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310/332

少女漫画で予習済み

おはようございます。

第310話投稿させて頂きます。

今回はコハクの視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「さて、コハクちゃん。色々説明して欲しいかな?かな?」


 一通りの再開の喜びを済まし、ごめんなさいフェーズに入ると夢菜さんが某サスペンスホラーの少女の様に語尾を二回言いながら目が笑っていないにこやかな笑顔で私の事を問い詰める。

 あれ?なんでだろう?死を覚悟していた時よりもすっごく怖い?


「おう、そっちもシバキ終わったか?」

「夢ちゃん。終わりましたか?」


 土下座で周囲の様子を窺っていると乾君と山辺君が和登君をシバキ終わったのか和登君とクロを連れて私達の元へと歩いて来る。


「お疲れ様です。いっくん。乾先輩。今、シバキ中です」


 乾君と山辺君の言葉に夢菜さんは目が笑っていないままの笑顔で答える。


「気持ちは分かるが一旦切り上げるぞ。ラルフリード陛下に色々報告しなきゃなんねぇ・・・それとコハク、久しぶりだな。正直、助かった。ありがとう」


 乾君(救いの神)は夢菜さんにお説教を止める様に言ってくれると私の方を見てお礼を述べて来る。


「皆が無事で私もホッとしたよ」


 乾君の言葉に私も土下座を止めて立ち上がり、三人に笑いながら答える。


「で、ラルフリード陛下に会う前に一つコハクに訊きたい事が有るんだが・・・彼女は誰なんだ?」


 このままラルフリードさんの所に行くのかと思っていると乾君は少し困った様子でフードを被ったまま何故か乾君の顔を覗き込んでいるクロを指さして私に問い掛けて来る。

 そんなクロに全員で不思議な視線を送りながら私は乾君の質問に答える。


「彼女は宮城 黒羽。私の恩人で欠番だった勇者だよ」

「「‼」」

「‼‼」


 乾君と山辺君は勇者という言葉に夢菜さんは黒羽という名前に驚いた顔をする。


「えっと、お姉。皆に言ったって事はこのフードってもう取っても良いの?」


 私の言葉で乾君の顔をひたすら覗き込んでいたクロが此方を向き、フードを指差し訊いて来るので頷いて答えるとクロはフードを脱ぎ、隠していた顔を顕わにする。

 その顔を見て夢菜さんが改めて驚いた顔をして口を開く。


「クロちゃん‼」


 クロの顔を確認した夢菜さんが駆け出してクロに飛びつくように抱き着き、クロも抱き返す。


「ユーちゃん‼無事⁉怪我は無い⁉本当に心配したよ‼ヒーちゃんは?」


 抱擁を交わしながらクロが此処には居ない光さんの事を訊ねる。実は私も気になっていた。

 クロの事を抱きしめたままクロの質問に答える。


「ひかちゃんは別の国に居るけど元気だよ。大丈夫。クロちゃんはどういう経緯でここに?」

「あー、それはヒーちゃんと合流してから話したほうが良いかも長くなると思うし・・・あと、私も二人と乾先輩に訊きたい事もあるし」


 体を離して首を傾げて問い掛ける夢菜さんにクロは光さんが合流してから話すと言って話を切る。

 まぁ、確かに話は長くなるよね・・・あと、ラルフリードさんも待たせているしね。

 クロに言われてとりあえず話を一旦切り上げてラルフリードさんの元へと向かう。


「イヌイ殿、ヤマノベ殿、ミナセ嬢。無事で良かった。戦争の終結に助力して貰い。感謝する」

「いえ、俺達だけでは被害はもっと大きかったか守り切れませんでした」


 玉座から立ち上がり最上級の礼をしてお礼を述べるラルフリードさんに乾君は力不足を嘆く様に苦い顔で答える。


「いや、其方達が居なかったらこの国はもっと早くに落ちていただろう。今この国が無事なのは其方達のお陰だ。自分達の力を過小評価するな」


 乾君の言葉にテルミアによく似た顔に柔らかい笑みを浮かべながら乾君の言葉を否定する。


「そして後ろの御仁、我が国を助けてもらって感謝を・・・コハク様?」


 乾君達にお礼を述べ、後ろにいる私達へと視線を移したラルフリードさんは私の顔を見て目を見開く。


「お久しぶりです。ラルフリード様。お元気そうで何よりです」

「生きて・・・いた・・・」


 私が笑みを浮かべてラルフリードさんにそう伝えると彼は驚いた顔のまま何かを呟くと足取りが心配になるレベルでよろよろと私の元へと歩いて来て私の手を握り崩れる様に床に膝を着く。


「よかっ・・・・た」


 突然、崩れ落ちる様に膝を着いたラルフリードさんに私達や彼の家臣が驚いているとラルフリードさんがポツリと私の身を案じてくれて居た事が分かる言葉を口にする。


「えっと・・・ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」


 恐らく、私がテルミアと同じ年齢だという事も有って彼に無用の心配をかけてしまった様子なのでラルフリードさんに謝罪の言葉を口にする。


「本当です‼貴女はもっと自分の事を大切にするべきだ‼」


 私の言葉に彼は私の手を握ったままキッと睨んで私の事を叱る。

 正直に言って反論出来ない事なので素直に叱られて置くしかないと思っていると私とラルフリードさんの間に誰かが割って入る。


「トオ!」


 若干、不機嫌そうな和登君が私とラルフリードさんの間に自分の体を捻じ込み、つないでいた手を離させる。


「君は?」


 明らかに引き攣った笑みを浮かべて問い掛けるラルフリードさんに和登君は何故か私の手を握って口を開く。


「ご無礼をお許しください。ラルフリード陛下。自己紹介が遅れて申し訳ありません。俺は光の勇者で狗神 和登と申します。あと、コハクの恋人です」


 和登君は相手を牽制する様な笑顔で自己紹介とついでに私の恋人である事をこの場の全員に宣言する。

 ・・・どうでもよくない事だけど和登君?それ普通に不敬罪になっちゃうよ?

 思わず目を丸くしながら和登君を見るがそれよりも目をキラキラさせて口元を抑えている夢菜さんが目に入ってしまう。

 ———あ、これ、物凄く面倒くさくなっちゃう奴だ・・・シロの時に少女漫画(進〇ゼミ)で見たやつだ・・・情報を訊くのにも時間が掛かっちゃうなぁ・・・

 祝勝ムードから一転して何とも言えない空気になってしまった謁見の間で私は誰にばれる事も無く密かに溜息を吐いた。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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