さんがホッとした様子で息を吐き、親方が口を開く。


「ヴァネッサの嬢ちゃんにお嬢が五体満足で帰って来たとは聞いていたがそれを聞いて改めて安心したぜ・・・」

「本当にご心配をお掛けしました」


 ホッとして力が抜けた様にそういう親方に改めて謝る。

 どうやら私が思っている以上に心配させてしまったようで申し訳なくなってくる。

 私が謝ると親方は体に力を入れて立ち、口を開く。


「いや、お嬢が無事で本当に良かった。それにな、こいつも無駄にならなくて本当に良かった」


 そう言うと親方はカウンターの下から布に包まれた何かを取り出す。

 ———長さと机の上に置いた時の音からして恐らく剣か?

 机に置いた時の音と長さからそれが何なのかを予想していると親方が気難しそうな顔にニヤッと笑みを浮かべて口を開く。


「お嬢、開けてみな」


 親方にそう言われて机の上の包みを丁寧に開き、中から出て来た物に私は思わず目を見開く。


「《カグツチ》・・・」


 刀身は見慣れた朱色に黒色がマーブル模様の様に入っているが見慣れた柄の造りの愛剣が完璧な姿で私の前に置かれている。


「どうしてここに・・・」


 小父様とレクセウス達を失ったエリス・ケールとの戦いで葵さんの《ラファエル》のスキルによって破壊され、半分は帝国に置いて行くしかなかった剣を見て私は呆然としながら疑問を口にすると親方は私の驚いた顔に満足しながら経緯を話してくれる。


「アルの坊主が帝国に戻る時に付いて行ってな。お嬢達が戦った場所まで連れて行って貰ってな。砕かれた欠片を拾い集めたんだ。まぁ、完全には回収出来なかったんで先代の鱗を混ぜ込んで強化した。お嬢、振ってみな」


 親方に言われるままに《カグツチ》を手に取ると懐かしい重さに少しだけ嬉しさがこみ上げて来る。手に持ち何回か柄を握り感触を確かめてから私は誰も居ない空に向かって《カグツチ》を演舞として一通り剣を振るう。

 《アメノミナカヌシ》と遜色無く手に馴染む剣に笑みを溢しながら私は親方へ向けて口を開く。


「親方、最高です。危険を冒してまで・・・本当にありがとうございます」


 笑みを浮かべながら親方に《カグツチ》の感想を伝えると親方は満足そうに頷く。


「喜んでくれんなら何よりだ。それよりもお嬢も前より動きのキレが良いじゃねぇか」

「色々あって戻ってから体調はすごく良いんです。親方、この《カグツチ》の修理代金はいかほどですか?」


 親方の言葉に答えて《カグツチ》の修理代金を訊ねる。

 私が親方にそう訊ねると親方は笑っていた顔から何処か困ったような顔になって私の質問に答える。


「あー、まぁ、その、修理代だが、物によっては無料で良い」


 歯切れ悪くそう言う親方に私は顔を顰める。

 正直に言って《カグツチ》を直してくれた親方に対して無料等という不義理をするつもりは全く無いのだが親方の言葉を待つ。


「お嬢、《カグツチ》に魔力を通してみてくれ」

「?」


 何でそんな事を言われたのか今一分からなかったが私は親方に言われるがままに手元の《カグツチ》に魔力を流す。


「‼」


 魔力を流すと《カグツチ》から黒い炎が吹き上がり、刀身を包み込みまるで《フレイム・エンハンス・アーマメント》を使った様になる。


「剣の繋ぎの材料に先代の鱗を使った影響なのか魔力を流すと黒炎を吹き出す使用になっちまったんだ・・・それでも良ければ今回の《カグツチ》の修理に金は要らねぇ」


 何故か申し訳なさそうにしている親方の言葉を聞きながら私は眼で現在の《カグツチ》のステータスを確認する。


 ☆


 名称:カグツチ

 刀匠:ストリア・グランデ・トワイライト

 スキル:熱伝導(大)、磁気無効、盗難防止、黒炎

 〇〇〇〇〇〇〇〇

 特性:永久不変、完全滅却

 クラス:レジェンド


 ☆


「・・・」


 クラスが一つ上がっている事と人の手で《レジェンド》クラスの武器を生み出した事、二つの出来事に驚きながら私は頑として修理代を受け取ろうとしない親方を何とか説得して双方合意の金額を何とか決めて正規のお金を払うのに苦労する事になる。

 何はともあれ愛剣が戻って来た事を心強く感じながら私はイリスへと向けて転移魔法を発動させた。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。

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