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初めての友達

こんにちは、第23話投稿させていただきます。

楽しんでいただけたら幸いです。

「ブハハハハ、いやぁ~傑作です。丸一日目を離していただけなのに他の生徒からの呼ばれ方が魔王になっているって…ブフ…面白過ぎてお腹が痛いですよ」

「ちょ‼なんで昨日の報告を聞いて笑いだすんですか‼私は、叱られるから此処に呼び出されたんですよね⁉」


 昨日の事で師匠に呼び出され、一通りの説明を終えたところで師匠(せんせい)は爆笑しだした。恐らく周りからの私の呼ばれ方を聞いていてさっき私からの説明を聞いて納得したのだろう。

 私はてっきり怒られると思っていたのに事の顛末を聞いて笑い出した師匠につい啞然としてしまった。


「叱られる?なぜ?貴方は何か叱られるようなことをしましたか?貴族に楯突いた事?決闘を行ったこと?別にどれも叱るようなことじゃないでしょう?それとも助けたことに対して何か後ろめたい事でも有るんですか?」


 師匠の言葉にブンブンと首を振り否定する。まぁ、最後の脅しは少しやり過ぎたと思ったけど助けたことに後悔なんてない。


「でも、何にも罰が無いんじゃ、相手は納得しないんじゃないですか?」

「そんなのは適当に報告しとけばいいんです。あと、そんな面倒なことは私たち大人に任せておけばいい事ですよ。肝心なのは貴方が自分の信念に基づいて行動できたかが大事なんですよ。後悔無く行動できたようで良かったです。」

「…ありがとうございます」


 う~ん、なぜかこの先生に良いことを言われると素直にありがとうと言えない…


「それにしてもヴァトラー家の子ですか、早急に手を打っておいた方が良いかもしれませんねぇ~」


 師匠は、微妙な顔をして考えているとポツリとそんな事を言っていた。

 そういえば、何であいつ等は魔石を欲しがっていたんだろう?一応聞いておいたほうが良いかな…?


「そういえば、なんであの二人はあんなにあの子の持っていた魔石を欲しがったんですか?」

「あぁ、それは多分魔石を使った適正魔法以外の魔法を使うための研究のためでしょうね」

「え?そんな事出来るんですか?」

「最近発見された技術で実用性は全くないんですけどね。ちょっと見てみますか?」


 そう言いながら椅子から立ち一枚の札みたいなものを取り出す。


「この札には火属性の魔石を使って術式等を書いています。正直言って、まだ、未完成の技術ですし、適性がある人しかその属性の魔法が使えないと結論を出した後に発見された技術なので私的には結構複雑な心境なんですがねぇ。」

「テトラ・フレイムショット」


 そう言いながら師匠の部屋にある魔法の練習人形に向かって手に持っていた札を投げるとボッと言う音と共に小さな炎が飛んで行った。

 …あれ?テトラって言っていた割には炎の大きさや威力がモノ並みに弱いんだけど?


「あの…威力が弱すぎませんか?」

「ええ、弱いですよ。まだ、未完成だって言ったでしょう?どうしても威力が出ないんですよ…」

「あぁ~、なるほど想定したほど威力が出なくて戦闘には使えないだからまだまだ研究中なんですね。そしてそれらの研究をするために純度の高い魔石が大量に必要なんですね」

「ええ、その通りです」

「でも、魔石を手に入れる為に真剣を持ち出すのは問題じゃないですか?」

「脅しには一番良いと思ったのでしょうね。でも、貴方も短剣を持っていたじゃないですか?」

「昨日の稽古で使うから持って来いって言ったのは師匠でしょ?」

「うん?そうでしたっけ?いやはや面白い話題がでたものでつい忘れていました。」


 私が皆に魔王って呼ばれ始めたことがそんなに面白い事かねぇ~。てか、貴方が持ってこいって言った物を忘れないでくださいよ。


「ところで助けた子とは友人にでもなったのですか?」

「え?別になっていませんけど?大体魔王って呼ばれている子と友達になろうなんて考ええないと思いますよ?相手は貴族ですしね」

「ふ~ん、そんなものですかねぇ~」

「そんなものですよ」


 うん?なんか奥歯に何か挟まっているような物言いだなぁ


「まぁ、友達は作っておいた方が良いですよ。何かあった時に助けてくれますしね。」

「ソウデスネー、ドリョクシマス」

「というか、入学して数か月経つのにいまだにボッチとは…ブフ…」


 ちょ‼なんか良いこと言うのかと思ったらボッチをからかいたかっただけかい‼


「はぁ~、それじゃあ、私はとりあえず部屋に戻っても良いですか?」

「おや?噛みついてくると思っていたのですが何もしてこないんですか?ええ、部屋に戻って大丈夫ですよ」

「ボッチなのは事実ですからね。では、失礼します」


 扉の前まで行きペコリと頭を下げ部屋から出る。


「あ、そうだ。部屋で何か楽しいことが有ると良いですねぇ~」

「?」


 去り際に何か言われたのだが、師匠が何を居たのかはいまいち聞き取れなかった。


 図書室に寄りまた何冊かの本を持って部屋のドアを開けると部屋から明るい声聞こえて来た。


「あ‼お帰りなさい。今日からこの部屋でお世話になります。リリエル・ミューウェルクです。よろしくお願します」


 扉を開けた先には、私達が助けた女の子が制服のスカートの裾を小さく持ち奇麗にお辞儀をしていた。


「へっ?この部屋に住むの?本当に?」

「えっ?先生から聞いていませんか?」

「ごめんなさい。何にも聞いてないです」


 というか、そんな話全然していない。


「もしかして、迷惑でしたか…?」

「あ、違うんです。先生方からそういう話を全然聞いていなかったから少し驚いただけです。」


 だからそんな泣きそうな顔しないでください。私が泣かせたみたいだよ…

 まぁ、師匠が私に彼女の事を言わなかった理由は大体わかる。どうせ聞いたらドヤ顔でサプラ~イズとか言って来るんだろうなぁ…殴りたい


「それなら良かったです。改めてよろしくお願いします」


 あ、良かった。何とか泣くのは回避できたみたい。


「私の名前は、コハクです。こちらこそよろしくお願いします。でも、何でわざわざこの部屋に?私が今、周りから何て呼ばれているかご存知ですよね?ミューウェルクさんも変な呼ばれ方をされてしまうかもしれませんよ?」

「私は、貴方と友達になりに来たからそんなことは気にしないです。それとそろそろお互いに敬語やめようよ。同い年なんだし、それに私、丁寧な言葉使いあまり得意じゃないの」


 そう言って茶目っ気たっぷりに小さく舌を出して笑う彼女に私も笑いながら答える。


「うん‼よろしくね。ミューウェルクさん」

「それと私の事はリルって呼んで、親しい人は皆そう呼ぶんだぁ~。あ、それとあのパイごちそうさまでした。美味しかったよ~。」

「うん、じゃあ、そう呼ばせてもらうね。お菓子はお口に合ったみたいで良かったよ」


 この学校に入学してから数か月…私はやっと友人と呼べる相手が出来たのだった。


次は一話が少し長くなるかもしれないです。

次回も楽しんでいただけたら幸いです。

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