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三人の魔王

おはようございます。

ブックマーク・評価ポイント・いいね。ありがとうございました。とても励みになります。

第172話投稿させて頂きます。

楽しんで頂ければ幸いです

 薄暗い廊下を男女の三人組が手にランタンを持ちながら進んでいる。


「ねぇ~ゆうっち~、まぁだぁ~?」


 歩いている三人組の中で唯一の女性である柏葉 美海がもう疲れたと言う様にとなりを歩く林葉 勇太に不満そうに声を掛ける。

 その声を聞き、林葉が宥める様に口を開く。


「柏葉さん。もう少し頑張ってください。隊長が先行して道を教えてくれてます。この先に少し開けた場所が有るのでそこで少し休憩してから隊長を追いかけましょう」

「え~、まだ歩くのぉ~。けいっちぃ~おんぶして~」

「自分で歩きやがれ。テメェをおぶる為に鍛えてんじゃねぇんだよ」

「ケーチ」


 正直、柏葉が疲れたというのもよく分かる早朝に起こされ、船で神殿の有る場所まで行き、

 そこから不完全な潜水装備で神殿まで泳いで此処まで来たのだ。

 それに加えて林葉は昨日の事を思い出し密かに舌打ちをしながら出会った少女の事を思い出す。

 銀の髪にアメシストの瞳で作り物みたいに整った顔を持つ美しい少女は自分達が今回の探索の為に助っ人で使ってやろうという誘いを断り、挙句の果てに召喚までされてやって世界の為に駆け回る事になった自分達に敵意まで向けて来たのだ。その事は林葉にとって果てしなく面白くない事だった。

 ————銀姫と持て囃されていても所詮は世界の事情も知らない田舎娘か・・・

 口には出さず心の中で少女の事を見下し馬鹿にしながら隣の大方を見ると大方も昨日の店の従業員と銀姫に対してブツブツと文句を言っている。

 各々、心の中や口に出してブーブーと文句を言いながら休憩の出来そうな部屋に移動し、やっとの事で目的の場所近くに着き、少し休憩できると安堵した矢先に部屋の中から声を掛けられる。


「そこで止まって引き返せ。これ以上先に進むことは許さない」


 少女の様な少年の様な声に驚き視線を向けるとそこに立っていた予想外の人物達に三人組は更に驚く。

 一人は犬を模った仮面を被り軍服の様な衣装に身を包みその手に大剣を持った長身の男、二人目はペストマスクの様なマスクを被り同じ様な軍服風の衣装に身を包み両手に双剣を持ったこれまた長身の男、三人目は一番小柄で白地に二本の剣と二羽の烏の描かれた仮面を被り頭から足元まですっぽりと覆っているフード付きの黒のロングコート来た性別不明の恐らく中学生くらいだと思われる人物が朱色と白銀の長剣を持って立っている。

 そんな怪しげな三人組を見て直ぐに最初に教えられた最も注意すべき危険な三魔王だと気が付き大方、林葉、柏葉の三人は驚きながらも戦闘態勢に入る。

 戦闘態勢を取りながらも林葉は何とか顔に笑みを張りつけ口を開く。


「いやいや、すみません。ですが少し僕達の話を聞いてください。僕達は帝国に所属しているんですけど此処に有る女神の贈り物を持って帰らないとひどい目に会うんですよ。ですから僕達を通してもらえませんかね?」


 相手の情に訴える様に嘘を混ぜながら言葉を告げる林葉に真ん中に居る一番背の低い魔王が冷ややかな声で喋る。


「もう一度言う。直ぐに去れ、貴様らの行動は嫉妬の国の法に触れている。抵抗するのなら力づくで追い出す事になるぞ?」


 先程、自分の言った事を意にも返さずにいつでも潰せると言わんばかりのその言葉に林葉は内心イラつきを見せ始める。

 ————くそ‼こいつ等魔王だからって調子に乗りやがって‼僕が折角穏便に済ませてやろうと思ってるのに話す気がなさすぎだろ‼こうなったら剣で黙らせてやるしかないか

 この世界に召喚され特殊な能力を手に入れた林葉達は帝国での訓練も相まって並みの騎士達では勝てない強さを身に着け自分達は勇者や魔王にも匹敵すると自惚れていた。

 それは林葉だけでなく共に居る柏葉、大方も同じで目の前の魔王の言葉に反感を覚えている。

 結果、その場の誰よりも沸点の低い男が動き出す。


「あ゛あ゛ん?商店の女と言いテメェらと言いふざけんじゃねぇぞ‼帰るのはテメェだクソガキ‼こっちはイライラしてんだ‼とっととそこを通しやがれ‼」


 そう叫んで駆けだした大方が背の低い魔王に殴り掛かれる距離になり拳を振り上げた所で唐突に横に吹き飛んで行く。


「トワ、怪我は無いな」


 拳を振り抜いた体制で一番背の低い魔王に無事の確認を取る犬仮面の魔王に背の低い魔王が冷静に答える。


「ありがとう。シルヴ。それじゃあ、打ち合わせ通りに行動しようか?テテリヌスは女の子を頼む。シルヴはさっきの男を。僕は予定通り糸目の男を潰す。なるだけ殺さない様に注意をしてやってくれ」

「「なるだけな」」


 そう言って各々の武器を構えだす魔王達を睨みながら林葉は柏葉に声を掛ける。


「柏葉さん。魔王達が来ます。戦闘準備を‼」


 二本の剣を構えながら此方に向かって駆けて来る魔王を見ながら全力で力を使える相手が現れた事に内心喜びを隠しきれない柏葉も剣を構えて敵に向かって駆けて行った。


此処までの読了ありがとうございました。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

すみません。来週の投稿ですが私用によりお休みさせて頂きます。投稿再開は4/17に行います。

今後とも村娘Aをよろしくお願いいたします。

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