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宣誓布告

おはようございます。

前回はお休みさせて頂き、ありがとうございました。投稿を再開させていただきます。

第321話投稿させて頂きます。

今回はコハク視点です☆の後は第三者視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「さて、彼がこちらに戻って来た時点で諸君らを存在をさせている理由が無くなった訳だけどどう考えているのかな?」


 ヴェルドミールを牢屋から出してあげてメイド長に上へと連れて行くように指示を出し、今まで手こずらせてくれた牢の中の連中へと冷たい視線を向ける。


「ま、魔王陛下。お言葉ですが我々に今一度チャンスを・・・今度こそ、貴女様に忠誠を誓います。お願いしましす。どうか我々にチャンスを・・・」

「そ、そうだ‼ヴェルドミール殿が許されたのだ我々にもチャンスを・・・」

「黙れ」


 都合の良い事ばかり言う連中に殺気を込めて言葉を発して連中を黙らせる。


「今までどれだけ貴様らの事を大目に見て来たと思っている?今までだって何度か協力できるようにチャンスは与えてやったが全て蹴って敵対したのはお前達だろう?自分が危機に陥ったからと言って虫の良い事ばかり言うな。メルビス。この連中の処刑の準備を」


 檻の中の連中に言いたい事を言ってから私はメルビスに連中を処刑する手配を頼む。

 そんな私にメルビスは少しだけ驚いた様子で口を開く。


「裁判は行わないのですか?」


 メルビスは私が裁判を行わない事が意外だったのか少しだけ驚いた様子で訊いて来る。


「必要ない。こいつ等が強欲の国や帝国と繋がっていてそれが原因の一つで今回の騒動が起こった事も全て裏が取れている。裁判はやるだけ時間の無駄だ」


 私の言葉を聞いて騒いでいる連中に背を向けて最後の言葉を掛ける。


「お前らは刑が執行されるまでそこで震えていろ」


 後ろから私を呪う様な罵声や怒鳴り声を聞き流しながらメルビスを連れて牢から出て行く。

 色々な覚悟を決めたからか少し前なら連中を処刑する事や言葉に悩んだり傷ついたりしていたかもしれないが今は驚くほど感情が凪いでいる。

 まぁ、今はやらなければいけない事が山ほど有る所為で感情が追い付いてないだけかもしれないけど・・・

 そんな事を考えながら牢から出て廊下を歩きながら私は次の指示をメルビスに飛ばす。


「メルビス。全軍団長に戦争の準備の通達をしてくれる?」

「戦争ですか・・・?一体どこに?」

「強欲の国を潰す。その為の準備を皆にして貰ってくれる」


 私から戦争を仕掛けるという言葉を聞き、メルビスは目を見開いて私を見ている。

 まぁ、驚くのは分かるよ?私だって本当は戦争なんてしたくないし・・・

 内心で溜息を吐きながら私はメルビスに説明をする。


「今回の反乱の扇動や帝国やクラシア王国と共謀してこちらに被害を出してくれたツケを払わせる」

「はっ、承知しました」

「さぁ、宣誓布告をしようか」


 グリドの対する怒りを抑え込みながら残った他の魔王達に根回しをする為に私は速足で執務室へと向かった。


 ☆


「てめぇら・・・勝手に撤退しやがって・・・国がどうなっても良いらしいな?誰がテメェらの魔王を殺したのか忘れてねぇだろうな?」


 黄昏の国の通信機器の技術を盗用した通信装置から顔を覗かせている傲慢の国と怠惰の国の責任者にグリドは威圧的に喋りかける。

 そんなグリドを二ヶ国の責任者は冷めた目を向けながら傲慢の国の責任者が口を開く。


「残念ですが我々、傲慢の国と怠惰の国はもうあなたの命令に従う事はありません。そもそもが命令を聞いていたのも不意打ちで魔王様を殺され、国その物を人質に取られていたからです。それが解消された以上、貴方の命令を聞く義務などありません」


 傲慢の国の現代表がグリドの事を馬鹿にした様にそう告げると怠惰の国の現代表も同意する様に頷く。

 自分よりも格下の二人に馬鹿にされ、グリドは顔を赤くして口を開く。


「テメェら‼負けた国の連中が偉そうに‼良いだろうテメェらがそういう態度なら望み通り傲慢の国も怠惰の国も滅ぼしてやる‼」

「あぁ、それは困るなぁ」


 グリドが怒りに任せてそう宣言すると何処からか聞き覚えのある女の声が聞こえて来る。


「誰だ⁉」


 グリドが驚きながら叫ぶと傲慢の国と強欲の国の代表が映っている窓の他に通信機から七つの窓が出現し、そこに各国の魔王の姿が映し出される。


「やぁ、グリド。随分好き勝手やってくれたじゃないか」

「コハク・・・てめぇ・・・本物か・・・」


 新たに現れた窓の一つに映っているコハクの姿を見てグリドが忌々し気に口を開く。


「まぁ、表向きには私は無事で通していたけど君の事だからどうせ事情は知っているんだろう?だから余計な手間を省いて要件を単刀直入に言わせてもらおうか?」


 憎々し気に睨むグリドを意にも返さずコハクは暗にグリドが何をしたのか全て知っていると仄めかしながら言葉を続ける。


「黄昏の国を含む全国で強欲の国に宣誓布告をする。無駄な犠牲を出したくなかったら降伏しろ」


 冷たく言い放たれた言葉にグリドはしばし硬直してから先程よりも顔を赤くして怒鳴り散らす。


「ふざけんな!何の権限が有ってテメェらが攻めて来るってんだ‼」


 自分の事は棚に上げ、戦争を仕掛けると言った面々に怒鳴り散らすコハクはが溜息を吐きながら心底呆れたように口を開く。


「何の権利も何も自分の胸に手を当てて考えてみろ?お前はやりすぎたんだよ。開戦は一月後、それまでに覚悟を決めておけ」


 コハクは最後にそう言うと強制的に通信を切る。

 それに続くように他に魔王や代表者も次々に通信を切っていく。

 全ての通信が切れた時にグリドは漸く自分の置かれている状況がもうどうしようも無い物になってしまったのだと思い至った。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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