表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
273/332

見つけた‼・1

おはようございます。

ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

第273話投稿させて頂きます。

今回も黒羽視点になります。

楽しんで頂ければ幸いです。

「ふぅ、何とか撒けましたかね?」


 何とかとは?というような圧倒的な速度で記者の男を撒き、私を降ろしながらシロちゃん

 は周囲を警戒しながら口を開く。

 そんなシロちゃんに私は苦笑いを浮かべながら口を開く。


「ありがとう。シロちゃん。正直に言って本当に助かっちゃった・・・」


 先程の記者の顔を思い出し、私は若干のイラつきを感じながらシロちゃんにお礼を言うと彼女は何故か私より機嫌が悪そうに口を開く。


「いえ、黒羽さんの迷惑じゃなかったのなら良かったです。でも、何なんですかね?あの人。人が迷惑をしているのに自分の事ばかりでしたし、わたし達を見て考えている事も何か厭らしい感じでしたよ?」


 顔を顰めながら言う彼女を見てそう言えば人の考えている事が見えてしまうんだと思い出す。最初の頃の事で気を使ってくれていたのか全くそんな素振りを見せなかったから全然気にしていなかった。

 そんな彼女に私も苦笑を浮かべながらあの不愉快な男の事をシロちゃんに教える。

 まぁ、教えるほど私もあの男の事は知らないのだが・・・


「あの人はフリーの記者らしいよ。個人で私の友達も巻き込まれている行方不明事件を追っているみたい。まぁ、記事の内容は低俗で妄想ばかりの物だったから記者としてのレベルは低いみたいだけど・・・」


 毒の有る物言いなのを自覚しながらシロちゃんに男の事を話し、私は気分を変える様に明るい口調を意識しながらまだ顔を顰めているシロちゃんに話しかける。


「まぁ、シロちゃんのお陰で大した事も無く切り抜けられたよ。本当にありがとう。気分を変えて今日は楽しもう」


 私がそう言うとシロちゃんは顰めた顔を笑みに変えた後に少しだけ困った顔になって私に問いかける。


「黒羽さん。今日は街に行って何をするんですか?」


 道の真ん中で止まりながら話していては邪魔になるし、あの男が追いかけて来る事も予想できるのでシロちゃんに歩く事を促してからシロちゃんの問いに答える。

 どうやら彼女の街に対する印象は服を買ったり髪を切ったりという印象が強いらしい。


「今日はね。映画を見たり、ケーキがおいしい喫茶店に行ったり、今日は徹底的に楽しむ為に行くんだよ‼」

「楽しむ為?」

「そう‼楽しむ為‼」


 そう言って私はシロちゃんの背中を押し、歩く速度を早める。

 そう、今日は少しだけ皆の事は忘れて徹底的に楽しむだけ・・・


 ———ウソジャナイヨ・・・・。


 彼女の視界外で私はもう一つの目的の事を考えながら歩き、私達は電車に乗り込んで街へと向かった。



「映画面白かったね」

「はい。大きな画面と音でビックリしましたけど面白かったです」


 暫くして街に着き、私達は映画を見終わって感想を言いながら私達は次の目的地である喫茶店へと向かって歩く。

 実はこのカフェでちょっとした人と約束をしているのだがそんなことは微塵も考えずにシロちゃんと一緒に喫茶店へと入る。


「いらっしゃいませ。黒羽ちゃん」


 お店に入るとエプロン着けた妙齢の女性が笑顔で出迎えてくれる。


「こんにちは、紗良さん。二人でお願いします」


 私の言葉にこのお店の店主である紗良さんが興味深そうに私の後ろにいるシロちゃんを見る。


「ああ・・・なるほど。その子が・・・分かったわ。奥のテーブルにどうぞ」


 紗良さんはシロちゃんを見て少しだけ、同情するような視線を向けた後で私達を席へと案内してくれる。


「お任せケーキセットを二つでお願いします」


 席に着いて直ぐにシロちゃんの意見を聞かずに二人分の注文を紗良さんにするとシロちゃんが驚いた様子で声を上げる。


「黒羽さん。ケーキセット二つも食べるんですか?」


 私の顔を見ながら不思議そうな顔をしている彼女に私は笑いながら首を振って否定する。


「違う違う。勝手に注文して悪かったけど片方はシロちゃんの分だよ」


 私がそう言うとシロちゃんは驚いた顔で口を開く。


「黒羽さん⁉知ってると思いますがわたしはお金を持ってませんよ?居候までさせて貰って今日は映画代まで出して貰っているのに流石に悪いです。わたしは水だけで大丈夫ですから」


 予想通りに生真面目にそう言って遠慮するシロちゃんに私は少しだけ意地の悪い笑みを浮かべながら口を開く。


「えぇ~、じゃあ、シロちゃんは私一人でケーキセットを食べろって言うの~?寂しいじゃん」

「それは・・・」


 よよよよっと泣き真似も含めてそう言うとシロちゃんが何とも言えない顔で言い淀む。

 泣き真似と分かっていても反論し難くなったシロちゃんの様子を逃さず私は言葉を続ける。


「シロちゃんのお陰で私の食事事情が凄く改善されているし、シロちゃんが居てくれるから私は嫌な事ばかり考えなくて済んでいるんだよ?今日の事はそのお礼なんだから遠慮しないでよ。それにねうちは結構・・・かなり・・・だいぶ・・・裕福だからお金のことは気にしないでよ。私もリスナーさんのお陰で結構稼がせて貰ってるしね」

「・・・それじゃあ、ご馳走になります・・・」


 日頃のお礼という体を全面に押し出すと彼女は渋々というか何とも言えない顔のまま了承する。

 そのタイミングで紗良さんが二人分のケーキセットを持って私達のテーブルにやってくる。

 二人でお礼を言ってケーキセットに手を付けたタイミングで私はシロちゃんに隠していた今日、街に出たもう一つの理由がお店に入って来たのを確認し、口を開く。


「それとね。お礼なのは本当なんだけどもう一つお詫びの意味も有るんだよね・・・」

「?」


 可愛らしくケーキを一口食べて口元にフォークを加えたまま首を傾げるシロちゃんに後ろから野太い声が掛けられる。


「あら、見つけたわぁ」


 その声を聴き、シロちゃんはゆっくりと後ろを振り返る。

 後ろに立っている源一郎さんと原二郎の二人が立っているのをシロちゃんは目を真ん丸にして驚いた顔で見ていた。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ