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意外な助っ人

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

また、誤字脱字報告。真にありがとうございました。

第191話投稿させて頂きます。

楽しんで頂けたら幸いです。

「嚙み砕け‼《オロチ》‼」


 煙を上げている筒状の武器・・・この世界に有るはずの無い銃を構えた少年に驚いていると横から起きたアルバルトが《オロチ》の刀身を伸ばし、攻撃を再開してくる。

 その攻撃を《シナツヒコ》で受け流しながら私は厄介な銃を処理する為に少年に向けて駈け出す。


「ひっ‼」

「‼」


 駆けて来る私に怯えた様に悲鳴を上げながら銃を上に向け身を引く少年の態度に私に敵意は無く。何かしらの理由が有って攻撃して来たのだと知り思わず動きが鈍る。

 そんな私と少年の間に何か大きな物を持った小柄な人影が急いで割り込んできたかと思うと小柄な人影は手に持った大きな物体を前に掲げ、声を発する。


「守って‼《ラファエル》」


 少女の声でここ最近よく聞く起動ワードが呟かれると私と人影の間に緑色の小さな六角形が組み合わされたような壁が形成され私の攻撃を弾き吹き飛ばされて距離を開かされる。

 床を滑りながら割り込んできた人影を確認すると少年の前には大きな十字の付いた白銀の盾を持つ少女が少年に向かって声を掛けている。

 くそ・・・あの盾、贈り物か・・・厄介な

 たった一度の激突でガタガタになった体を忌々しく思いながら贈り物の種類と対策、何が出来るのかを考えながら相手に自分の状態を悟られない様にゆっくりと立ち上がるとアルバルトが楽しそうに声を掛けて来る。


「フハハハハ、やはり情報通り敵意の無い幼子には弱いか‼下民は幼子の時から愚かしい物だなぁ。たかだかは母親に会いたい等という理由の為に自分には何も関係の無い赤の他人殺そうとする事が出来るのだからなぁ~。そうは思わぬか黄昏の魔王殿」

「あの子の母親を思う気持ちをそう言う風に言えるからお前はディランに認められなかったんだよ」


 体が受けたダメージを誤魔化しながら武器を構えるとアルバルトが馬鹿にしたような視線を向けながら口を開く。


「フン、減らず口を叩くだけの余裕は有るか。そんな考え方だから貴公はダメージを負ったのだ。まぁ、良い。予の体に傷を作った代償は大きいぞ。アオイ‼用済みの下民を下らせ予のフォローに回れ‼」


 アルバルトの言葉にアオイと呼ばれた少女と銃を持っていた子供が一瞬ビクッと肩を震わせるがアオイと呼ばれた少女は先程の物言いに思う所が有ったのか直ぐに意を決した様にアルバルトに向かって異議を唱える。


「待ってください。アルバルト様。ユタ君との約束はちゃんと守ってくださるんですよね?ユタ君はその為に人を傷つける様な事にも参加したんです。お願いです。ユタ君との約束を破る様な事はしないでください‼」

「チッ‼」


 私という敵を前にしてウダウダとしているアオイにアルバルトは露骨に機嫌の悪そうな顔で舌打ちをする。

 私も現状で子供への報酬について呆れながら彼女のステータスを確認する。


 ☆


 種族:人間 名前:立花 葵 性別:女 年齢:17 Lv.70 剣術Lv.70 盾術Lv.70 魔法Lv.50 状態:健康 特記:異世界からの旅人・光冥盾(こうめいじゅん)《ラファエル》の適正者 所属:グラディア帝国


 ☆


 成程、名前から予想は付いていたけど彼女は林葉達と一緒にこの世界に来て居たのか・・・それならば私という敵がいるのに優先順位が低いのも少しだけ納得出来る。ここに来てどれぐらいに為るかは分からないけど恐らく彼女は林葉達と違ってこの世界に順応出来なかった側の人間なのだろう・・・

 そんな事を考えて居るとイライラした様子のアルバルトが怒鳴り声に近い声で答える。


「そんな事は解っている‼だが、今はそんな事を気にしている時ではないのだ‼」

(それにコヤツの母親などとっくの昔にこの世には居らんわ。まぁ、最新の兵器のテストを終えた今もう用済みか)

「でも‼」

「解った‼では、さっさと褒美をくれてやる‼」


 アオイと言い争っている途中でアルバルトが子供に目を向けると《オロチ》を構えて子供に向き直る。アルバルト考えを見て私は急いで子供へと向かって駆けだそうとするが《ラファエル》の効果なのか思った以上にダメージが大きく体が思う様に動かない。


「盾で防げ‼」

「え⁉」


 咄嗟にアオイに向かって声を掛けるが敵である私にいきなり盾を使えと言われ、アオイが驚くのと同時にアオイの目の前に真っ赤な液体が飛び散る。


「え・・・ユタ君?」


 信じられない物を見るようなその視線の先には先程銃を構えていた少年がアルバルトに切り付けられている光景だ。


「うぅ・・・」

「ユタ君‼」


 床に倒れた少年にアオイが悲鳴に近い声を上げながら近寄り抱き上げて傷口を抑える。

 少年の傷は深いが幸いにもまだ命が有るのか力無く小さな呻き声を上げている。


「フン、まだ生きているか。下民は無駄に生命力が高いな。まぁ、そのうち死ぬだろう。さぁ、アオイ。コヤツに報酬は払ってやったぞ?次はお前が働く番だ。あまり予を失望させるな」

「なんで・・・」


 死に掛けの子供を冷たく見ながらアオイに戦えと促すアルバルトを睨みながらアオイが何とか血を止めようとしているが傷口を抑える手は少年から流れる血でただただ赤く染まる。


「なぜ?貴様が下民に報酬を渡せと五月蠅いから先に払ってやっただけだろう?そもそも本気で死んだ人間に合わせてやる等という戯言を信じておったのか?全く持ってそこの下民も貴様ら召喚者も頭がおめでたい。少し考えれば分かるだろう?そのような神の御業が出来る訳が無かろう。出来た所でそのような下民にたかが試作兵器のテストをさせたくらいで使う訳が無かろうが」

「そんな事って・・・」


 泣きながら傷口を抑えているアオイに対してアルバルトは《オロチ》を握り直すと一歩前に歩を進めながら言葉を続ける。


「解ったらさっさと《ラファエル》を構えろ。それともまだ息のあるそこの下民が心配で動けないというのなら今度こそ息の根を止めてやろう」


 そう言ってアルバルトは《オロチ》を振り上げ、そのまま少年に振り下ろす。

 咄嗟にアオイが子供を庇うがガキンという音共に《オロチ》の刃は二人に降りかかる事は無かった。


「駄目だよ♪それだけは駄目だよ♪アルバルト」


 アオイとアルバルトの間にはいつの間にかエリス・ケールが漆黒の長剣を握りアルバルトの《オロチ》を受け止めて立って居た。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

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