表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/332

さて、何をすればいいかは分かるよね?

おはようございます。

第202話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマーク・良いね。ありがとうございました。とても励みになります。

☆の後は葵の視点になります。

楽しんで頂ければ幸いです

「・・・コハク様、申し訳ありませんでした」


 アオイの部屋から出て狗神君と別れて少ししてから廊下を歩いて居るとリューンがポツリと私に謝って来る。

 珍しくしょんぼりしている様子の彼女に私は静かに問いかける。


「何か謝る様な事をしたの?」


 手を繋いだまま仮面を外し、フードを脱いで顔が見える状態でリューンに問うと彼女はチラリと私の顔を見てからボソボソと喋る。

 ・・・どっちでも良い事だけどこういう時の私の反応の窺い方がネージュとよく似てるんだよなぁ。


「コハク様には彼女に優しくするように言われましたが私はその頼みを聞きませんでした・・・今思えば私が彼女にあのような態度を取った事で他の者も彼女の事を軽んじる可能性があるという事を考えておりませんでした・・・」


 メルビス(宰相)の娘である彼女がアオイに厳しめな態度で接してしまったらどうなのかを冷静になった今になって思い至ったのかリューンは俯きながら語る。

 まぁ、パッとアオイの思考を読んだ感じではリューンの言った事は私の言おうと思っていた事と同じ事だしあまり気にする事では無いんだけどなぁ・・・まぁ、罰無しは示しがつかないし、これで良いか・・・

 チラリと最近また伸びて来た自分の髪を見てから私はリューンに声を掛ける。


「他の皆には私の方から言っておくから気にしなくて良いよ。全く。リューンや夢菜さん達が私の言いたい事を全部言ってくれたみたいだから私の言う事が無くなっちゃったよ。個人的には私が言う予定の事だったから罰なんて与えたく無いけど名目上何かしらの罰を与える事には為ると思うから一応覚悟しておいてね?私的には分からないけど何故か君達皆が嫌がる事をリューンには命じるから」

「・・・はい」


 そんな話をした後に私はリューンからアルのやった事を詳しく聞き、そんな事をしている間に謁見の間に着いたのでメイド長がアルを連れて来るのをリューンと一緒に待つ。

 少し待つとメイド長が些か青い顔をしたアルを連れて謁見の間に入って来る。

 入って来た二人とリューンが臣下の礼をするのを見てから私はゆっくりと口を開く。


「やあ、よく来たね。皆、楽にして良いよ」


 私の言葉に全員が礼を解いて私の方を見る。

 それを確認してからアルの方を見て口を開く。


「さて、唐突だけど何で呼び出されたのかは分かっているね。アル?何か申し開きは有るかな?」

「あぁ、あるぜ。他の連中から話を聞いた話だと勇者の連中は最初の厄災戦の時に後ろに下げて居るって聞いた。そんな足手纏いな連中にアンタと同等だって思ってほしくなかった」


 私の言葉にアルが憮然とした表情で答え、私はその話の内容に私は思わず頭を抱える。

 ———コイツ、何て古い上に中途半端な情報で狗神君達に噛みつきに行ったのか・・・


「アル・・・正座」

「は?」

「せ・い・ざ‼」


 突然の私の正座発言に間の抜けた声を出すアルに少し強めにもう一度同じ事を言うとアルは戸惑った顔のまま素直にその場に正座をする。

 メイド長もリューンもなんとも言えない顔でアルの事を見る。


「アル。正しい情報が君の所に届かなかったのは確かに私のミスかもしれない。だけど、正確な情報を集めなかったのは君のミスだ。手に入れた情報を鵜吞みにして動かないでもっと慎重に為るべきだった」


 左手で頭を抑えながらアルにそう告げると彼も思う所が有ったのか少しだけバツの悪そうな顔になる。


「良いかい。アル。彼らが居なかったら私は今ここに座っていないんだよ」


 私の言葉にアルが訝し気な顔をするので彼等が参加しだした第3~第6戦での彼等の戦いを話して聞かせる(一部の第5、第6の厄災戦は戦いの後にフェル達から聞いた話を織り交ぜて話した)。

 これまでの事を全部話し終えた頃には狗神君達が足手纏いだと言っていた彼はやってしまったという表情で正座をしている。

 アルの思い込みが間違いだと分かった所で私はひっそりと溜息を吐き、リューンとアルの二人に今回の罰を告げる為に口を開く。


「さて、色々と誤解が解けた所で君達に今回の罰を伝えようか。まずはアル。君には一か月間、城の清掃を命じる。勇者の彼等に対しては私からは何も言わない。でも、君が彼等に何をするべきか分かっているね?」

「うっ・・・はい・・・」


 最後の方だけ少しだけ言い聞かせるように低い声でアルに語り掛ける。

 ぶっちゃけると狗神君達への謝罪に対しては私からは何も言えないんだよね。謝罪なんてものは誰かに言われてやったんじゃ何にも意味が無いもの。

 そんな事を考えて居るとアルは素直に私の言う事に返事をして俯く。

 そんなアルを見てから今度はリューンの方を向き先程決めたリューンへの罰を口にする。

 正直、なんでこれが彼等の罰になるのか今一謎なのだけど今回の件に関してはこれぐらいで丁度いいでしょう。


「リューンには私の散髪を命じる。今日中に切るから準備をしていてね」

「・・・はい」


 そう告げるとリューンは少しだけ間を開けた後に何か言いたそうにしてから返事をする。隣では何故かメイド長も顔を顰めていたが何も言ってこないのでこの後に予定も有るので今日の所はお開きにしよう。


「さて、罰も伝えた事だし、私にも用事がある。各々自分の罰の準備をする時間も有るから今日はもう解散」


 私の言葉で何か言いたそうな顔をしていたリューンとメイド長、自分の取った行動に嫌悪感を抱き、明らかに元気の無くなったアルが謁見の間から出て行く。

 彼等を見送った後に私も乾君達に会いに行く為に謁見の間から出て行く。

 狗神君とは話をして謝ったけど乾君達には話が出来てないからね・・・この一ヶ月の事はちゃんと謝っておかないと・・・

 幸いな事にアオイの部屋に言っていた夢菜さん達も私達が話している間に合流していたのか乾君達と一緒のサロンに居てくれたお陰で直ぐに全員に謝る事が出来き、許して貰えた。

 此処だけの話、夢菜さん達は相当怒っていて怖かったが今度一緒に街巡りをする事を条件に水に流して貰えたのは幸いだった。むしろ私の方が気を使って貰ったのかもしれない。

 そんなこんなで復帰してから一日目はあっという間に過ぎて行き、私は嫌がるリューンに狗神君達と有ったぐらいの時の長さに髪を切って貰い。

 また疲れるであろう。明日に備えて久しぶりに自分の部屋でネージュと一緒に睡眠を摂った。


 ☆


 リューンさんと言う、魔族の公爵令嬢が部屋に来てから一晩経ち、私は護衛という名の監視の人達に連れられて長い廊下を歩いて居る。

 何故、私が部屋から出られたのかと言うと昨日リューンさんを連れて行った魔王さんが私に向かってまちにでようと言って来たからだ。

 街を歩いて何を見せたいのか全然分からないけど正直に言って不安しかない・・・


「魔王様からここから先はお一人で来させるようにと言われております。くれぐれも魔王様に失礼のないようにしてください」


 頑丈そうな門の近くでずっとお世話をしてくれているメイドさんが私にそう言うと一人で門の先まで歩かされる。

 正直に言って捕虜になっている人間を一人にするなんて何を考えているんだろう?

 そんな疑問を抱きながら歩いて居ると門の外に出る。


「わぁ・・・」

「やぁ、来たね」

「‼」


 初めて見る帝国以外の光景に思わず感嘆の声を漏らすと不意に後ろから声を掛けられ驚いて振り向くとそこには仕立ての良い服を身に纏った私と同い年か一つ下くらいの肩ぐらいの長さに切りそろえた黒色の髪を後ろで縛ったものすごく綺麗な中性的な顔立ちの男の子?が立って居る。


「えっと・・・もしかして・・・魔王さんですか?」


 目の前の男の子?に心当たりのある人物は一人しかおらず恐る恐る訊ねて見ると彼はその綺麗な顔に完璧と言えるような笑みを浮かべて口を開く。


「改めて初めまして。黄昏の国の現国王で現黄昏の魔王のトワだ。よろしく」


 右手を出しながらそう言う彼の顔を私は三秒ほどジッと見ながら思考停止していた。


此処までの読了ありがとうございました。

次回は葵視点です

ごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ