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お出かけ前のトラブル

おはようございます。

第301話投稿させて頂きます。

今回は黒羽視点になります。

楽しんで頂けたら幸いです。

「じゃあ、ネージュは俺の方で面倒を見ておくよ」

「うん、ありがとう。狗神君。ネージュもありがとうね」

「先輩、ネージュちゃん。行ってきます」


 お姉の話を聞いて翌日、私とお姉はネージュちゃんとネージュちゃんの面倒を見る為に再び我が家に来てくれた狗神先輩に見送られながら家を出る。


「それで?クロ。今日はどこに行くの?」


 家を出て駅へと向かう途中でお姉が何処に行くのかと訊いて来る。

 そう言えばお姉には行き先を告げていなかった事を思い出し、歩きながらお姉の問いに答える。


「今日は水族館に行こうと思ってるよ。小さい頃に行った事が有るけどお姉は憶えてる?」


 未だに疑っている本当にお姉なのかという疑問も込みでお姉に訊いてみるとお姉は特に悩む様子も無く答えてくれる。


「あぁ、あのラッコがご飯を食べているのが間近で見られる所?」

「うん。そこそこ」


 お姉の即答に内心で喜びながら駅への道をお姉と駅への道を歩いていると私達の行く道を阻む様に誰かが私達の前に立つ。

 私達の行く道を塞ぐ人物の顔を見て私が嫌悪感の籠った視線を向けると相手はいやらしい笑みを浮かべて喋り出す。

 どうでも良いけどどうしてシロちゃんやお姉と一緒にいる時にこいつは出て来るんだろうか?


「へっへっへ。そんな嫌そうな顔をしないでくださいよ。ちょーっとお話聞かせてくださいよ。先日、遊園地で起きた化け物騒ぎの事も含めてね」

「何度も言っているでしょう。貴方に話す事なんて何もないし、今騒がれている化け物の事なんて関わりなんて何もないわ」


 あの化け物に私達が遭遇していると何処か確信めいた口調で喋る男にうんざりしながら何時もの用に無視して脇を抜けようとすると唐突に腕を掴まれる。


「だーかーらー、つれないこと言わないでよ。おじさんも生活がかかっているからさぁいい加減話聞かせろよ」

「っ・・・」


 前回遭遇した時にシロちゃんに抱えられて逃げられた事に相当頭に来ていたのか男が私の腕を掴む手に力を入れる。

 力の入れられた腕の痛みに顔を歪ませると男の手首を白く細い手が掴み、私の腕から引きはがす。


「そこら辺にして貰おうか?これ以上は貴方が警察にお世話になる事になるよ?」


 私やネージュちゃんや先輩に話しかけてくる時より明らかに温度の低い声音でお姉は男の腕を掴みながらそういうお姉の顔を見て男は一瞬、驚いた様な顔をするが直ぐに何時もの下品な笑みを浮かべて口を開く。


「・・・あんた、この前の子かい?前と随分雰囲気が違うが部外者は黙っててくれねぇかなぁ?大体、年上に向かって取って良い態度じゃねぇだろ!」


 お姉がどれだけ強い力で掴んでいるのかは分からないが男は威嚇するような口調で喋りながらお姉が掴む手を振り払おうとするがピクリとも動かない。

 そんな男をお姉は冷めた目で見ながら言葉を続ける。


「貴方に相応の態度をする価値が有ると?鏡を見てきたらどうです?それとこれからも黒羽や他の人達に付き纏うのを辞めないと言いたいんですね?」

「は‼俺はそれが仕事だからな‼いい加減手を放せ‼テメェの方こそ警察に訴えるぞ‼」


 自分の事は棚に上げて身勝手な事を喚く男にお姉は相変わらず冷めた目を向けたまま口を開く。


「そうか。じゃあ、貴方は私の敵だね」


 そう言ってお姉は相手の手を離すと目にも止まらぬ速さで相手の頭を掴む。


「ちょ、お姉‼」


 先日の化け物に対する容赦の無さを思い出し、流石にここで人死にはまずいと思い冷静になって貰うためにお姉に声を掛けるがお姉は私に構わずに口を開く。


「《オクタ・ドミニオン》」


 お姉が一言そう呟くと黒いオーラの様な物が男を包むと抵抗していた男の動きが止まる。

 お時雄の動きが止まったのを見てからお姉は男の顔から手を放し、カバンから除菌シートを取り出して手を拭きながら些か目が虚ろになった男に向けて声を掛ける。


「私達と行方不明の人達の事は忘れてお前が書いた下種な記事は全て処分しろ。二度と私達に関わらず。他人に迷惑をかけるな。分かったら行け」

「・・・はい、ご迷惑をおかけしました」


 お姉がそう命令すると男は先程までの様子が嘘のように素直に引き下がり私達の前から姿を消す。

 あっさりと居なくなった事に唖然としているとお姉が何時も通りの口調で声を掛けて来る。


「邪魔な奴は片付いたし、駅に行こうか?アイツは二度と姿を現さないよ」

「・・・お姉。今何したの?」


 どうという事は無いといった様子のお姉に私は思わず呆然と問い掛ける。

 お姉が何かを呟いて黒い何かが男を包んだら急に男が素直に引き下がり二度と現れないと言われ些か呆然としてしまった質問にお姉が答えてくれる。


「ん?あぁ、私の使える魔法の中に闇属性の物が有ってね。それでちょちょいと相手の精神を弄って私の支配下に置いて命令しただけだよ。この後の事も考えて二度と関わらないように命令したから安心してくれて良いよ」


 ———それって要するにせんn・・・

 お姉の言った事に内心で突っ込みを入れようとしたけど辞めて私は駅に向かおうと促す。

 正直、初動でケチが付いた様な気がしなくもないが明日の先輩とお姉の事を考えると文句を言う気もないし、絶対に楽しみたいので気にしない事にする。あと、今まで以上にお姉を怒らせない様に気を付けよう・・・

 そんな事を考えながら私はお姉と一緒に駅へと向けて歩き出した。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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