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泳げないんじゃない‼泳がないんです‼

おはようございます。

ブックマーク.評価ポイントありがとうございました。とても励みになります。

第163話投稿させて頂きます。

楽しんで頂ければ幸いです。

 オウル既婚者騒動とアライさん可愛い(ツンデレアライグマ)騒動が一通り落ち着き、私達は昼食を摂る事になった。


「随分と色々と買って来たんだな」

「うん、誰が何をどれだけ食べるか分からなかったからね。お昼の食べっぷりで夕飯の仕込みも決めようと思っているし、残ったら温めて夕飯に食べても良いしね」


 テーブルに並べられた惣菜類を見て狗神君が目を丸くしながら驚いた様な声を上げるので軽い説明をする。

 実際問題、小父様やフェルやオウル、ガイさんは結構な量を食べるし、狗神君達も普段の食事風景を見る限り結構食べている。

 まぁ、多分これだけの量が有っても綺麗になくなるだろうね・・・

 そんな事を考えながら従者だからと一緒の席に着こうとしないアライさんやリューン達を座らせて皆でお昼にする。

 この場に従者だなんだと気にする人間は居ないのだよ。

 そんなやり取りの後、各々席に着き私達は昼食を開始する。


「おい、レニにネージュ。その野菜もちゃんと食べるんだぞ?」


 食事を開始して少し経ち、テーブルの上の料理が予想通り大方無くなった所でフェルがネージュとレニちゃんのお皿の上に有る人参等の野菜を指差しながら食べる様に促す。

 ひっそりと避けていたらしい二人はフェルに指摘をされ露骨に嫌そうな顔をする。

 ・・・フェルは普段は大雑把なんだけど食べ物を残す(特に野菜)のは絶対に許さないんだよねぇ・・・まぁ、理由は分かるんだけどネージュやレニちゃんぐらいの年齢の子は野菜が嫌いな子も多いし、形そのままの野菜を食べろって言っても無理なんだよねぇ・・・

 そんな事を思いつつ、隣でチラッとこちらを見て助けを求めて来るネージュのお皿に自分のお皿を近づけ声を掛ける。


「ネージュ、他は私が食べてあげるから一つは自分で食べなさい」

「・・・はーい。主、ありがとう」


 ネージュは少しだけ嫌そうにしながらもお礼を言い私の皿に避けていた人参等の野菜を移し、一切れだけ残した人参をフォークで刺し、目をつむって意を決した様子で口に含みもむもむと咀嚼する。

 少し離れた席ではアミルさんとグレックさんも同じ様にレニちゃんの残した野菜を引き受けている。


「コハク、アミル、グレック。あんまり甘やかすと為にならねぇぞ」


 私達の行動を見てフェルが苦言を呈して来るが私はフェルの方を向き、行動の意味を説明する。


「フェル。小さい子に野菜そのままは中々食べて貰えないよ。私に考えが有るから任せてくれない?」

「まぁ、そう言うなら分かった」


 私の言葉にフェルも大人しく引き下がってくれる。

 些か微妙な空気になったのを察したのか向かいに座っている狗神君が口を開く。


「あ、そう言えば次の国って帝国って呼ばれている所なんだよな?どんな所なんだ?」

「あ、僕も気になってました‼」


 狗神君の言葉に山辺君も乗っかり話題を変えてくれる

 狗神君と山辺君の質問に勇者組と子供以外の全員が微妙な顔になり、フェルが顔を顰めながら答える。

 あ、こら、普段説明するのは私の役目だぞ。


「一言で言えば暴力がモノを言う侵略国家だな。うち(暁の国)も結構、暴力的な所が有るが侵略はしねぇ。武力にモノを言わせて周辺諸国を侵略。尊大な態度で相手を見下すクソ国家だ」


 フェルが散々な評価を口にすると小父様や周りの皆が同意する様に頷く。


「「「「「え・・・それって助ける必要あるの(んですか?)?」」」」」


 狗神君達がフェルの評価や周りの皆の反応を見て助ける気をなくしてしまっている。

 まぁ、絵に書いた様な帝国の話を聞かされたのだからしょうがないか・・・知り合いがいるので少しだけフォローをしておこう。


「まぁ、武力にモノを言わせているのは確かなんだけど今の王になってからは、侵略はしてないんだよ。てか、どちらかと言うと国の有り方に頭を悩ませていてどうにか改善しようとしているんだよ」


 私が苦笑いを浮かべながらフォローをしているとオウルが呆れた様に口を開く。


「あのな・・・それはお前が現皇帝とおじ友になっていて現皇帝から話を聞いているから言える事だからな。普通は訪問してきた時の態度で相手にしないからな・・・」


 オウルの言葉に狗神君達からまたこいつは変な奴と友達だなっという視線を向けられる。

 ・・・解せぬ。


 そんな会話を最後に地味に微妙な空気になりながら私達は昼食を終えた。

 お昼は想像通り綺麗に無くなった。


「さて、じゃあ夕飯とおやつの準備でもするかな」


 お昼ご飯を済まし、少ししてからフェル達は遊びに海に向かい。

 泳がない(泳げない)私は残って夕飯とおやつの準備をする事にした。

 ヴァネッサ達も残ってくれると言っていたが彼女達だって休暇も兼ねているのだ。仕事を忘れて遊んでも誰も怒らないだろう。

 そんな事を考えながら野菜の下処理をしていると不意に後ろから誰かの気配を感じる。

 ・・・ちょっと待って・・・今誰も居ないはずだよね・・・?此処、事故物件とかじゃ無かったよね・・・?

 急な気配にお化けかと思い。緊張しながら後ろを向くと狗神君がドアを開けてキッチンに入って来る所だった。


「狗神君?どうしたの?皆と一緒に海に行ったはずだよね?」


 気配の正体が彼であった事にひっそりと安堵しながら彼に声を掛けると狗神君は近くに寄って来ながら口を開く。


「コハクにだけ夕飯の支度を任せるのは申し訳ないからね。手伝おうと思って戻って来たんだ」

「良いの?折角、海に来たんだよ?」


 そう言って手を洗い出す彼に本当に居のかと確認を取ると彼は笑いながら口を開く。


「もちろん。それに泳げるのは今日だけじゃないだろ?何からやれば良い?」

「そっか・・・ありがとう。じゃあ、その人参をすりおろしてくれる?」


 笑顔でそう言ってくれる彼に私も笑みを返し、手伝いを頼むことにした。

 暫く二人で黙々と作業をしていると不意に狗神君が思い出したような顔になり口を開き、穏やかな静けさを破る。


「そう言えばフェルが言っていたけどコハクは泳げないのか?」

「違うよ‼私は泳げないんじゃない‼自主的に泳がないで水に近づかないだけだよ‼」


 人参をすりおろし終わり今度は玉葱をすりおろしながら発した狗神君の言葉に思わず訳の分からない言葉を返しながらとりあえず帰ってきたらフェルの頭を殴ると私は密かに心に誓ったのだった。


此処までの読了ありがとうございました。

次回から少し状況を動かせたら良いなと思いますので次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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