表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
228/332

犠牲と撤退・1

おはようございます。

第228話投稿させて頂きます。

今回は和登視点です。

ブックマーク・いいねありがとうございます。とても励みになります。

楽しんで頂ければ幸いです。

「ワト殿‼油断するな‼」


 突然の乱入者によって散手古摺らされた第七の厄災が撃破?され驚いているとクリストさんの声と共にすぐ近くで真っ黒な剣と巨大な双斧がぶつかり合う音を聞き、今更ながらに自分が命の危機に立たされていた事に気が付く。


「フン‼」

「あは♪」


 クリストさんもう片方の双斧で攻撃をするとエリス・ケールは笑いながら後方にヒラリと一回転して攻撃を躱して距離を取る。


「あは♪話し合いの前に一人消せるかと思ったのにそう簡単にはいかないか♪ざんね~ん♪」


 それほど残念そうでもない口調でそういうエリス・ケールにフェルが武器を構えて問いかける。


「敵を前にして余裕だな‼」


 フェルが怒りに顔を歪めながらそう言うとエリス・ケールはニコニコと楽しそうな笑みのままフェルの問いに答える。


「あは♪君達程度に緊張する理由が無いってだけさ♪ご機嫌斜めだねぇ~♪あ、そうか♪トワの事が心配なんだね♪安心して良いよ♪僕が第七の厄災を葬ったから先にプレゼントしていた呪毒はもう消えてるよん♪僕もあの子にはまだ死なれると困っちゃうしね♪」


 言葉の割には毛ほども困った様子の無いエリス・ケールに今度はクリストさんが問いかける。


「アオイという少女を利用したのは貴様か?」

「うん♪そうだよ~♪君達にはこの戦いに参戦して欲しかったからねぇ~♪本当はあの子じゃなくて別の子を狙ったんだけどまさか庇うなんて思わなかったよ♪」


 心底驚いたと言った様に笑ったエリス・ケールは俺の方を見るとニィっと笑みを深めて口を開く。


「さて♪君たちの時間稼ぎ(お話)に付き合ってあげたんだから僕のお願いを聞いてよ♪」


 そう言うと笑みは合わっていないのにエリス・ケールの纏う空気が先程とは一変する。

 その様子に此方も応戦する為に武器を構え直す。

 後の方では乾達が何とかして急に道を塞いだ壁を破壊しようとしているがまだ時間が掛かる様だ。

 後方の様子を確認しながらこれまでの戦闘では感じた事の無い緊張感を感じているとエリス・ケールがゆっくりと剣を俺に向けながら口を開く。


「あの子の本気を引き摺り出す為に此処で皆死んでよ♪」


 その言葉と共に目の前からエリス・ケールが目の前から消え、俺は慌てて剣を首元へと持っていく。

 俺の予想は正しかった様で剣で首元を防いだのとほぼ同時にガキンと音が鳴り火花が散る。


「およ♪流石に身構えていれば防げるか♪ちゃんと訓練していたみたいで関心♪関心♪」


 おちょくる様にそう言うエリス・ケールにクリストさんとフェルが切り掛かるが彼女は俺の腹に蹴りを入れ蹴り飛ばし、剣でクリストさんの攻撃をいなして俺の様にけりを入れてからフェルの顎に拳を入れる。


「ぐっ‼」


 地面を転がるのを地面に剣を突き立て、無理矢理止め直ぐに体制を立て直してエリス・ケールへと駆ける。

 クリストさんもフェルも俺と同じ様に体制を立て直してから再び切り掛かるがエリス・ケールは余裕の笑みを浮かべながら全ての攻撃を煽る様にギリギリで躱す。


「《オクタ・サイプレス・サーヴァント》」

「燃やせ‼《日輪》‼」

「《ノナ・アースバインド》」


 魔法や武器のスキルを使って動きや逃げ道を塞ぐ、三人同時に切り掛かる。


「あは♪《プリヴェントゥ》♪」


 攻撃が当たると思った瞬間にエリス・ケールも魔法か武器のスキルなのかは分からないが何かの起動ワードを口にすると彼女の周囲を何かの薄紫色の膜が覆い、魔法やスキルによる攻撃を全て防いでしまう。

 使った魔法かスキルは魔法攻撃などしか防げないらしくエリス・ケールは漆黒の剣で振り下ろされる俺達の剣を全て受け止める。

 悔しい事に三人同時の斬撃だったにも関わらず彼女は飄々とした様子で俺達の攻撃を受け止めたまま口を開く。


「う~ん♪やっぱり何人か向こう側に逃がしちゃったのは失敗だったかなぁ~♪三対一なのに全然物足りないや♪」


 そう言い、小さいその体躯からは想像できない程の力で俺達の武器を弾くと更に言葉を続ける。


「それにさぁ♪いくら僕が君達に死んでくれって頼んでいるからって撤退の準備をしないで僕の相手をしていていいのかな?君達、ここが安全なホームグラウンドだとでも思っているのかな?」


 そう言うエリス・ケールを見ながら立ち上がり武器を向けるとエリス・ケールは些か呆れた様子で言葉を続ける。

 クリストさんとフェルは言葉の意味に気が付いたのか直ぐに通信機でキャンプ地へと連絡を入れる。


「ここは帝国だよ♪君達の味方でもなければ厄災を倒して感謝する様な国でもない反吐を吐きたくなるようなクソ国家さ♪そんな連中が厄災戦後にヘトヘトな君達をほっとくわけ無いだろ♪」


 エリス・ケールの言葉が終わった後で通信機から慌てているアライさんが応答している声が聞こえてくる。


『魔王様‼勇者様方急いで戻ってきてください‼想定よりも早く帝国が攻めてきました‼』


 そんな言葉の後に複数の銃声が聞こえて来て通信が切れ、エリス・ケールが口を開く。


「あは♪時間稼ぎをしていたのは君達だけじゃないんだよん♪」

 先程までと同じだがどこか嫌悪を含んだような雰囲気を醸し出しながらエリス・ケールはそれを隠すように笑みを浮かべていた。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ