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この子、本当に俺の事嫌いだよなぁ・・・

おはようございます。

第278話投稿させて頂きます。

今回は和登視点になります。

「さて、一息つきましたし、お話を始めましょうか?ね?先輩?」


 そう言って俺の思い人だった子と似た顔でにこりと笑みを浮かべながらそう言う宮城 黒羽の顔を見ながら溜息を吐き、頷いて肯定する。

 ———この子、本当に俺の事嫌いだよなぁ・・・嫌われる様な事した記憶無いのだけどなぁ・・・まぁ、目の前の彼女と彼女の姉で有るゆきさんを間違えたことが有るのは認めるが・・・

 過去の事を反省しているとそんな俺を呆れた様に見ている宮城 黒羽が口を開く。


「それで先輩。どうします?情報をお互いに出し合います?それともゲームでもしてどちらかが情報を総取りにします?」

「・・・いや、普通に情報の共有をするけど?」


 宮城さんの提案に俺が間髪入れずに普通に情報共有する有無を伝えると宮城さんは何だか面白くなさそうに女の子がしちゃ駄目な顔で俺を見てから口を開く。


「はぁ、面白くな・・・オーケーです。さっきの発言で私の信用は無いでしょうから私から先にシロちゃんとの事を教えますよ。もちろん。嘘は言いません」


 彼女は溜息を吐き、シロさんと出会った経緯を教えてくれる。

 宮城さん曰く、シロさんは深夜に宮城邸の敷地内に倒れていた所を一週間前に保護したらしい。

 所々破けた軍服の様な服を着て全身血まみれで先の方だけ白色の長い髪をして倒れていたらしい彼女は目が覚めた時には記憶が無かったらしい。ただし、体には傷も傷跡も一切なかったらしい。

 そこまで聞いて俺はシロさんがコハクだと確信して思わず安堵の溜息を吐く。


「あの・・・先輩。それでシロちゃんはやっぱり先輩の探している人なんですか?」


 俺の反応を見て宮城さんは俺に見せている嫌いですと言う態度を潜めて何処か不安そうな顔と声音で俺に問いかけて来る。

 そんな彼女の不安そうな顔を見て俺は一つ頷いて彼女にとっては絶望的な言葉を告げる為に口を開く。


「あぁ、宮城さんから聞いた話で確信したよ。シロさんはコハクだ」


 コハクの体中に有った傷跡やあの戦いでの傷が無い事、髪の長さ変わっていた事などの説明が出来ない所も沢山有るが宮城さんの話を聞く限り、彼女はコハクで間違いない。

 俺が宮城さんに伝えると彼女は、今度はあからさまに不安そうな顔で口を開く。


「直ぐにシロちゃんに全部を話して連れて行くつもりですか?」


 普段、俺と話す時には見せる事の無い明らかに不安だと分かる様子の彼女に俺は安心させる様に声を掛ける。


「いや、彼女が知りたいと言うのなら俺の知っている彼女の事を教えるけど俺の方から彼女に接触しても彼女を混乱させるだけだからしないよ。彼女と一緒に前に居た場所に戻ろうにも戻り方が解らないしね・・・」


 そう伝えると宮城さんホッとした様子で口を開く。


「・・・そうですか。私が話せる事は以上です。次は先輩の番です」


 俺が直ぐにはコハクにこの事を話さないと聞き、ホッとしたのか何時もの態度と口調を意識した様子で今度は俺が話す番だと促してくる。

 そんな彼女の様子に俺は注意事項と彼女が最も知りたいと思う情報を口にする為に口を開く。


「わかった。ただ、今から俺の話す話は荒唐無稽に感じると思うから一概には信じられないと思うという事は分かっておいてくれ。それとまず君が一番気になっている事から教えるよ」


 俺がそう前置きを口にすると宮城さんはこくりと頷く。


「まず、君の友達の早乙女さん、湊瀬さんだけど彼女達は俺と同じ場所に居た」


 俺の言葉に宮城さんの方がピクリと震えるが、何も言わずに俺の言葉の続きを促す。

 その様子を見てからまず、俺達、行方不明とテレビ等で言われている人間が何処に行っているのか、そこで何をしているのか、何が起こっているのか、皆は無事なの、シロ・・・コハクは何者なのかそれらの情報を宮城さんに伝えていく。

 俺の分かっている事を全て伝え終えると宮城さんは息を大きく一つ吐き、口を開く


「先輩。今言った事、本気で言ってます?」


 訝しげに見える彼女の表情にやっぱり信じられなかったかと思い。口を開こうとすると彼女は俺の顔を見て言葉を続ける。


「あ、ごめんなさい。私の言い方が悪かったです。先輩の言葉を疑っている訳じゃ無いです。ただ、ちょっと情報量が多くって頭がパンクしそうなだけ何です。先輩はこういう事で嘘を言わないって知ってますから・・・すみません。ちょっとトイレに行ってきます。戻ってきたら今日は解散しましょう」

「あぁ、そうしよう」


 宮城さんが多少、顔色を悪くしながら席を立ち個室から出て行く。

 彼女が席を外している間に彼女の分も会計を済ませておく。

 少しして戻って来た宮城さんは会計が済んでいる事を知ると自分の分の代金を渡して来ようとしたが頑として受け取らず、不満そうな彼女に向けて口を開く。


「それじゃあ、宮城さん。今日はありがとう。また何か有ったら連絡をくれ。あと、引き続きあいつを見かけたらよろしく・・・」

「こちらこそありがとうございました。先輩。いい加減、決着を付けたらどうです?それと近々、シロちゃんから連絡が行くと思うのでちゃんと対応をお願いします」

「あぁ、分かった」


 最後にそんな会話を交わして俺と宮城さんは時間を置いて別々に個室を出てそれぞれの帰路に着いた。

 最初に宮城さんに呼び出された時はどうなる事かと思ったがネージュに少しだけ良い報告が出来る事と俺の中に有った不安が和らいだ事が少しだけ救いだった。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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