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三本の指に入るレベルで嫌いな奴

おはようございます。

第277話投稿させて頂きます。

今回は黒羽視点になります。

「嘘・・・見失った?」


 走りながら目を左右に動かしてここには居ないはずのゆーちゃんとひーちゃんの二人の姿を探しながら人込みをすり抜けながら走り抜け、二人を見失った所で立ち止まって周囲を見回す。


「さっきまで私の目に見える範囲を歩いていたはずなのになんで・・・?」


 暫く周囲を見回して探してみたが二人の影すらも見つける事が出来ず、私は肩を落とす。


「しまった・・・シロちゃんを置いてきちゃった・・・戻らないと・・・」


 一通り周囲を見渡してみたが二人の影も形も見つけられず、私は肩を落としてシロちゃんの元に戻る為に振り返る途中で嫌な人物を見つけて私は思わず声を上げる。


「うげ‼」


 元来た道を戻ろうと振り向く途中でこの世で三本の指に入るレベルで嫌いな女を見つけてしまい私は思わず顔を顰めて一人で声を上げてしまう。

 幸い、向こうはまだ私に気が付いていない様なので人混みに紛れて元来た道を引き返す。

 自分で思ったよりもシロちゃんの居る場所から離れていた様で人を避けながら急いで元の場所へと歩を進める。

 やっとシロちゃんと別れた御影屋が見えて来た所で私はシロちゃんを見つけて駆け寄ろうとするが誰かと話している様子でナンパかと思い目を凝らすが話している人物を見て足を止めてゆーちゃんとひーちゃんを見つけた時の様に目を見開く。


「今日は一体何なのよ・・・」


 私の視線の先には私の大切な友人二人と同じ様に現在、行方不明中の狗神 和登が何やら必死な様子でシロちゃんに話しかけている。

 ———あの人に聞きたい事は有るけど何よりあの人とストーカー女を合わせる方が面倒くさい。確実にシロちゃんが巻き込まれる。

 そこまで考えてからスマホを取り出してLanを開いてとある理由から交換していた狗神 和登の連絡先を引っ張り出して文章を打ち込む。


『ストーカー女が近くに居ますよ。彼女から離れて至急この場から離れてください。あと、話が有るので後日、私と話の席を設けてください』


 私が送ったメッセージを見たのか狗神 和登が自分のスマホを確認して顔を顰め、シロちゃんと二、三、会話を繰り返して鞄から紙を出して何かを書き、それをシロちゃんに手渡してからシロちゃんの腰の辺りに向けて何かを言うと8歳ぐらいの女の子がシロちゃんの腰から離れて女の子と手を繋いで少しだけ足早に去って行く。

 本当はシロちゃんとどういう関係なのか、ただのナンパなのか、なんで行方不明のはずなのに此処にいるのか等をこの場で確認すれば良いのだが、例の狗神 和登のストーカー女が近くに居るのでリスクが高すぎる。

 彼等がシロちゃんから離れたのを確認してから私は小走りにシロちゃん近づき、声を掛ける。


「シロちゃん‼いきなり走り出して置いて言ってごめんね」


 後ろからシロちゃんに声を掛けると彼女は驚いた様に私の方を向き、口を開く。


「黒羽さん。戻られたんですね。大丈夫でしたか?」


 私と離れて不安だったのか私の声を聞いてシロちゃんはホッとした様子で笑みを浮かべている。

 見れば別れた時と違って原二郎さんに撮影のお礼に貰った帽子を被っている。ひょっとしたら私の居ない間に何か嫌な思いをしたのかもしれない。

 そんな彼女に申し訳なく思いながらシロちゃんの手を引く。


「置き去りにしちゃって本当にごめんね。今日は後一軒寄る所が有るからそこに寄って帰ろうか?」


 狗神 和登と何を話していたのかは敢えて聞かず、手を繋いだまま近くの携帯ショップに入り、今回の様な事がまた起こらないとも限らないのでシロちゃん用のスマホを私名義で購入する。

 私と同じ機種だが店員さんの推しが強く、シロちゃんの希望する色ではなく新色の薄い桜色になった事はまた別のお話。

 他にもケースやストラップ等の必要な備品を買い、私達はお店を出て帰路に着き、一日を終えた。


 翌日、私は外行き用の服に着替えて下へと降りてあんみつと一緒にソファーに座りながらスマホに慣れようと首を傾げながらスマホを弄っているシロちゃんへと向けて声を掛ける。


「シロちゃん。ちょっと出かけて来るからお留守番しておいてくれる?」

「分かりました。お昼はいりますか?」


 私がそう声を掛けるとシロちゃん此方を向き、お昼は居るのかと問いかけて来る。


「ううん。お昼は食べて来るから大丈夫」

「分かりました。また、昨日の記者がいるかもしれないから気を付けてください」

「うん‼それじゃあ、行ってきます‼」


 心配してくれるシロちゃんの声に応えて家から出て待ち合わせをしている地下に有って個室になっているカフェに向かう。

 カフェに着き、店員さんに名前と待ち合わせだという有無を伝えて席へと案内して貰うと待ち合わせ相手はもう来ており、落ち着かない様子でカップに口を付けている。

 個室のドアが開き、私が案内されて入ってきた事により相手は慌てた様子で席から立とうとする。

 そんな狗神 和登に私は溜息を一つ吐いてから口を開く。


「先輩。なんでそんなに焦った様子なのかは分かりませんが時間は有るんですからゆっくり話をしましょうよ?」


 私が呆れた様にそう言うと狗神 和登はバツが悪そうにしながら再び席に。

 それを確認してから私も狗神 和登の前に座って店員さんに紅茶とケーキを頼む。

 少しして店員さんが注文したものを持って来て紅茶を一口飲んでから私は再び、口を開く。


「さて、一息つきましたし、お話を始めましょうか?ね?先輩?」


 私が笑みを浮かべながらそう言うと狗神 和登は物凄く嫌そうな顔で頷き返した。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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