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嫉妬の国の現状

おはようございます。

第313話投稿させて頂きます。

今回は光の視点です。

前回、前々回とお休みさせて頂き申し訳ありませんでした。

楽しんで頂けたら幸いです。

 平時ならば美しい海と白い砂浜が楽しめる綺麗な国は、今は傲慢の国との国境付近で鎧を着た大勢の人で物々しい雰囲気を漂わせている。

 幸いな事に嫉妬の国の軍と私達勇者が力を合わせているのと敵が強欲、傲慢、怠惰の軍を合わせた合同軍にも拘らず傲慢と怠惰の国の兵士が士気の割には強欲の国には分からない程度に何処か手を抜いている様子で何とか国境付近で食い止める事が出来、少し前に皆で遊びに行った街や首都までは押し込まれていない。

 ———皆で遊びに行ったのが懐かしいなぁ・・・

 そんなに昔の事でもないのに皆と遊んだ時の事が無性に懐かしくなり、その光景がもう二度と見られない事が悲しくなり私は自分に割り当てられた野営テントの中でゆっくりと息を吐く。


「皆に会いたいなぁ・・・」


 嫉妬の国に来て一ヶ月程なのに皆に会いたくてしょうがない。

 正直、ここでの今の楽しみ何て最近、レヴィさんが神薙先生を意識し始めたことぐらいだ。

 精鋭でも何処かやる気のない傲慢と怠惰の兵士と違い強欲の国の兵は好戦的で前線に出て来ていたレヴィさんが攻撃されたのを神薙先生が庇って無事で済み、それ以降レヴィさんは神薙先生の事が気になっているらしいのだ。

 この戦いが無事に終結したら始まるかもしれない恋物語にこんな状況でも少しだけ楽しみにしているとテントの外から私を呼ぶ声が聞こえて来る。


「光さん。まだ起きてる?」

「あ、はい。起きてます。坂月先輩」


 .

 テントの外から私の事を呼ぶ坂月先輩の声に答えながら立ち上がりテントの入口を開けて坂月先輩に顔を見せる。

 嫉妬の国の軍の中で未だに少しだけ居心地の悪そうな様子の坂月先輩は私の顔を見てホッとしたような顔をする。

 坂月先輩は別に魔族側に悪感情は無いけどクラシア王国に良い様に使われていた事を気にしているのか魔族側の人達にはまだ少しぎこちない。

 ———でも、坂月先輩も精神的に回復したようで良かった・・・

 一時は酷く落ち込んでいた坂月先輩は私とゆめちゃんでケアをして何とか持ち直してくれた。


「レヴィさんが呼んでいるの一緒に来てくれる?」

「?分かりました」


 夜も遅くなっているのに珍しいと思いながら坂月先輩の言葉に同意し、テントから出て坂月先輩とレヴィさん達が待っている別のテントへと向かう。

 陣地の中でも一際大きなテントの中に入ると神薙先生とレヴィさん、その他の嫉妬の国の将軍さん等が長テーブルを囲んで座っている。


「ヒカリ、サカヅキさん。よく来てくれたわね。遅い時間ごめんなさいね。二人とも座ってくれるかしら?」


 上座に座りながらレヴィさんが私達にも席に座るように促してくれるので席に着く。


「さて、こんな時間に皆に集まって貰ったのは他でもないわ。良い知らせと悪い知らせが有るのだけどどちらが聞きたいかしら?」


 疲れた様なうんざりした様な顔をしながらレヴィさんが本題に入る。


「陛下、良い知らせと悪い知らせとは?」


 レヴィさんの臣下が首を傾げながら聞き返すがレヴィさんはギロッと音がしそうな雰囲気でその人を睨んでから口を開く。


「言葉のままよ。で?どっちから聞きたいのかしら?」

「嫉妬の魔王様。発言しても良いですか?」


 明らかに機嫌が悪いですよといった様子のレヴィさんの言葉に神薙先生が手を上げて発言の許可を求める。


「か、カンナギ様。どうぞ・・・」


 神薙先生の言葉にレヴィさんが不機嫌そうな顔から少し頬を染めながら神薙先生に先を促す。


「士気にも関わりますからまずは悪い報告からされてはどうでしょう?嫉妬の魔王様もよい報告を最後にした方が気分も軽くなるのではないでしょうか?」

「ご助言感謝します。そうさせてもらいますね」


 神薙先生の提案を乙女の顔で採用するレヴィさんに内心でニヤニヤしながらレヴィさんからの悪い報告を聞く。


「では、まずは悪い報告から・・・密偵からの報告で敵は明日、こちらの四倍増しの軍で決着を付けに来るつもりの様よ」


 レヴィさんの言葉に私も含めた全員が騒めく。

 そんな私達を見ながらレヴィさんは頭痛を堪える様に言葉を続ける。


「大量の傲慢と怠惰の軍の追加とさらに強欲の国が飼っている魔物の搬入が確認されたらしいわ」


 レヴィさんの追加の言葉に全員で思わず顔を顰めてしまう。


「では、陛下。良い知らせは?」


 悪い知らせが一通り済んだと見た臣下の一人がレヴィさんに問い掛けると彼女は少しだけ顔に笑みを浮かべて口を開く。


「フェル・・・暁の魔王から援軍を送って貰える事になったわ。更にメルルク王国へ派遣されていた暁、白夜、風の勇者達もこちらに合流してくれるみたいよ。予定では明日にはこちらに着くらしいわ」


 その言葉に会議に参加しているメンバーから「おぉ」と声が漏れ、皆の顔に少しだけ活気が戻る。


「フェルの言葉には何か含む所が有ったけど目下の私達の目標は被害を最小限にして暁の国の援軍を待つ事に決定するわ。全員無駄死にしない様によく言い含めておきなさい。じゃあ、明日に備えてよく休むこと。解散」


 大きな不安の中に少しの希望を持ち、私達は体を休める為に各々のテントへと戻って行った。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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