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一体何が有ったのだろう?

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

また、誤字脱字報告。真にありがとうございました。

第183話投稿させて頂きます。

今回は乾視点です。楽しんで頂ければ幸いです。

 コハクが起きたので皆で報告会をした翌日、朝の日差しにより珍しく爽やかに目覚める事が出来たので気分爽快に朝食を食べにリビングに赴くとそこには目をカッと見開き長テーブルに死んだように頭を押し付けている狗神の姿が有った。


「・・・死体か?」

「死んでねぇよ・・・」


 思わず口を吐いた言葉に狗神がこれまた生気の無い声音で反論してくる。

 ・・・とりあえず生存確認は取れたな・・・てか、目が怖ぇよ・・・何とかしろよ


「ただいま~」

「ただいま戻りました」


 狗神に対してそんなツッコミを心の中でしていると玄関口から戌夜と湊瀬が手を繋いで玄関側から入ってくる。この二人は先日出かけた際に見事に両思いになったカップルの一組だ。


「うわ‼狗神先輩、どうしたんですか!?」

「何処具合が悪いんですか?」


 戌夜は驚き、湊瀬は心配そうに狗神に問いかける。


「大丈夫だ・・・問題ない・・・」

「ひょっとしてコハクちゃんと何か有りました?」


 何かのゲームのキャラみたいなセリフを口にする狗神に湊瀬が控えめに質問すると狗神がビクリと肩を震わす。

 ・・・おいおい図星かよ・・・

 狗神の反応に思わずその場の全員が口を噤むと狗神がポツリと喋り出す。


「振られた・・・」


 その言葉にヴァネッサ達や奥で朝食用の皿やなんかを出してたアライさん。てか、その場に居た女性陣全員が動きを止める。アンタ等聞いてたんか・・・

 凍り付いた空気の中、勇敢にも湊瀬が言葉を続ける。


「それって・・・コハクちゃんにですよね?」

「ああ・・・」


 その言葉に湊瀬や他の女性陣が不思議そうな顔をしているので今度は俺が狗神に質問をする。


「大方、お前の告白の仕方が分かり難かったんじゃないのか?コハクがそれを告白と理解できなかっただけだろ?もう直球で言いに行って来いよ」


 大方、素直に好きだって言う勇気が無くって「月が綺麗ですね」とか言ってコハクにそれが伝わらなかっただけじゃないのか?彼女にその手の比喩表現が伝わるとは思えない。多分、そう言って「そうだね~」って軽く流されただけだろ。

 そう思ってド直球に伝えて来いと狗神に言うと奴は死んだ表情のまま首を振り俺の言葉を否定する。


「確かにそう言う風に告白はしたけどコハクはちゃんと意味を理解していたよ。コハクにそう告白した時に自分以外に言ったら勘違いされるって言われたんだ。だから勘違いされる様に言っているって伝えたら一瞬嬉しそうな顔をしてくれたんだ・・・だけど急に青ざめて自分の手と俺の顔を見たかと思ったら真剣な顔でこう言われたよ『ありがとう。狗神君にそう言って貰えてとても嬉しいよ。でも、私は君達に言っていない事がたくさんある。それを聞いたら君は私に嫌悪感を憶えると思う。だからごめんね。私には月が見えないよ』そう言って逃げるように俺から離れて行っちゃったよ・・・」


『月が見えない』か・・・確か『月が綺麗ですね』に対する断りの言葉で確か貴女は私の思い人では有りませんって言う意味になるんだったか?

 ・・・絶望的じゃねぇか・・・しかし、一瞬、嬉しそうな顔をしていたのに断るとはコハクは一体どうしたというのだろうか?


「とりあえずもう一回コハクちゃんとお話してみた方が良いと思います。詳しくは言えないと言うか言うべきではないと思うので言いませんが多分、それコハクちゃんの本心じゃないと思うんです。朝食の時にでももう一度コハクちゃんに聞いてみましょうよ」


 湊瀬がそう言うと丁度、朝食の準備が出来たのかリューンが大皿に乗った料理を運んできながら言い難そうに口を開く。


「お話の最中すみません。大変言い難いのですがコハク様は少しやる事が出来たと言って朝一番で国に帰られました。皆様は引き続き休暇を楽しむ様にとの事です。あと、

 ネージュをよろしく頼むとの事です・・・」


 その言葉を聞き、狗神は更に落ち込んだ様子になる。

 ・・・徹底的に避けられているな・・・哀れな・・・てか、こいつでも女に振られて此処までがっかりするのか・・・少しだけ意外だな・・・

 そんな事を考えて居ると残りの皆が次々に起きて来て一通り狗神に驚いた後、少々重苦しい空気の中で俺達は朝食を摂る事になった。

 それにしても、狗神の告白を断る切っ掛けになったらしいコハクの言っていない事とは一体何なんだろうか?

 ちらりとその秘密を知っていそうなリューンに視線を向けてから俺は自分の朝食に手を付けることにした。

 此処だけの話だが狗神とコハクには個人的にうまく行って欲しいと思っている。その為に少し俺も動いてみるか・・・


此処までの読了ありがとうございました。

次回は和登視点になります。

次ぐらいでバカンス編が終わりになると思いますごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。


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