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それでも戦う事を選択したのは君達だ。

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

第175話投稿させて頂きます。

楽しんで頂ければ幸いです

「ふむ、柏葉さんは自分の役目を全うしてくれているみたいですね」


 オウルが柏葉を連れて消え、私の剣を自分の剣で受け止めながら林葉は左手を握ったり開いたりして小さく呟く。

 少しも心配したような様子を見せない男に私は少しだけ疑問を持ち、一度敵の体勢を大きく崩してから距離を取り、思わず疑問を投げかけてしまう。


「君は仲間の心配はしないのか?」


 本当に思わず出たその言葉に林葉は何を言っているのか分からないという顔で答えて来る。


「はて?なぜ彼等を心配しなければいけないのですか?柏葉さんは、魔法のエキスパートですし、大方君はパワーだけなら僕より上です。まぁ、どちらも頭はそんなに期待できませんがね・・・何はともあれ僕の強化をしてくれたのなら後は別に心配いらないでしょう。貴方こそ自分の心配や仲間の心配をした方が良いのではないですか?僕ほどでは無いですが彼等も十分手強いです・・・よ‼」


 最後の言葉と同時に林葉は私との距離を一気に詰めて来て右側から斬撃を繰り出して来る

 態と一瞬遅れて《オカミノカミ》で受け止め口を開く。


「魔王を相手に勝てる気でいるのか?」


 私の問いに男はニヤリと細い目をさらに細めて笑いこのまま押し切れないと思ったのか一度私から距離を取り答えて来る


「もちろんじゃないですか。何なら僕達は勇者よりも強い自覚がありますよ?ですから僕達の邪魔をしないでくださいよ。魔王なんて所詮、僕達の嚙ませ犬なんですからね‼《オクタ・フレイム。・ブレードショット》‼」


 ニヤリと嗤いながら自信過剰にそう答え魔法を放って攻撃してくる。

 剣を模った8本の剣が放射状に私に向かって飛んで来るのを冷静に見ながらその魔法の稚拙さにある意味驚きながら行動に移す。


「《オクタ・アクアエンハンスアーマメント》」


 《カグツチ》と《オカミノカミ》に魔法を纏わせ此方に向かって来る炎の剣を全て撃ち落とす。


「このぐらいは想定内ですよ‼先程の攻撃と今の攻撃で貴方の弱点は解りました‼貴方、()()()()()()()()()()()


 右から来る斬撃を先程と同じ様に態と一瞬遅らせて捌きながら内心男の素人具合に呆れてしまう。

 態と右側の反応を遅らせた事によって男は狙い通りに私の右目が見えない物と思い込んだみたいだ。

 見え見えの弱点に釣られるとは・・・コイツはどうやら自分の力に溺れて基本的な事を蔑ろにしているみたいだ・・・これで勇者(狗神君達)より強いと豪語するとは・・・全く持って笑わせてくれる。

 まぁ、私としては見えない左側から攻撃されるより見えている右側から攻撃される方が楽で良いので何も問題は無いのだが・・・この男の傲慢さは死なない程度に痛めつけてへし折っておいた方が良いかもね・・・

 そんな事を考えながら右側に集中している相手からの斬撃を捌いていると林葉は苛付いて来たのか段々と剣劇が荒くなってくる。


「ちっ‼いい加減うぜぇ‼さっさと消えろよ《オクタ・フレイムランス》《オクタ・ライトアロー》」


 鍔迫り合いをしながらそう毒吐きながら私の周囲に魔法を展開し、私と自分との間に距離を取る。


「体全体に穴が開いてし死にやがれ‼」


 主に右側に集中した魔法に対していい加減疲れて来た私は密かに溜息を吐き魔法で対抗する。


「《ヘプタ・プロミネンス・スピア》《ヘプタ・ルクス・アロー》」


 相手の攻撃に対して同じ様な魔法をぶつけてやり消滅させてやる。


「なに⁉」


 同じ様な魔法で消された事が意外だったのか驚きの声を上げる林葉に私は少しだけ挑発の意味も込めて声を掛ける。


「どうした?勇者より強いのではなかったのか?未だに僕は手傷の一つも負っていないぞ?お前程度では少し前の光の勇者にだって劣るだろう」


 出会ったばかりの頃の狗神君の事を思い出しながら林葉にそう言ってやると林葉は顔を真っ赤にしながら怒鳴り散らす。

 まぁ、実際一番最初の頃の狗神君でもコイツ位なら負ける事は無いだろう。・・・あれ?これ私、結構贔屓目に見てる?


「うるせぇ‼テメェの右目が見えないのは変わらねぇだろ‼」


 そう言いながらしつこく右側から攻撃してくる林葉に今度は最速で自分の剣をぶつけて剣を弾きその胴体に向けて蹴りを喰らわせて吹き飛ばす。


「ぐぅ」


 お腹を蹴られた事により短く空気を漏らしながら壁に叩きつけられた林葉は壁から体を起こしながら口を開く。


「くそ‼何なんだよ‼何で死角からの攻撃に最速で対応して来るんだよ‼」


 その言葉に私は心底呆れながら林葉の疑問に答えてやる。


「お前は帝国の騎士達に言われなかったのか?見え見えの隙に釣られるなしっかり相手を観察して戦えとな。お前は僕が右側への反応が鈍いのを見て右目が見えないと判断したみたいだがそんな事は幾らでも誤魔化せるんだよ。」

「っ‼うるせぇ」


 逆上して最早、最初の余裕などどこにもなくなった林葉は滅茶苦茶に剣を振り回しながら此方に向けて駆けて来る。

 それにしても何でコイツがこの班の中で最強とか言われていたのだろう?この程度の相手に勝てないんだったらフェルやオウルを相手にしている彼等は今頃死んでいるんじゃないかな・・・?

 そんな事を考えながら私は溜息を一つ吐きこの下らない戦いを終わらせる為に口を開く。


「さて、そろそろ他の所の戦いも終わりそうだ。僕もいい加減、君の相手は飽きて来た。この程度の攻撃ぐらいは生き延びてくれよ。《ヘプタ・ウインド・ハンマー》」


 私が魔法を使うと此方に駆けて来た林葉の体が何かに叩かれたかの様に右横に吹き飛ぶ。


「⁉」


 林葉は何が起こったのか分からないと言う様な顔をしていると再び何かに殴られて今度は左に吹き飛ぶ。

 何度か空気の塊にぶん殴られ宙を飛んだ林葉は最後に下に向けて叩きつけられて気を失ったのかその動きを止める。

 手や足が折れたらしく変な方向に曲がっているが幸い胸が上下して呼吸をしている事は確認できたので何とか生きているらしい。

 正直、ただ帝国に召喚されただけの彼に此処までする必要があったかと聞かれれば甚だ疑問だがコイツはここで心を折っておかなければ誰彼構わず傷つける人間になっていただろう。

 あと、狗神君とのお出かけやティア達に暴行を加えようとしたのを止めなかった事にも私は結構怒っているのだ。

 気を失っている林葉を見下ろしながら聞こえていないとは思いつつも私は静かに声を掛ける。


「君は、自分達は召喚されただけで此処までされる謂れは無いと思っているかもしれないね?だから僕は君達に最初に警告したんだ『去れ』ってね。それでも戦う事を選択したのは君達だ。自分の選択した代償はしっかりと払ってもらう」


 そう言って私は林葉との戦闘を終え彼を縛る為に一歩前へと踏み出した。


此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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