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襲撃者・2

おはようございます。

第239話投稿させて頂きます。

今回は第三者視点です。

楽しんで頂ければ幸いです。

(逃げなくちゃ‼でも、体が動かないし、声も出ない⁉)


 アメリアは男に捕まった時からどうにかして逃れようと体を捻じったのだがこの男に捕まった時から大きく動かせなくなっていた。

 そして動かせない体をもどかしく思いながらせめて声だけでも挙げようと口を開くが口に何かを嚙まされる感覚と共に声までも出せなくなる。

 そんなアメリアの様子に気が付いたのか男は醜い顔をニタァと歪めて気色の悪い声を漏らしながら口を開く。


「グフェフェフェフェ、体が動かなくて声が出せねぇのを疑問に思ってんな?そいつは俺のスキル《神子の躾糸》の力だぁ。お前が着ている服も下着も全部このスキルで俺に思うがまま動くんだぁ。今はお前さんを拘束させてんのさぁ」


 そう言ってニタァとした気色の悪い笑顔のまま再び手を伸ばすとアメリアのドレスのスカートを一気に捲り上げる。


「‼」


 驚いて悲鳴を上げようとするが先程男が言ったスキルの所為で潜った声が口から洩れる。

 そんなアメリアの様子を見ながら男はニタァからニチャ~に笑みを変えて口を開く。


「グフェフェフェフェ、ドロワーズかぁ。良いじゃねぇかぁ。現代の女の下着も良いが中世風の世界の女の下着も良いもんだなぁ~」


 そう言いながら男は厭らしい手つきでアメリアの足を撫で始め、徐々に上へと昇って来る。

 男の白い蛆の様な指が体に触れる度に不快な気分になり逃れる為に身を捩ろうとするが先程の男の説明通り、まるで縄でガチガチに縛られているように体が動かない。


「グフェフェフェフェ、若い女は肌のきめが細かくてすべすべだなぁ。あの男に渡す前に俺が喰っちまいてぇぐらいだぜぇ~。さて、そろそろ本題に入るかぁ~」


 そう言うと男はアメリアの太腿を撫でる手を止め、下着に向けて手を伸ばす。


(だめ‼お願いやめて‼)


 恐怖から目を瞑り涙を溜めながらそう心の中で叫んだのと同時に祖母の部屋の扉がガン‼っと大きな音を立てて吹き飛ぶ。


「んあ?なんだぁ?ぶ・・・」


 音に驚いた男が顔を上げたのと同時に男が短い悲鳴を上げ、後方に吹き飛びアメリアを触っていた手が離れる。

 男が吹き飛んだのと同時に今度はアメリアの視界が真っ暗になり、音も聞こえなる。


(何⁉今度は何が起きたの⁉)


 男に襲われていたのも相まってパニックになりその場から動けずにそのまましばらくすると不意に視界を覆っていた暗闇が晴れ、音と光が戻ってくる。

 状況が呑み込めずに動けないでいると聞きたかった声が聞こえて来る。


「アメリア?大丈夫?」


 心配そうな様子で自分の顔を覗き込む女性・・・黒い布で顔を半分覆っているコハクの顔を見てアメリアはここまでの緊張の糸がプツリと切れて泣きながら抱き着く。


「姉様ぁ‼」


 泣きながら抱き着くとコハクは危なげなくアメリアを受け止め、しっかりと抱きしめる。


「来るのが遅くなってごめんね。怖い思いをさせたね」


 そう言って頭を撫でるコハクに抱き着きながらこんな事をしている場合では無いと頭では理解しつつも恐怖と安堵で泣きじゃくる。

 一通り泣いた後でふと先程の男の所在が気になり、コハクに不安そうな視線を向けて口を開く。


「姉様、あの男は?」


 まだこの場にいるかもしれない男の事をコハクに訊くとコハクは布で覆われていない方の顔で笑みを作るとアメリアを落ち着かる様に話しかける。


「私が部屋に踏み込んだ時に不利を悟ったんだろうね。慌てた様子でレティシアの部屋から逃げて行ったよ。さて、アメリア。もう少し貴女と一緒にいてあげたいけど今は時間がないわ。今から私の国に送るからまた後でゆっくり話そう」


 正直に言ってコハクが今、ボロボロの姿になっている事など聞きたい事は沢山あり、本当にあの男が逃げ出したのか気にもなっているが此処で話をしている分だけ祖母達の危険度が跳ね上がる事も理解している為、アメリアは素直に頷く。


「ありがとう」


 そう言って優しく微笑むと懐から少し前に祖母が燃やした転移陣を取り出し、アメリアをその上に乗せる。


「向こうに着いたらまずメルビスという宰相の男が声を掛けてくると思うから彼の指示に従って動いて。大丈夫。何とかして見せるから」


 そう言うとコハクは魔法陣を発動させたのか周囲が光に包まれていく。


「姉様‼お婆様と勇者様方をお願いします」


 転送される寸前に何とかそれだけ言うとアメリアは黄昏の国へと転送されていく。

 アメリアが無事に自国へと転送されたのを見送りコハクは魔法陣を回収して立ち上がる。

 アメリアと話していた時には外していた普段と違う新緑色のフードを被り直してちらりと隠し部屋へと冷たい視線を送ると出口へと向けて歩き出す。

 誰も居なくなった部屋の中でアメリアが隠れていた隠し部屋から真っ赤な血が流れて只々床を赤く染めていた。


此処までの読了ありがとうございました。

次回は少しだけ時間を遡らせてコハク視点ですごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。

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