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アレってヤッバイお薬ですかね⁉

おはようございます。

第217話投稿させて頂きます。

ブックマーク・いいねありがとうございます。とても励みになります

今回も立花 葵視点です。あと一回アオイの視点が続きます。

楽しんで頂ければ幸いです。

「アオイさん。少し失礼します。我を守りし、風の精霊よ。彼の者達の声を我等に届けたまえ《ヘプタ・イーヴズドゥロプ》」


 先程のペンギンの大きな声以降ボソボソと聞こえて来る声にヤキモキしているとリイナさんが小さな声で呪文を詠唱し、魔法を発動させる。

 リイナさんが魔法を使うと小屋の中の声が鮮明に聞えるようになる。


「俺等を待たせるたぁ、珍しいじゃねぇかぁ~。この落とし前はどう付けるつもりだぁ~?報酬は倍額請求するぜぇ~」


 革張りのソファーにだらしなく座って葉巻を吸っているマフィアっぽいペンギンがやたらと巻き舌でトワさんが遅れて来たらしい事を面白そうに責める。

 トワさんはそんなペンギンに面倒くさそうに肩を落としてから返答をする


「いきなり呼び出しておいて随分な言い草だね。ぺギル。報酬の倍増はお前が持ってきた情報次第だ。こちらは明日の会議の準備で忙しいと言うのに・・・下らない内容なら僕はお前を生かして返せないかもしれないね」


 最初に出会った時と同じ様に些か声を低く脅すようにトワさんが言い。トワさんとペンギンマフィアとの間に見えない火花が散ったかと思うと二人は何かを我慢できなくなったかの様に肩を震わせて・・・・


「クックック」

「プッ」

「「アハハハハハハハ‼」」


 同時に我慢出来なくなったと言う様に声を出して笑いだす。


「久しぶりだな。兄弟(ブロ)‼息災そうで何よりだ‼」

「そっちもね。元気そうで良かったよ」


 険悪なムードから一転して笑いながら拳と羽を突き合わせる。

 あれぇ?なんか仲が良さそう・・・?

 驚いてリイナさんを見て見ると彼女も知らない人だったのか不思議そうに首を傾げている。


「まぁ、積もる話が沢山ある。ちぃっと長くなるから少し座ってくれや」

「そうだね。でもその前に二人も中に入っておいで」


 リイナさんの魔法で聞き耳を立てていると唐突にトワさんが外に居る私達に向かって声を掛けて来る。


「・・・最初からお気づきになっていたみたいですね。何かしらのお叱りを受けるかもしれないでふ・・・」


 唐突にトワさんに呼ばれた事によりリイナさんは最悪な方向で物事を考えてしまったらしく何とも言えない顔で最後の言葉を噛んでしまう。


「私が追いましょうって言ったんですから怒られそうになったら私が土下座します」


 リイナさんにそう告げ、私も若干緊張しながら立ち上がり、建物のドアを開け中へと入る。

 小屋の中は意外にも綺麗にして有り中心にテーブルのセットとソファーが有り、トワさんとペギルと呼ばれていた人が向かい合わせで座っており後ろにはペギルさんの部下らしき人がズラリと立って居る。


「やあ、いらっしゃい。取り敢えずこっちにおいで」


 私達がドアの前で立って居るとトワさんがちょいちょいと手招きをしているのでリイナさんと共に緊張しながら近くまで行く。


「まぁ、此処に座りなよ」


 ポンポンとトワさんは自分の座っているソファーを叩くので恐る恐る隣に腰掛ける。

 恐縮して後ろに立とうとするリイナさんも無理矢理一緒に座らせるとトワさんが徐に仮面の下で喋り出す。


「まぁ、訊きたい事は沢山有ると思うけど一番訊きたい事から教えるね。目の前の彼の名前はペギル。強欲の国のマフィア、ガラフィールファミリーの構成員なんだけど元々の自警団の意味合いが強い人達で信頼のおける人達なんだよ。裏の住人達は繋がっているからね。その伝手で欲しい情報を探って貰っていたんだよ」

「そういうこった。そんで兄弟(ブロ)。この子らは?」

「この子達はうちの城の子と今はまだお客さんの子だよ」



 ソファーに座るとトワさんが速攻で私達と相手の紹介を簡単に終わらせる。

 ・・・紹介ザツゥ・・・てか、本当に反社の人だった・・・しかも、他国の・・・


「成程。二人共別嬪さんだな。さって、話は変わるがこいつがお前さんの望んでいたもんだ。内容を確認してくれ」


 雑な紹介に気を悪くした様子も無くペギルさんはそう言うと鞄から紙の束を取り出しトワさんに渡す。

 トワさんはその束を受け取るとすごい速さでパラパラと捲り内容を見る。

 ・・・え?すご・・・あれで本当に内容が頭に入っているの?

 唖然としてトワさんを見ている間にトワさんは分厚い紙の束を読み終えたらしく紙の束を机の上へと置くと口を開く。


「うん、僕の期待以上の内容だよ。ありがとうペギル。ドン・レオルドにも礼を言っておいてくれ。約束通り報酬は弾むよ」


 そう言うとトワさんはアイテムボックスから白い粉の入った小瓶を取り出すとペギルさんへと手渡す。

 ペギルさんは小瓶を受け取ると栓を抜き中の粉を手の平?翼?に少しだし、ペロリと舐める。


「上物だな。暁の国の最上級品か?」

「うん、そうだよ。これを800g缶に8個と金貨八枚を報酬として用意して有るけどどうかな?足りなければ言ってくれ」


 ペギルさんに足りなければ報酬を上乗せする事が出来るとトワさんが言うとペギルさんは些か考え込むような顔をしてから口を開く。

 ・・・これってヤバイお薬なのでは⁉


「そうだな、金貨は2枚で良い。それよりもこいつを後4缶増やしてくれ。オヤジもその方が良いと思う。本当は親父から言わせれば同種族の臭いのするアンタなら無料で良いと言ってるがそうも言ってられねぇからな」

「解った。今回はありがとう。また頼むよ。それと前から同種と言われているけど僕に獣人の血は入っていないはずだよ」


 トワさんはそう言うとブリキ缶を12缶取り出すと机の上へと積んでいく。

 え⁉これってやっぱりヤッバイお薬⁉


「まぁ、それに関しちゃオヤジの感だし俺にゃあ解らねぇよ。それとな、マフィア(俺等)を良い様に使う魔王なんてアンタが初めてだぜ。んじゃ、俺等はそろそろ行くぜぇまたな」

「解った。またね」


 そんな挨拶をして彼等はゾロゾロと小屋の外へと出て行く。

 彼等を見送った後でトワさんは私達の向かい側に座りなおすと口を開く。


「さて、色々聞きたい事があるよね?」


 意外なにもそんな事を言うトワさんに驚きながらも私は取り合えずこれだけは聞いておかなければいけないと言う事が有るのを思い出し、口を開く。


「アレってヤッバイお薬ですよね⁉」


 混乱によって思った以上に大きくなった声は狭い小屋の中で大きく響いた。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

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