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コハクの秘め事・2

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

また、誤字脱字報告。真にありがとうございました。

第185話投稿させて頂きます。

今回は少しだけコハク視点の後に和登視点です。楽しんで頂ければ幸いです。

 ☆


「レクセウス‼次のゴーレムを出せ‼」

「魔王様、一度休憩を入れた方がよろしいかと。あまり無茶をし過ぎても体を壊すだけですぞ」


 広々とした鍛錬場に響く私の声にレクセウスが窘める様に休憩する音を進めて来る。

 私の現在の居場所は黄昏の国の鍛錬場だ。昨日、狗神君と話をしてから彼と顔を合わせるのが気まずく。私は逃げる様に国に帰って来ていた。

 そんな私は現在、遺跡で戦った彼女との違いを確かめる為にレクセウスに剣の修行を再びつけて貰っている・・・というかひたすらにゴーレムと戦って今までの私と何か違うのかをレクセウスに記録して貰っている。


「次が終わったら一旦休む。頼む」

「・・・畏まりました」


 レクセウスの言葉に私は否定の意を示すと彼は渋々ながらにそれに従ってくれる。

 そんな彼に内心で感謝をしながら私は自分の現状を知る為に目の前に出現したゴーレムに向かって駆けだした。


 ☆


「最初に注意しておくべき事を一点。この話は私がコハク様の侍女になるという事で私の父・・・黄昏の国宰相のメルビス・グランデが誠実の女神レスナ様の名に誓い嘘偽りなく話してくれた《鮮血の宴》と呼ばれる事件の真相です。他言無きようによろしくお願い申し上げます」


 そう言うとリューンは座ったままお辞儀をしてから本題の話へと入って行く。


「まず初めに〈鮮血の宴〉事件は魔王様・・・コハク様が突然、臣下の者達を皆殺しにしたと言われていますがそうでは有りません。先に命を狙って来たのはあのおぶ・・・機関と呼ばれていた組織に所属していた愚か者達でした」


 リューンは苦虫を嚙み潰したような顔でサポート機関の事を一瞬、汚物と言いそうになりながら話を続ける。


「当初王権派は暁の魔王様のおっしゃる通りコハク様が来られた事で勢いを増し機関の者どもを完全に潰せるまであと少しという所まで来ていました。しかし、連中は公爵等高位の地位の貴族でもあり、しかも歴代の魔王の子孫という事も有り中々止めをさせずにいたのです。そんな中、連中は奴らの取れる手段の中で最も愚かな行動を取る事を決定したのです。コハク様を排除して連中の中から一人を魔王にするという女神さまの意思を無視するという愚かな選択を・・・」


 リューンの言葉にその場に居る全員が顔を顰めて嫌悪感を顕わにする。恐らく知っていたであろうクリストさんも怖い顔が更に怖い事になっている。

 そんな中、オウルが顔を顰めながらリューンへの確認をする。


「君がそう言う以上奴らの狙いがコハクの排除なのは事実なんだろう。だが、コハクの事は暗部も含めた者たちが警護していたはずだ。あいつ等がいくら公爵の地位に居ても易々と手は出せなかったはずだ」


 オウルの問いかけにリューンは若干頭痛を憶えた様な顔になりながら答える。


「はい、確かにその通りなのですが・・・黄昏の魔王様というのは皆様揃って放浪癖と言いますか・・・何と言いますか・・・護衛も連れずにふらりと居なくなってしまう癖が有るんです・・・コハク様もその例に洩れなかったみたいで政治触れてから国の状況に興味をお持ちになられたらしく何度か父や護衛の目を潜り抜けて一人でお出かけになる事が有ったのです。おぶ・・・連中はその時を狙ってコハク様の襲撃を仕掛けて来たのでございます」


 そこでリューンはコーヒーを一口飲み、喉を潤す。


「コハク様は、どうしてかは分からないのですが当時のおぶ・・・機関の者達の中でも最も高い役職に居たクレプスクルム公爵の領地に単身で向かわれたのです。そこで仲良くなった少女がおぶ・・・機関の者に暗殺者として仕立て上げられた者だったらしいです・・・コハク様はその者を何とか撃破したのですが腹部を何回も刺されたのか瀕死の状態で城に戻って来られました」


 リューンの話を聞きいつの日か見たコハクの腹部に刻まれていた無数の傷痕を思い出す。ひょっとしたらあの傷はその暗殺者に着けられたものなのだろうか?

 そんな事を考えている間にもリューンは話を続ける。


「何とか傷を治療した後におぶ・・・機関の者達へコハク様から内密に黄昏の城の離宮にてパーティーを行うとの通知が通達されました。そこで《鮮血の宴》が行われました。参加者は皆殺し、結果として機関は壊滅致しました。後から調べられた事ですが参加していた子供は皆暗殺者として育てられた孤児でコハク様を殺すつもりだったと考えられています。機関の者達の家は取り潰し、連中の実の子供達は幼い子は全員孤児院へある程度成長した者達は父達の反対を押し切り平民落ちと言う処分でこの事件は幕を閉じました。世に出ている事件の話はコハク様や父達が国を統治する為や他国を牽制する為に流したものです。何故コハク様がパーティーを開いたのかクレプスクルム領で何が有ったのか等なぞが多いのですが以上が私の知っているこの事件の真相にございます」


 そう言って一つ礼をした後でリューンの話が終わり何とも言えない空気のまま俺達は解散する事になった。

 少しして先程の話を考えながら一人で剣の稽古をしていると乾が木刀を持って現れる。

 何の様かと訊くと手合わせしようと言って来るので相手をする。

 ある程度打ち合い鍔迫り合いをすると乾がいきなり話しかけて来る。


「それで?恐らくコハクが隠していた事を聞いた後でお前はどうするんだ?」


 その言葉を聞き俺は剣をグッと相手に押し込みながら問い返す。


「どうするって?どういう事だよ‼」


 俺の攻撃に乾は呆れた様にしながら俺の剣を押し返して答えて来る


「だから、コハクが子供でも殺せる奴だって知ってやめるのか?って聞いてるんだよ‼」


 その言葉と同時に俺の剣を思いっきり打ち距離を取ろうとするのですぐに体制を整え追撃しながら答えを言う。


「そんな簡単にやめられるなら最初から好きになってなんかねぇよ‼コハクが俺を異性として見てねぇならそう見える様にしてやるしさっきの事を気にしてるんならそんな事関係ねぇって声を大にして言ってやる‼」


 その言葉と同時に乾の木剣を吹っ飛ばし俺と乾の勝負に決着がつく。

 乾は珍しく少しだけ笑みを浮かべると口を開く。


「そっか、せいぜい頑張れよ」

「おう」


 意外にあっさりとした言葉に答え、自分の気持ちを再確認して俺達のバカンス休暇は終わりを告げた。

此処までの読了ありがとうございました。

これでバカンス編は終わりです。

すみません。個人的な用事の為7/17と7/24の投稿をお休みさせて頂きます。投稿再開は7/31です。

次回もごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

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