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帰還

おはようございます。

第307話投稿させて頂きます。

今回はコハクの視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

「・・・」


 和登君とお付き合いする事になったお祭りから一夜明け、皆で向こうの世界へと向かう当日、私は若干の寝不足を感じながらのネージュを起こさない様にベッドから出て一階のキッチンへと向かう。

 一昨日、クロと一緒に出掛けた際に購入した食材を4人分の朝食を作りながら調理していく。

 正直に言うと向こうに行ってクロだけがこの家に戻って来た時にあの子の食生活が心配だ。

 冷凍食品やレトルト食品を否定する訳ではないが流石にそればかりでは体に悪いし、何よりあの子は好きな物しか食べないので偏りが酷い。

 そんな事を考えながら日持ちする煮物や佃煮等の惣菜を作りタッパーに入れて魔法で急速に冷やしてから冷蔵庫や冷凍庫に仕舞っていく。

 え?帰ってくるまでに腐るって?それはまぁ、色々と都合が有るのよ。

 一人で誰に対する答えかわからない答えを頭の中で答えながら作業をしていると足元でニャアという声が聞こえてきて目を向けるとあんみつが何かを言いたげに座っている。


「ご飯だね。ちょっと待っててね。」


 あんみつに向けてそう言い、カリカリを彼女のエサ皿へと入れてあげると彼女は直ぐにエサ皿へと近づき、食べ始める。


「お姉、おはよう・・・」

「あるじぃ・・・おはよう」

「おはよう。二人とも」


 あんみつにご飯を上げて朝食も後は人が揃うだけという状態になり、ソファーに座って休んでいるとクロとネージュが同時に起きて来たので挨拶をする。


「クロもネージュも眠そうだけど大丈夫?」

「大丈夫。ちょっと配信が長引いただけだから」

「うん。だいじょうぶ」



 眠そうな二人に声を掛けると二人共大丈夫と言って顔を洗いに行く。

 まぁ、二人共ちゃんと着替えて来て居たので大丈夫だろう。

 その様子を見送っていると玄関のチャイムが鳴ったので私は出迎える為に玄関へと向かいドアスコープから彼の姿を確認し、ドアの鍵を開けて彼を出迎える。


「おはよう。和登君」

「おはよう。コハク」


 お互いに笑みを浮かべたまま挨拶を交わし、和登君を家の中に招き入れて全員で朝食を摂る。

 昨日クロが和登君に朝ご飯を此処で食べれば良いと言った事には少しだけ驚いたけど色々な手間も省けたので良い案だった。

 全員で朝食を摂り、クロに先程作った惣菜の説明をしてからアイテムボックスから私の冒険者用の服(コユキの服)を出してクロに渡して着替える様に言い、私も此処に来た時に来た黒い服を取り出す。


「服変えるの?」


 クロが渡された服に不思議そうな顔で訊いて来るのでこの服が防具の代わりになる事などを説明する。

 和登君は先に空き部屋へと移動して着替えを行っている。

 少しして三人共着替え終わったのを確認し、私は皆に向けて口を開く。


「最終確認をするね。今からこの家に空間魔法で向こうの世界とのゲートを開いて私の世界へと渡る。ただ、私も和登君も向こうの世界から離れすぎているから今、向こうがどんな状況になっているのかは分からない。ここまでで何か聞きたい事は有る?」

「はい‼お姉一個だけ言いたい事が有る‼」


 とりあえずの情報共有の為に現状の事を話、何か質問がないかを訊ねるとクロが大きく手を上げて口を開く。


「何?」


 クロの問いかけに首を傾げて言葉を促すとクロは口を開く。


「私に貸してくれた服のサイズが合ってないよ⁉胸の部分はブカブカなのにそれ以外はキツイって何なの⁉嫌がらせ⁉どういう体型してるの⁉」

「・・・」


 何故か逆ギレの口調でそう言われて私は何も言えずに黙ってしまう。

 まぁ、服のサイズは私に合わせてある物なのでそんなのは最初から分かっていた事なのだが今それ言う⁉

 若干、気が抜けながら私は溜息を吐き、クロの言葉に答える。


「服に関しては向こうに着いたら作り直すから今は我慢して。それじゃあ、他に質問がなければそろそろ行こうか?」


 とりあえず他に確認する事は無いと判断し、私は空間魔法でゲートを開く。


「コハク。俺が先に行くよ。場所は星詠み亭なんだよな?」

「うん、情報源の話が確かならね」


 オリジンの話によると世界の境界線を越える場合にも行き先は自分が強く思っている場所との事なので今回は星詠み亭を指定する事にした。

 ニアさんは驚くだろうけどそこはまぁ、久しぶりに顔を見せるという事で勘弁してもらおうと思う。

 そんな事を考えている間に和登君が何の躊躇いもなくゲートを通っていく。


「お姉。これやっぱり入るのに躊躇しない?」


 クロはゲートの雰囲気がやっぱり気に食わないのか最初に見た時と同じように入ることに難色を示す。


「じゃあ、ここで待ってる?」

「お姉の意地悪・・・」


 クロは若干膨れながらネージュの手を引いてゲートを潜って行く。


「じゃあ、行ってくるよ。冷蔵庫の物は書いて有る紙に従ってね」


 皆が行って一人しかいない家で私は一言そう言うと皆の後を追ってゲートを潜った。

此処までの読了ありがとうございました。。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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