運がねぇのはあいつを相手にするあの男だ(ぜ)・1
おはようございます。
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第173話投稿させて頂きます。
今回はフェル視点です。
楽しんで頂ければ幸いです。
「おい、さっさと立て。お前ならあの程度で伸びたりしねぇだろ?」
思いっ切り殴った男が笑みを浮かべながら身を起こすのを若干気味悪く思いながら仮面の下で睨みながら男に声を掛けると男はヘラヘラと笑みを浮かべたまま何故か嬉しそうに口を開く。
「いって~、くそぉ、あの犬仮面思いっ切り殴りやがったな・・・」
そこまで行った所でペッと血の混じった唾を地面に吐いた後、男は再び口を開く。
「いいねぇ~、良い筋肉だぁ。最高じゃねぇか‼やっぱり女より男だぜ!」
・・・は?何言ってんだコイツ!?
男が嬉しそうに言った言葉の意味を理解できないでいると男は俺に向かって楽しそうに喋り出す。
「なぁ、魔王。少し服を脱いでみてくれよ?」
ちょ!?は!?何コイツ!?その道の人なのか!?最近、てか昨日、恋人が出来たばかり何でマジでどっか行ってくれ‼恋人が出来てなくても近寄らんでくれ!
盛大に身の危険を感じながらそれを表に出さない様に口を開く。
「断る。それより、ふざけてねぇでお前も自分の得物を構えたらどうだ?」
《日輪》を構えながらまだ興奮状態の男にそう言うと男は面白くなさそうな顔をしながら拳を握り答える。
「へっ、得物なんてモンはこの拳で十分だ。アンタも素手で掛かって来いよ」
えー、何言ってんのコイツ?馬鹿なの?死ぬの?
右手を前に出してクイクイと挑発してくる男に内心恐怖を感じながら声音だけは何とか平静を保ち相手に答える。
「アホか、態々相手の得意分野に合わせる馬鹿が何処にいると思う。寝言は寝て言え」
「へっ、武器なんかに頼ると後悔する事になんぜ。《バルク・アップ》」
俺の言葉に不敵に笑った男は何かしらのスキルを発動させる。
「おいおいマジかよ・・・」
スキルを発動させた事によって二倍近く大きくなった男を見て思わず声が漏れる。
主にめんどくせぇっという思いから出たその言葉に相手は何を思ったのか得意げに語り掛けて来る。
「どうだ?すげぇだろこの力。召喚された奴だけでやった帝国での勝負だって俺が負けたのは林葉と立花だけにしか負けてねぇんだぜ」
「あっそ」
自慢気な男の言葉に特に興味もなくコハクが言っていたなるべく殺さないようにするという言葉も無視して首元に《日輪》を振るうとガキンと言う音共に金属を叩いたような感触が《日輪》から伝わって来る。
「?」
本来伝わってくるはずの無い感触に思わず疑問符を浮かべてしまっていると《日輪》の刀身を掴み、不敵に笑いながら口を開く。
「言っただろ?武器なんかに頼ったら後悔するってなぁ。俺の筋肉が武器なんか通すかよ‼」
そう言いながら《日輪》を掴んでいない方の手を握りこみ俺の顔面に向かって突きだして来るのを《日輪》から手を離して回避する。
十分に距離を取った所で《日輪》を呼び戻し相手にバレない様に息を吐く。
あ゛ー本当にめんどくせぇ・・・要は筋肉至上主義者でどっかの小説の部族みてぇに拳による打撃でしかダメージを与えられねぇタイプかよ・・・マジでめんどくせぇ・・・だが、確かにコイツはコハクやオウルじゃ手を焼くか・・・
仮面の下で相手を睨みながらそんな事を考えて居るとお喋りな相手は尚も言葉を続ける。
「俺をさっさと倒して向こうで林葉の野郎を相手にしてるガキを援護に行く算段なんだろうが残念だったなぁ。ガキも運がねぇよな援軍も来ねぇし林葉は此処にいるメンバーの中で悔しいが最強だ。俺がアンタを伸す前に死んじまうかもしれねぇなぁ‼」
そう言って拳を振り上げながら俺に突っ込んでくる男の顔面にカウンターで拳を叩きこみ先程と同じ様に吹っ飛んだ男をから目を離さず《日輪》を手元から消し、男に近づきながら俺も口を開く。
「あー、もうめんどくせぇ奴だなテメーは・・・」
男に近づきながら動きやすいように上着を脱ぎ床に放り投げ、言葉を続ける。
「折角の休息なのにオメェらの所為で台無しになっちまったじゃねぇか」
「はっ、やっぱりいい筋肉じゃねぇか‼」
俺の言葉を聞いているのか聞いて居ないのか知らないが男は
訳の分からん事を言いながら走り寄って来る。
「それとな、一つだけ訂正してやる」
その男を再び殴り倒しながら後ろで戦闘しているコハクの事を思いながら先程男の言った言葉を訂正してやる。
「運がねぇのはアイツを相手にするあの男だぜ」
此処までの読了ありがとうございました。
次回はオウル視点です。
次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




