運がねぇのはあいつを相手にするあの男だ(ぜ)・2
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第174話投稿させて頂きます。
今回はオウル視点です。
楽しんで頂ければ幸いです
「んじゃ、トワ。俺はコイツを連れて少し離れるぞ」
「「‼」」
その言葉と同時に背中の翼を広げて飛び、俺が鳥の獣人である事に驚いている女の頭を掴んでコハクと林葉という男との間に距離を取る。
「‼ゆうっち‼」
俺に頭を掴まれた瞬間に咄嗟にと言った様子で柏葉という女が林葉に強化魔法を掛ける。
ほう・・・チャランポランに見えて意外と判断が速いじゃないか・・・これは少し手古摺りそうだな・・・
そう思いながら情報を得ようと相手をよく観察していると俺に視線に気が付いたのか女が此方を睨みながら口を開く。
「何ジロジロ見てんだよ‼アタシ可愛いからって見てんじゃねぇよ‼変態‼」
なん・・・だと・・・変態と言ったか?このガキャァ‼ふざけんな!俺は嫁さん一筋だ‼お前みたいなんがいちゃもん付けて冤罪を生むんだぞ‼大体、こっちとら異世界産の美人を毎日見てんだよ‼お前程度で何も思わんわ‼この性格ドブスがぁ‼
顔に出さず(仮面の下なので見えるはずがないが)ブチ切れているとそんな俺を気にせずに女は言葉を続ける。
「てか、アンタらマジ邪魔過ぎ、さっさと終わらせて帰りたいのに何でこんな事になってんのよぉ。大体、犬面の奴も一番背の低い奴も身の程知らなすぎ。けいっちは、頭はともかく力は強いし、小さい奴はゆうっちの相手なんて馬鹿過ぎ~。それにアンタも魔術師なのかもしれないけど天才魔術師のアタシと勝負しようなんてバッカみたい。つーことでアンタもモー死んじゃってよ」
俺達の事を馬鹿にしながら攻撃をしてこようと展開していた魔法陣に向かってそれぞれ相反する属性の魔法をぶつけて対消滅させてやる。
「はぁ!?」
対消滅した魔法を見て驚きの声を上げ、不愉快そうな顔をする女に俺は静かな声音でゆっくりと馬鹿でもわかるように語り掛けてやる
「黙れ、ギャアギャア騒ぐな。喧しい。お前ら程度で三人の魔王に勝てるつもりか?お前らこそ身の程を知れ愚か者。それと二つだけ訂正してやる。俺もお前も魔術師じゃない。魔法を手段として使うだけの只の魔法使いだ」
この世界での魔術師というのは魔法に対して原理を理解したり新しい魔法を生み出したり、既存の魔法の改良を行う連中の事を言う。俺は当然、魔法使いよりだし、この女もさっきから使っている魔法を見る限り魔法使いだ。つか、今この場に居る中で魔法の研究なんて途方も無い事をしている魔術師なんて奴は俺の知っている限り一人しかいない。
そんな事を考えながら俺は女が放って来る魔法を対消滅させ続ける。
「うっぜぇ~。さっさと消えなさいよ‼」
俺に攻撃が通らない事にイライラし始めた女は攻撃の密度を上げて来る。
まぁ、いくら攻撃して来ても俺はそれに対処できるんだけどな。コハクに予め教えて貰っていたし・・・さて、そろそろ効いて来るか?
魔法を捌きながら最初に相手の魔法を対消滅させた鬨に仕込んでいた事の効果が出始めるのを待っていると唐突に女の体がぐらりと傾き地面に倒れる。
「⁉」
驚きながらなんとか立ち上がろうとする女にゆっくりと近づきながらこちらを睨んでくる女に種明かしをしてやる。
「心配する事は無い。単なる痺れ薬だ」
その言葉に女は睨みながら何とか口を開く。
「魔術師同士の戦いで薬なんて・・・・この・・・卑怯者」
何とかそれだけ言う女に向けて俺は冷ややかな声で二つ目の訂正を入れてやる。
「残念だが俺とお前の戦いは最初から魔術師の戦いでも魔法使いの戦いでもない。魔法使いと薬師の戦いだ。俺は最初から魔法で勝とうなんて思ってなかったよ」
悔しそうな女の手足を縄で縛り、戦闘中のコハクに目を向ける。
それにしてもコハクと戦うあの男は運がないな・・・怒った時のアイツは俺やフェルよりも容赦がない。
戦い終わった時にはプライドなんてモンはゴミ同然になるだろうな・・・
そんな事を考えながらフェルの方に援護が必要か確認しながら俺は次の行動をする為に動き出した。
此処までの読了ありがとうございました。
次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




