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彼女について分かった事

おはようございます。

ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

第272話投稿させて頂きます。

今回は黒羽視点になります。

楽しんで頂ければ幸いです。

 朝食を食べてシロちゃんと出かける約束をしてから部屋に戻り、部屋着から外着に着替えながら考える。

 シロちゃんがうちに来てから分かった事が幾つかある。

 一つ目は、シロちゃんはかなり頭がいいという事。

 我が家に彼女が来てまだ一週間だけど最初は何処となく怪しい感じの頼りない日本語で言葉が何処かたどたどしかったけど本や私との会話であっという間に取得してしまい今ではたどたどしかった様子など見る影もない。

 二つ目は、彼女が料理を出来るという事。

 まぁ、これは私が嬉しい出来事なのだが、シロちゃんが今使っているお姉の部屋でお姉の料理ノート(私をキッチンに入れるなと大きく書かれていた)を見つけてくれたのでシロちゃんが作ってくれてお姉の料理が食べられるようになった。

 三つ目は、シロちゃんは物凄く運動神経が良い。

 彼女がまだ家に来たばかりの頃、シロちゃんを連れて髪を切る為と換えの洋服を買う為に一緒に街に出た帰りに風船を手放してしまった女の子を見た瞬間、隣に居た彼女が一瞬で私の隣を駆けて行き、周囲の電柱等を蹴って飛び、風船を見事にキャッチして見せた。

 四つ目は取り敢えず、シロちゃんの事を探している人や幸いな事にシロちゃんが容疑者だったり、犯人不明の大量殺人事件などの情報が無い事。

 これに関しては取り敢えず彼女が極悪な犯罪者では無いと分かってホッとした。

 まぁ、彼女が情報の取得のしようもない闇社会の人だったらどうしようもないけどそんな事は考えてもしょうがないし、例のメモから考えても私に害は無いだろう。

 軽くそんな事を考えながら着替えを終え、玄関まで行くとシロちゃんの方が先に着替え終え待っていた


「あ、黒羽さん」


 白のブラウスに紺色のフレアスカートを身に纏った彼女を見て私は秘かにグッとガッツポーズを取る。

 ———うし!やっぱり似合う‼原二郎さんと散々話し合って選んだかいが有った‼

 原二郎さんとはシロちゃんが今着ている服を扱っているお店の店主さんでお兄さんの源一郎さんと一緒に美容院とブティックを経営しているオネェの人達だ。

 まぁ、彼女の容姿が二人の琴線に触れたらしくすごい圧で接近したからシロちゃんはどことなく苦手意識を持ってしまったらしい。

 だが、センスは抜群だ‼


「黒羽さん?」


 私がシロちゃんを見て当時の事を思い出していたのを不思議に思ったのか声を掛けて来る。


「うん?ああ、ごめんね。ちょっとぼーっとしてた。行こうか?」


 心配そうに首を傾げているシロちゃんを促して私達は駅へと向かって歩き出す。


「うげ」


 駅に向かう道中、久しぶりに見たくもない顔を見つけ、私は心の底から嫌な声を出す。


「へっへっへ、そんな嫌そうな顔しないでくださいよ。今日はいつもよりおめかししてどこか行くんですか?良かったらお話し聞かせてくださいよ~」


 相も変わらずニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら何時もの言葉を投げて来る男に私は軽蔑した視線を向けながら口を開く。


「何時も言っている事ですけど貴方に話す事は何もありません。さようなら」


 そう言ってシロちゃんの手を握って横を抜けようとすると何時ものように前を塞ぐ男を睨みつける。

 正直、出版社に言ってもこいつに対して何も手を打ってくれないのが腹立たしい。


「そう言わないでよ。おじさんもさぁ、取材しないとおまんま食い上げになっちゃうのよ。それで死んだら君だって気分悪いでしょう?君の行方不明になったお友達が最近何かに悩んでたとか金遣いが荒くなったとかどんな些細な事でも良いから教えてくれないかなぁ~。あ、後ろにいる君も何か知ってたら教えてくれる?」


 私達の邪魔をしながら図々しくも後ろにいるシロちゃんにも声を掛けて来る男に心底嫌悪感を覚えていると私の隣に居るシロちゃんが小さく声を掛けて来る。


「黒羽さん。この人、別に親しい仲じゃないですよね?」


 シロちゃんの質問に私は男を睨みながらこくりと首を縦に振る。


「わかりました。ちょっと失礼しますね」


 私の反応を見てシロちゃんはちょっとしゃがむとそのまま私の事を横抱きにする。

 いきなりの事に男も私も驚いているとシロちゃんが出会った頃の様に何処か人形めいた表情になり、男に向けて口を開く。


「すみませんが急いでいるので失礼します」


 そう言うと私を抱き上げたまま道を塞ぐ様に立つ男の頭上を飛び越えて着地するとそのまま走り出す。


「あ‼ちょっと待て!」


 流石に男も驚いたのか一拍遅れて後ろから怒鳴り声が聞こえて来るがシロちゃんは人一人抱きかかえているとは思えない速さで男から距離を取り走る。

 ———やっぱり運動能力半端じゃないや・・・

 自分より背の低い子にお姫様抱っこをされているという複雑な心境を抱えながら私達は駅へと向かった。


此処までの読了ありがとうございました。

次回も黒羽視点になります。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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