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一緒に地獄に落ちようよ?

おはようございます。

新年あけましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。

第160話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とてもとても励みになります。

楽しんで頂ければ幸いです。

 青い空‼煌めく太陽‼そして見渡す限り続く蒼い海‼

 そんな何処かの観光案内が聞こえてきそうな町中を14人程の男女の集団が歩いて行く。

 なぜ私はここに来てしまったのか・・・いや、別に海が嫌いな訳じゃないよ?泳げない(水に入りたくない)私が来ても楽しくないと思っているだけで・・・あと、来た国が嫉妬の国というのが問題なんだよ・・・

 昨日、狗神君達と外から帰って来た時の事を思い出しながら私は一人密かに溜息を吐く。


「海に行くぞ。場所は嫉妬の国だ‼」


 狗神君達と出かけた後、帰ってきたらそんな事を宣うフェル(アロハ男)の言葉を聞いた直後、私は何も言わずに一目散に部屋に逃げ込んだ。

 逃げる際にチラッとヴァネッサ達が荷造りを終えていた辺りが絶望的だよね・・・君らの雇い主は私だぞ・・・なぜ、彼女らは毎回私の意思をガン無視してくれるんだ・・・

 そんな事を考えつつ急いで自室に駆け込み、部屋に鍵を閉めて誰も入って来られない様にした後に魔法で結界を張り封印処置を施す。

 少しした後にフェルとオウルの声がドアの向こうから聞こえて来る。


「ちっ、コハクの奴、鍵をかけやがった‼」

「丁寧に結界まで貼ってあるな。破壊するか?」

「いや、此処は穏便に歌で引き摺りだそう。優達も居るしな」

「・・・本気か?」


 そんな言葉がして少しするとドアの外からフェルとオウルが歌う声が聞こえて来る。


「「海に行こうよ~♪ドアを開けて~♪一緒に泳ごう(笑)♪どうして出て来ないの~♪」」


 うるさい‼野太い男の声で某名作の可愛い歌を可愛く歌うな‼大体、一緒に泳ごうの部分嗤ってるだろ‼

 アイテムボックスから剣を出しながらそんな事を思っていると一通り歌い終わりドアの向こうが静かになった後にフェルの声が聞こえて来る。


「・・・出てこないな」

「お前はこれで出て来ると思っているのか・・・?」


 お前はそれで出て来ると思っているのか・・・?あと、オウル。一緒に歌っておいて今更そのツッコミは遅いからね?

 オウルとフェルに向かってツッコミをしていると少しだけ黙った後にフェルが口を開く。


「しゃあねえ。全員、少し後ろに下がってくれ。おりゃあああああああ‼」


 そんな声と共に一瞬、何かが通った分かる程度に光が走り、光が走った場所からガラガラと音を立てて瓦礫になって行く・・・結界を張った扉だけを残し、周囲の壁と本棚(主に希書、稀覯本、珍書が収められていた棚)が・・・

 ヴェアアアアアア‼‼‼コツコツ集めて手の空いた時間に読んでいた私の大切な本があああああ‼‼‼‼


「ありゃ?ドアは残ったか?マジもんで結界張りやがったな・・・まぁ、いいや開いたには開いたからな・・・」


 そんな事を言っていたフェルと私はメイド長が来るまで全力の殴り合いをしてしまい。仲裁に入ったメイド長にフェルと私はこってりと絞られフェルに壊した壁及び本の賠償をさせる事になり、私はメイド長の圧によりリューン、ヴァネッサ、ルージェの三人を含めた皆で嫉妬の国へと旅行に行く事になった。

 フェルは一度国に戻り、テルミアを連れて来て小父様、オウル、アライさん達と共に黄昏の国に一泊し、翌日に転移装置を使って嫉妬の国へと繰り出した。

 そして現在、私達は現地合流予定のレヴィさん達に合う為に移動中なのである。

 此処までの事を思い出しながら歩いていると唐突にフェルが口を開く。

 あ、ちゃんと仲直りはしているんで別にギスギスはしてないよ。


「お‼レヴィ達が居たな」


 フェルが見ている方を向くと涼しげなワンピース姿のレヴィさんとニコニコと此方を見ているアミルさん。その横にはアミルさんの旦那さんのグレックさんと娘のレニちゃんが立っている。

 それにしても私もそうだけど私達、魔王の癖に護衛付けないなぁ・・・・


「あ‼来たわね‼待ってたわよ‼」


 そんな事を思っているとレヴィさんが此方に気が付いたのか大きな声を出しながら手を振って来る。

 レヴィさん達の待つ場所まで行き合流するとアミルさんがニコニコしながら口を開く。


「皆、お久しぶりねぇ~。元気そうで良かったわ~」

「よっ、アミル、レヴィ。魔王会議ぶりだな。グレックも久しぶりだな」


 アミルさんの言葉にフェルが挨拶を介したのを皮切りに小父様と私とオウル、ほぼ初対面の皆も挨拶を済ませる。


「さて、じゃあ、フェル達には今日の宿を教えとくから男連中は荷物を持って先に行っていて頂戴。私達はやる事が有るから」


 レヴィさんがそう言ってフェルに鍵を渡すのと同時に何時かのパーティの時と同じ様に光さんと夢菜さんが私の脇をがっしりと掴む。今回はそれにニコニコ笑ったテルミアまで加わっている。

 ・・・はっはっはっはっは、経験した事の有る状態だねぇ・・・

 そんな事を思いながら周囲を見ていると何故かアライさんがアミルさんに捕まっている。


「さぁ、私達は服屋に向かうわよ‼」

「コハクちゃんには約束を果たしてもらうわよ~。レニもお洋服買おうね~」

「あい」


 アライさんを脇に抱えながらレニちゃんと手を繋ぐアミルさんにアライさんが抗議の声を上げる。


「ちょっとお待ちください‼僕は関係有りませんよね⁉何で僕まで⁉荷ほどきなども有りますし解放してください‼」

「無理よ。大体、アンタもコハクも折角リゾート地に来てるに服装が面白くないのよ‼よって皆で服を買いに行くわ。拒否権は無いわよ‼」


 アライさんの言葉をバッサリと切り捨てレヴィさんがそう宣言するとアライさんはフェルに向けて助けを求める。


「ちょ‼フェル様助けてください‼」

「行ってらっしゃい‼」


 アミルさんに抱えられながら助けを求めるアライさんにフェルは親指を立てて良い笑顔でそんな事を言う。


「こんのクソ魔王‼」


 そんなフェルに向けて罵声を浴びせながらアライさんは連行されて行く。

 アライさん。こうなった皆に抵抗しても無駄だって・・・一緒に地獄に落ちようよ?

 そんな思いを込めた視線をアライさん向けながら私は素直に夢菜さん達に連行されるのだった。

此処までの読了ありがとうございました。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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