不穏な三人組
おはようございます。
ブックマーク.評価ポイントありがとうございました。とても励みになります。
第169話投稿させて頂きます。
今回も和登視点になります。
楽しんで頂ければ幸いです。
「それにしてもすごかったね。20本全部的の中心に当てるなんて」
的当て屋を出て、少し街をぶらぶらした後に昼食を兼ねて入った喫茶店でコハクは紅茶のカップを持ちながら先程の的当て屋での結果を楽しそうに口にする。
実はさっきの的当てで俺は見事に満点を出すことが出来たのだ
「あー、実は昔、弓道をやってたりハワイで父親に銃を撃たせて貰った事も有ったから射撃の方が剣より得意なんだよ・・・過去の経験がこんな所で生きるとは思ってなかったけど・・・」
父親の顔を思い出し、少しだけ苦笑しながら満点を取った理由を話す。
あ、別に家族仲は悪くないよ。ただ突飛な行動をよくするなと思っているだけで・・・
そんな事を考えて居るとコハクは意外にも納得という顔をしている。何故かと訊くと持っていたカップをゆっくりと置きながら口を開く。
「少し前にコネクト薬でスキルを共有したでしょ?その時に追加されていたスキルに射撃が有ったからなんでかな?って思っていたんだけど向こうの世界で弓道をやっていたり銃を撃った事が有るって聞いてさっきの得点も納得したって事だよ。そう言えば狗神君って何人家族なの?」
俺の問いに答えた後でコハクはふと疑問に思ったのか俺の家族の事を訊いて来る。
そう言えばそう言えば付き合いもそれなりに長くなって来たけどこんな話ってしたこと無かったな・・・
「俺の家族構成?父さんに母さん、俺に弟と妹の5人家族だよ。因みに父さんは一応、自営業だね。俺も訊きたいんだけどコハクの家は?」
俺の家族構成を話すついでにコハクの家の家族構成も訊いてみる。
俺が訊くとコハクは少しだけ悩んだ後で口を開く。
「えっと、今世の家族がお父さん、お母さん、私、弟だったね。前世は・・・あれ?妹が居たって事しか思い出せない・・・」
今世だけで良かったのだが前世の事まで教えてくれようとしてその家族構成が思い出せない様で首を傾げている。
まぁ、彼女の前世は今世を含めてかなり前みたいなので此処は話題を変えた方が良いだろう。
「あ、今世だけで大丈夫だよ。それともう一個、訊きたい事が有るんだけど良い?」
「あ、そう?うん、私で答えられる事なら何でも」
・・・それってスリーサイズでもおk?
そんな邪な考えを頭の片隅に蹴り飛ばし、帝国の皇帝と知り合った経緯を訊いてみる。
「ああ、ディランとの出会い?彼が国に魔王が来るって話にうんざりしながら国の有り方についても悩んで一人でヤケ酒して飲んだくれている所にその酒屋の依頼を済ませてそこで一番安い食事を頼んだら向こうから声を掛けてくれたんだよ」
・・・ヤケ酒して飲んだくれているってそれって碌な王じゃ無くない?一応国のことは考えていたらしいけど・・・
「一応聞くけど皇帝の居た酒場の依頼を受けたのって・・・」
「うん、もちろん。態とだよ。因みに安い料理を頼んだのもね。まさかその店で結構高い料理を奢ってくれるとは思わなかったけどね。で、ご飯を奢ってくれたお礼に御酌をしたり話をしたりして仲良くなって魔王として面会した時に正体をバラしてその際に色々と政治的な話もして私と皇帝は友人関係になったんだよ」
・・・なるほどなぁ・・・皇帝はコハクの正体を知って腰を抜かしただろうなぁ・・・まさか酒場でご飯を奢った子供が魔王だとはだれも思うまい・・・まぁ、皇帝は良い人そうだって事が分かって良かったかな・・・
「さて、そろそろお店から出ようか?」
そう言ってコハクは伝票を持って席から立ち上がる。
ちょ、流石に奢られるのはなんか申し訳ないぞ‼つか、ちょっと見栄張りたい
「あ、俺が払うよ」
咄嗟に立ち上がりながらそう言うとコハクはクスっと笑って口を開く。
「じゃあ、半分ずつにしようか?」
コハクの提案にありがたく乗っかり俺達は半々で代金を払い。店を後にし、再び街の散策に戻る。
「あ、そうだ狗神君。少しリコリス商店に寄っても良い?ちょっと頼んでいた物が出来たからこっちに送ってもらった物を取りに行きたいんだけど・・・」
何軒かの店を覗いた後、コハクにそう言われたので俺達はリコリス商会に向かう事になった。
店の前まで来ると何やら人だかりが出来ていて皆、戸惑ったような顔をしている。
人垣の合間から店の方を覗くとリコリス商会のお仕着せを着た女性と男二人と女一人の三人組が睨み合っている。
何が有ったのかと思っていると突然大きな声が辺りに響く。
「だーかーらよ‼お前らのとこの会頭に用事が有るから此処に呼べって言ってんだよ‼言葉解ってんのかおい‼雑魚は呼んでねぇんだよ‼亜人が人間様に逆らってんじゃねぇよ‼」
人の事を威圧すると様な嫌な感じの男の声に顔を顰めているとお仕着せを着た女性静かな声音で喋り出す。
「何度も申しております様に会頭は現在このお店に居りませんし、貴方方の行こうとしている遺跡は現在、立ち入り禁止です。会頭に何をさせる気か知りませんが貴方方に会頭を合わせる気はございません。他のお客様の迷惑になりますのでお引き取りください」
丁寧に言いつつも感情も無く淡々と言う女性の様子に威圧する様に怒鳴っていた男が切れた。
「あー‼もう、うるせぇな‼もう良いからテメェ死んどけ‼」
そう言って女性に向かって男が拳を振り上げるのとほぼ同時にコハクは繋いでいた俺の手を離して男に向かって駆けて行った。
此処までの読了ありがとうございました。
ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。
次回はコハク視点に戻ります。




