どーも、お久しぶりです
おはようございます。
第213話投稿させて頂きます。
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今回はコハク視点です。
楽しんで頂ければ幸いです。
「あら、やっと来た。久しぶりね。コハク。偶には正面から入って来たら良いのに」
「なんでわかるかなぁ・・・貴女に会いに来るのにいちいち正面から入ったら入館記録がエリュナ達に報告が行くから絶対に嫌だよ。貴女だって分かっているでしょう?」
何も無い空間に向かって誰かいるかの様に声を掛けて来るレティに向かって些か呆れながら透明化の魔法を解き、レティの揶揄い混じりの言葉に答える。
昔から何故かレティは透明になっている私の居場所を当てて声を掛けて来る。一体どうやって私の居場所を特定しているのだろうか・・・?
レティの規格外さに密かに戦慄しているとトットットと軽い足音を響かせて私より少しだけ背の低い人影が私に向かって抱き付いて来る。
・・・うん?少しだけ?
「姉様‼お久しぶりです‼」
抱き付いて来た体を受け止めて私も抱きしめながら半年ぶりに会った妹分に声を掛ける。
「アメリア‼久しぶりだね‼大きくな・・・って・・・」
「?」
抱きしめた時の違和感にアメリアの体を離し、手を上下に動かし背を測る。
・・・あれ?この子、私の身長に追いついて来てね?半年前に会った時より大きくなってね?
「・・・本当に大きくなったね・・・」
愕然としながらアルメリアにそう伝えると彼女は少しだけ自慢げに胸を張って答える
「はい‼最後にお会いした後から急激に成長しました‼もう少しで姉様の身長を抜きますよ‼」
「抜くな‼縮め‼」
「キャ~~~♡」
言葉とは裏腹に優しく頭を押さえてやると笑いながら楽しそうな悲鳴を上げる。しばらくキャアキャアと二人でじゃれ合ってからお土産のホールケーキをアルメリアに渡し、私達を笑顔で見ていたレティの方を向き、本題に入る。
「それで、レティ。私は何の用事で呼ばれたの?」
私がそう訊ねるとニコニコとしていた顔から何かを思い出したと言った様子で「あっ」と口に出してから目を見開いて固まってる。
正直、レティのこういう姿を見るのは非常に珍しいので少しだけ新鮮な気分になる。
「あら、いけない。私ったら貴女達のじゃれ合いが微笑ましくってすっかり忘れていたわ。立ち話もなんだから向こうで貴女の持って来てくれたお土産でお茶をしながら話しましょう。人も待たせているしね」
そう言って自身の失敗に苦笑いを浮かべながらアルメリアが持っていたお土産を信頼出来るメイドさん(私の眼で裏切らないと確認済み)に渡すように言い。メイドさんにはお茶と一緒に持って来るように命じてから私とアルメリアが騒いでいた部屋の隣のドアを開け、私達を中へと促す。
部屋に入るとそこには見覚えの有る二人が些か居心地の悪そうな顔で座っており、2人に向けてレティが声を掛ける。
「二人共、待たせてしまってごめんなさいね」
「い、いえ・・・」
「いえ、レティシア様。そちらの方が待っていた方ですか?」
レティが声を掛けると二人の男女・・・土の勇者と雷の勇者が立ち上がり、レティに返事をし、土の勇者・・・神薙 賢治は後ろにいる冒険者風の少女は誰なのかと説明を求める様に私の事を見る。
その視線を感じ取ったレティはもう会った事が有るんだけどねっと言った様子で苦笑を浮かべ、口を開く。
「ええ、そうよ。何者なのかは後で話すわ。お菓子を貰ったからまずは皆でお茶をしながら話をしましょう。貴方達の報告も含めてね」
レティの言葉で神薙 賢治が椅子を引いてくれたので順次席に着く。
全員が席に着いたタイミングで先程のメイドさんがお茶と私が持ってきたケーキを切った物を置いてセッティングし、一礼して退室していく。
「さて、まずは貴方達の報告から聞いても良いかしら?」
メイドさんが用意してくれたお茶を飲んで少しした所でレティが神薙 賢治達を見ながら報告とやらを促すと神薙 賢治は私を見て少しだけ困ったような顔をするとレティに向けて口を開く。
まぁ、彼等からすれば私は完全に部外者な上に素性の知れない人物だからね。国の何かに関する事を言う音は憚られるだろう。
そんな事を呑気に考えて居るとレティは少しだけ考えた後で口を開く
「そうね・・・本来なら彼女の事は気にしないで報告をする様に言うのだけれど貴方はそれでは納得しないものね。コユキ、貴女の正体を彼等に話しても良いかしら?」
前半は神薙 賢治へ後半は私に向けて声を掛ける。
レティの言葉に私は彼等に私の正体を明かすメリットとデメリット、レティの事情を考察してから彼女に対して返事をする。
「うん、問題は無いよ。レティシア。ただ、彼等に話すのなら私の口から直接伝えるよ。それと何で急にこんな事を言い出したのかも後で説明して貰うよ。まぁ、恐らくだけど、その理由が今日、私を此処に呼び出した理由なんだろうけど」
「えぇ、もちろんよ。ごめんなさいね。リスクを背負わせて・・・」
「大丈夫だよ」
「・・・ありがとう」
冒険者から魔王へと思考を変えてレティシアに話し掛けると神薙 賢治と雷の勇者・・・坂月 命がギョッとした顔になる。
まぁ、冒険者風の女が皇太后にいきなりタメ口を聞いたら誰でも驚くか・・・
そんな二人の顔を見ながら私は些か尊大な態度で口を開く。
「さて、この姿では初めまして。私は《エメラルド》クラス冒険者でこの国の城下町や様々な国でリコリス商会と言う商いを行っているコユキと言う者だ」
「あ、どうもご丁寧に僕達は・・・」
そして、君達にとっては恐らく第一種排除対象だろうね」
「第一種排除対象?」
私が表の立場を二人に告げると自己紹介を返してくれようとするがそれを遮り、言葉を続けると二人は訝しげに私を見る。
「もう一つの顔は、黄昏の魔王。黄昏の国の現魔王にして原初の三魔王の一柱。真名をコハク・リステナ・トワイライトと言う。諸君とは光の勇者、狗神君の処刑の時に合った以来だね。元気にしていたかい?」
私の突然のカミングアウトに二人の勇者は目を見開いて驚く。
ただ、神薙 賢治だけは直ぐに意識を切り替えたのか口を開く。
「なぜ、味方でもない僕達に正体を告げたんですか?」
衝撃が抜けきらないと言った様子ながらも私の事を警戒しながらされた質問に答えようとすると光り輝く薙刀の刃が少しの雷を纏いながら静かに私の喉元に突き付けられていた。
此処までの読了ありがとうございました。
次回もコハク視点です。
ごゆるりとお待ちいただければ幸いです。




