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コハクの秘め事・1

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

また、誤字脱字報告。真にありがとうございました。

第184話投稿させて頂きます。

すみません。まだもう少しだけバカンス編続きます。

今回は和登視点です。楽しんで頂ければ幸いです。

「それにしても、コハクが俺達に言っていない事って何なんだろうな?」


 俺の所為で重苦しくなってしまった空気の中で朝食を摂った後で食後のコーヒーを飲みながら乾がフェルやオウル。コハクの所のメイドさん達(リューンさん達)等の事情を知っていそうな人達を見据えながらぼそりと質問をぶつける。

 意外な事に乾が目を向けた人以外の人も一様に表情が硬くなり黙りこくる。

 不思議そうにしているのはアミルさんの隣に座っているレニちゃんぐらいだ。


「急にそんな事言い出してどうしたんだ?」


 フェルが若干顔を引きつらせながら無理矢理笑みを作り乾に訊くと乾は俺の方を指差しながらさらりと答える。


「いや、うちの狗神がお宅らの所のコハクに振られたんだよ。その理由が俺達にまだ喋っていない事が有るって理由らしいから昔馴染みのフェル達なら知ってるかと思って訊いてみたんだけど皆何でそんなに表情を硬くするのかな?差し障りなければ教えてくんない?」


 ・・・コイツすげぇぇェェェェェ、この状況でズカズカと確信に踏み込んでいきやがる‼え⁉何⁉なんでそんなに今日はアクティブなの⁉あと、早乙女さん。うちの狗神の辺りで目をキラキラさせないで‼

 内心でそんな事を騒いでいると乾の言葉を聞いたフェルが溜息を一つ吐くとテルミアさんんに言ってレニちゃんとネージュを別の場所に移動させる。どうやら子供に訊かせるのには些か衝撃が強い話らしい。まぁ、ネージュはレニちゃんの遊び相手としてだろうけど・・・

 そう考えているとフェルの行動を見てレヴィさんが声を掛ける。


「ちょっと‼コハクが言っていないのに勝手に言う気?いくら気心知れた中だからってそれは駄目じゃないの?」

「あらましを教えるだけだ。和登だって意味の分からない理由で振られたんじゃやり切れねぇだろ。大筋ぐらい知ってもアイツだって文句は言わねぇよ。つか、俺達だって詳しい事は解ってねぇし、下手な事は言わねーよ」


 フェルの言葉にレヴィさんは些か不満そうな顔をするが黙ってフェルに任せる事にしたらしくこの場は引き下がる。

 その様子を見てからフェルはゆっくりとした口調で俺達に向けて話を始める。


「多分だが、コハクがお前等に話していない事って言うのは黄昏の国の中で起きた事件で最悪と言われている《鮮血の宴》の事だと思う・・・」


 忌々しそうな声音で事件の名前を言うフェルの顔と事件の名前から恐らく碌でもない事件なのだろうことを予測し、異世界から来た全員が思わず顔を顰める。

 その様子を見ながらフェルはあくまで自分達外部の者が知っているのは概要だけだと念を押してから話を続ける。


「アイツが魔王に為って直ぐの頃は黄昏の国には老いた黄昏の王をサポートする機関が存在していたんだ。まぁ、実態はサポート機関って言う名のやりたい放題やろうとしている元魔王の子孫連中が設立した機関だったんだがな・・・ストリアのおやっさんが健在の時には徹底的に抑え込んで好き勝手出来ない様にしていたんだがおやっさんが崩御した途端に歴代魔王の子孫である自分達こそが国を回すのにふさわしいとか言ってしゃしゃり出て来て(まつりごと)に口を出すようになって来たんだ。それでも、残った宰相達が抑え続けて何とか国が回っていたらしいんだわ。お互いに潰せない。そんな状態がしばらく続いた後で事態に変化が訪れる事になる。お前達も良く知っていると思うクロノスが新たな魔王(コハク)を連れて黄昏の国に帰還を果たしたんだ」


 そう言って言葉を切るとフェルはティーカップ持って喉を潤すと話を再開する。

 要するに国を乗っ取ろうとしていた連中と国の重鎮達が戦っている所に正統な王位継承権を持つ存在が現れた訳か・・・嫌だなぁ・・・もう嫌な予感しかしない・・・


「コハクが王位に着いた時にはすごかったらしいぞ。サポート機関の連中が軒並み幼いコハクを自分の子供と婚約させようとしたり、取り入ろうとする連中ばっかりだったらしい。幸い。コハクには眼も有ったし、メルビス率いる王権派の連中がガッチリガードしていたお掛けで連中はコハクに取り入る事が出来なかったし、コハクはコハクで王権派連中と深い絆を結ぶことが出来た。サポート機関の連中はそりゃあ面白くなかっただろうな・・・そんな火種を抱えたままコハクは宰相の下で魔王としての仕事を学び、機関の連中は実権を失いながら国は順調に回る様になって来ていた・・・そんな日々がしばらく続いたある日、黄昏の国で一つのパーティーが開かれる事になった・・・そのパーティーで起きた事件って言うのが、さっき俺が《鮮血の宴》って呼んだ事件だ。結論から言うとコハクはそのパーティーでサポート機関の連中の親類縁者一族郎党全てを手に持った剣を使って殺してしまったんだよ・・・一人の例外も無くな・・・」


 苦々しい顔でそう言ったフェルは徐にカップを手に持つと再び喉を潤す。

 正直、予想出来ていた事とは言えあまりの事に俺達が言葉を失っているとフェルは話を再開する。


「この事件の嫌な所はアイツが子供を含めて全員バラバラに殺してしまったと言われている所だ。パーティーで使われていた大広間は参加者の血と肉が散乱してそれはもう酷かったらしい。コハクの動機等の詳細は宰相が全て隠蔽しちまった為に情報が入って来ない。何でコハクがそんな凶行に走ったのか全く分からないままこの事件は強制的に幕を下ろし過去の事になって行った。コハクの行動には様々な憶測が飛び交い消えて行った。俺達が知っている情報は此処までだ。一つだけ言えるのは俺も他の連中もコハクが一方的に悪いとは思っていない。恐らく宰相が隠した真実に何か関係が有るんだと思っている。俺から話せる事は以上だ。この話を聞いてお前らが今後どうアイツに接するかはお前等に任せる」


 そう言ってフェルが話を終えるとその場の空気が先程より倍近く重くなる。そんな中、今まで黙っていたリューンがクリストさんにちらりと目配せをすると小さく手を挙げて口を開く。


「皆様。先程、フェル様が語られた事は確かに真実にございます。ですが一つだけお願いがございますコハク様への接し方や態度を変えるのならばどうか今からお話する事を訊いてから判断してくださいまし、本来、主の居ない場でこのような事を騙るなどメイドとして失格で有ります。ですがコハク様の為にどうかお願いいたします。」


 そう言って頭を下げた後にリューンは今まで隠されてきたらしい《鮮血の宴》事件の真相をゆっくりと語り始めた。

此処までの読了ありがとうございました。

次回も引き続き、和登視点になります。

ごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

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