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怒る権利ぐらい有ると思う

おはようございます。

第309話投稿させて頂きます。

今回も乾の視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「えっと・・・久しぶり、ただいま・・・」


 目の前の人物達が本当に存在している事が信じられずにマジマジと銀髪の少女と後ろの龍を戦闘中にも関わらずガン見してしまう。

 そんな膠着状態が暫く続いていると転移者が隠れていると思われる場所から笛のような音が聞こえて来てコハクが放った《サイプレス》に尻込みしていた生き残りの魔物達が再び前進を始める。


「えっと・・・とりあえず。向こうの魔物を全滅させれば良いのかな?どこか攻撃しない方が良い所とかある?」


 俺達が呆然としている事に若干の気まずさを感じているのか前進を始めた魔物を指さしながら俺に指示を求めて来る。

 俺に訊く事ではないのでは?と若干の疑問を感じながらも予想外の事で回らない頭を何とか回して答える。


「笛の音が鳴った所に魔物を操っている帝国の転移者が居る。なるべくなら生け捕りにしたい」

「分かった。善処する」


 どうにかメルルク王国の意向を伝えると何時もなら分かっただけで済ませるコハクは瞳に冷たい光を宿しながら善処すると良い、光沢のある黒い剣を抜き、ネージュに飛び乗ると上に乗せていた二人を降ろして指示を出す。


「ネージュ。上空に飛んで《フリーズブレス》」


 コハクの指示でネージュが空に飛び、口を開いて冷気を凝縮したブレスを広範囲に放ち残った魔物達を一瞬で氷の彫像へと変えていく。

 厄介な魔物であるベヒモスまで投入された絶望的な戦闘は予想外の助っ人の登場により、一時間もかからずに敵の本陣も壊滅して終了した。


「くそ‼放せ‼離しやが・・・グヘェ」


 縄で拘束された兵士や将官の中で能力封じの枷を着けられたボロボロでボコボコの男が騒がしく喚きたてるがコハクが容赦の無い蹴りを食らわせてさらにボロボロのボコボコになって黙らされる。

 正直、絶望的な状況下に居たメルルク王国の兵士達が付いていけずに呆然としているのが可哀そうすぎる。

 てか、行方不明になる前よりコハクが強くなってね?

 連行されていく帝国の連中を見ながらそんな事を考えているとネージュから降りてきた二人組の背の高い方の人物が俺に近づいて来て目の前でフードを取る。


「狗神・・・」


 コハクが生きていたのだから無事だとは分かっていたのだが行方不明だった友人の顔を見て驚き声を漏らした俺にコハクと同じ様に気まずい様子で狗神が口を開く。


「あ~、その、ただいま・・・」


 言い難そうにそう言った狗神の顔に俺は迷う事無くグーパンで殴りかかる。


「うお⁉」


 突然の俺の行動に狗神が声を上げて避ける狗神に更に殴りかかる。


「ちょ⁉乾⁉頼むから少し落ち着いてくれ‼」

「テメェ‼どの面下げて戻って来やがった‼」


 軽々と俺の攻撃を避けながら俺に落ち着けと言ってくる狗神に腹を立てていると唐突に後ろから抑えられて声を掛けられる。


「乾先輩。どうしたんですか落ち着いて・・・狗神先輩?」


 暴れる俺を窘めようとしていた戌夜が俺と同じように狗神の顔を見て驚愕の表情を浮かべる。

 俺の動きが抑えられた事により狗神がホッと息を吐くが戌夜は狗神の顔を見ると俺の拘束をあっさりと解き、俺と共に狗神に殴りかかる。


「敵が増えた⁉」


 狗神は俺と戌夜に殴りかかられている事に訳が分からないと困惑している。

 困惑している狗神には悪いとは思うが俺と戌夜がブチ切れているのは当然の事だろう。

 なんせコイツがコハクの事を止めに行った際に俺達に何の相談もなく一人で行きやがった。

 戦力にならなかったかもしれないがそれでも一言ぐらい有っても罰は当たらなかったのではないかと今でも思う。


「グェ‼」


 そんな事を考えながら殴りかかっていると俺の拳が奴の顔へ戌夜の拳が鳩尾へと突き刺さり狗神が先程の帝国の転移者と同じ様な悲鳴を上げて地面に転がる。

 視線を別の方に向けると遠くではコハクが湊瀬に土下座をしている姿が目に映る。

 まぁ、コハクの事を聞いた時の湊瀬と早乙女の事を考えると当然だろうな。

 そんな事を考えてからおれは狗神に手を貸して起き上がらせてから息を一つ吐き、整えてから口を開く。


「さて、狗神。居なかった間の事は皆がそろってからきっちり聞かせてもらうぞ。それと、よく無事だったな・・・お帰り」

「たった今、無事じゃなくなったような気がしなくもないけど・・・心配かけて悪かったな・・・ただいま」


 殴った事によって気まずさがなくなったのか何時もの様子で笑いながらそう口にするのを見て俺も口に笑みを浮かべる。


「あの~、そろそろ私にも色々説明して貰っても良いですかね・・・?」


 友人との再会をお互いに喜んでいると狗神と一緒にいたもう一人のフードの人物が控えめに手を上げて話に入ってくる。

 声の感じからすると女性みたいだが・・・誰だ?

 恐らく何者かを知っているのだろう狗神は俺と女性の事を交互に見ながら何とも言い難い顔をしていた。

此処までの読了ありがとうございました。。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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