発砲音
おはようございます。
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第190話投稿させて頂きます。
楽しんで頂けたら幸いです。
「フ、フフフフフ、フハハハハアッハハハアハ!」
武器を向けながら戦闘態勢になった私を見てアルバルトは急に笑い出す。
警戒しながら相手の動きを見ているとアルバルトは狂気の笑みを浮かべたまま愉快そうに口を開く。
「情報通り、多数の贈り物を保有している様だな。態々予の前に女神の贈り物を届けてくれるとは・・・良いだろう。貴殿を倒し、予の足元に跪かせた後でゆっくりと貴殿の持つ贈り物を頂くとしよう」
最早見慣れたニヤニヤ笑いを浮かべながら私の《タケミカヅチ》と《シナツヒコ》を見ながらゆったりと立ち上がり《オロチ》を構える。
思っていたよりも堂に入った構えに既視感を憶えながら私は思考を戦闘モードに移しながら《タケミカヅチ》と《シナツヒコ》を構え直す。
お互いが武器を構えたのを合図に私とアルバルトは同時に地を蹴る。
お互いの距離がゼロになった所でガキンガキンと硬質な物がぶつかり合う音を鳴り響かせながら周囲に火花が散り、周囲を一瞬、紅く照らす。
アルバルトが《オロチ》を私の首に向かって振るって来るのを《シナツヒコ》で受け止め、カウンターで相手の腹部に向けて《タケミカヅチ》を振るうと相手は読んでいたと言わんばかりにバックステップで私の一撃を避ける。
そのまま体全体をバネの様にしならせ、勢いを付けて切り掛かって来たのを《タケミカヅチ》でいなしついでに《タケミカヅチ》の能力で《オロチ》に電流を流し相手にダメージを与えようとした所でアルバルトは《オロチ》を《タケミカヅチ》から引き離し、私と距離を取る。
・・・ちっ、腐ってもディランの子か・・・コイツ。意外と動けるな
内心でごちりながらも《タケミカヅチ》と《シナツヒコ》を問題無く扱えている事に少しだけホッとする。
今回、武装を使い慣れた《カグツチ》と《オカミノカミ》から《タケミカヅチ》と《シナツヒコ》に切り替えているのには訳がある。
休みの最中に皆と別れてから私はメルビス、クロノス、レクセウスを巻き込んでひたすらに自分の戦闘データーを取り続けた。
その結果、何故か型を幾つか忘れている事と《カグツチ》と《オカミノカミ》に調整が必要な事が判明し、現在二本の愛剣は調整中なのだ。そして現在は比較的まともに扱えた《タケミカヅチ》と《シナツヒコ》を使用する事になった。
「噛み砕け‼《オロチ》」
そんな事を考えて居ると距離を取ったアルバルトが《オロチ》の起動ワードを叫び、剣を振るうと刀身が蛇腹状になり私に向って意思を持つ様に私に向かって襲い掛かって来る。
「吹け《シナツヒコ》、走れ《タケミカヅチ》」。
此方に向かって襲い掛かって来る《オロチ》の刀身と《シナツヒコ》の風と《タケミカヅチ》の雷がぶつかり合い何とも言えない轟音が周囲に鳴り響く。
先程、吹き飛ばされて気絶している兵士や林葉達がぶつかり合った事によって起きたエネルギーによって更に端の方へと吹き飛んで行く。
それにしても、実態のある武器に向かって風と雷というエネルギーの塊をぶつけているのにお互いを押し合うって言うのもなんとも言えない光景だよね・・・
「くそ‼忌々しい‼もっと威力を上げろ‼《オロチ》‼」
私が出鱈目な現象の起きる武器たちに呆れていると向かいで《オロチ》を振るっているアルバルトが声を荒げ叫びながら《オロチ》を振るうとその刀身が二本に別れ《シナツヒコ》と《タケミカヅチ》の風と雷の相手をしていたのとは別の物が左側から再び私に向かって接近してくる。
その刀身を《シナツヒコ》の刃の一つで受け流しながら私はアルバルトに向かって駆けだす。
「なに⁉くそ‼《オロチ》‼」
ガガガガガガっと刃から火花を散らしながら駆けて来る私に驚いた声を上げるが意外にも直ぐに冷静になったらしく《オロチ》の刃をもう一本増やして攻撃をして来る。
襲い掛かって来るもう一本を更に《タケミカヅチ》で受け、歩みを止めずに駆け抜ける。
幸いにもエリス・ケールと違いアルバルトが出せる刀身は三本だけだったらしくそれ以上の追撃は無く私はアルバルトに近づく事が出来た。
「くっつ‼オクタ・・・」
アルバルトが私に向かって魔法を放とうとするより早く相手のお腹を蹴り倒し、魔法の発動と《オロチ》による攻撃をキャンセルさせる
「ぐっ・・・‼」
床に叩きつけられ短い悲鳴を上げながらも直ぐに体を起こそうとするアルバルトの上に馬乗りになり肩に《タケミカヅチ》突き刺す。
「ぐあああああ‼」
痛みによる叫びを上げながら床に縫い付けられたアルバルトの命を刈り取る為に今度は《シナツヒコ》を頭に向けて振り下ろそうとした所でアルバルトがニヤリと笑い口を開く。
「ハッ、流石は自分に逆らう者を全て殺し王座に就いたものだな・・・予も腕には自信が有ったがまさか負けるとは思ってもみなかったぞ?」
殺されかけながらも余裕な表情を崩さないアルバルトを無視しているとアルバルトは無視されている事を気にも留めずに言葉を続ける。
「だが、次はこうはいかぬぞ」
「お前に次は無いよ」
アルバルトの負け惜しみの言葉にだけ冷たく返すと私は振り上げていた《シナツヒコ》を振り下ろそうとした瞬間、静寂に包まれていた王者の間の間にパンっと何かが破裂するような音が鳴り響き、私の左手から血が噴きだした。
発砲音と思われる音とほぼ同時に開いた穴を見て私は即座にアルバルトから《タケミカヅチ》を抜き取ってアルバルトから距離を取り、発砲音のした方向に目を向けるとそこには5~6歳に見える子供が先端から煙を上げている筒状の武器を持ち私に狙いを定めていた。
此処までの読了ありがとうございました。
次回もごゆるりとお待ちいただければ幸いです。




