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今までで見た中で一番嫌そうな顔をしていた

おはようございます。

第159話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とてもとても励みになります。

今回も乾視点です。☆の後から和登視点になります。

楽しんで頂ければ幸いです。

 賑やかな市場の中を話をしながら歩く銀髪と黒髪の一組の男女を見失わない様に物陰に隠れながら追いかける。

 途中、脇を通る人たちの視線が痛いが頼むから無視して頂きたい。狗神はともかくコハクには厄介な目が有るのだ。隠れないとすぐに見つかってしまう

 ・・・それにしてもなぜ俺達は二人の後を追っているのだろうか。

 内心で溜息を吐きながら元凶である湊瀬に目を向けると頭に小さくなったドラゴン状態のネージュを乗せ、早乙女と話しながら狗神達を見ている。


「うーん。奥手だねぇ・・・手ぐらい握ればいいのに」

「ひかちゃん。狗神先輩もコハクちゃんもそう言うキャラじゃないよ。まぁ、まどろっこしいのは分かるけど」

「でもさぁ、狗神先輩自分から着いて行っても良いか聞いてたよ。今まで無かった事だし勝負に出るんじゃないの?」

「うーん。私の見立てだとまだそこまでじゃ無いと思うんだけどなぁ・・・」


 駄目だ。こいつ等・・・完全に恋バナの楽しい女子校生に戻ってやがる。そして戌夜、お前は空気になる事に徹するな‼俺でも一瞬見失ったわ‼

 そんな事をしている内にコハクは野菜や青果を扱っている露店のおっさんに声を掛けられ何かを話している。

 距離がある為、なにを話しているかは聞こえてこない。


「ち、何を話してるんだ・・・危険だがもう少しだけ距離を詰めるか・・・」

「あ、それなら私、良い魔法持ってます。少し前に教えて貰った風魔法の応用品らしいです。《オクタ・イーヴズドゥロプ》」


 俺の呟きに湊瀬が答えると速攻で件の魔法を使う。

 そのすぐ後に耳元にコハク達の会話が聞こえて来る。


『おう‼コユキちゃん。久しぶりだな。最近見ないから心配したぜ』

『フォイさん。お久しぶりです。しばらく、仕事でこの国を離れていたんですよ』

『お‼銀の嬢ちゃんじゃあねぇか‼久しぶりだな‼生きてたか‼』

『お久しぶりです。ジェイさん。ちゃんと生きてますよ』


 そんな会話をしている間にも次々と周りの人達が次々に声を掛けて来ている。

 それにしても、自分の国の人達に正体を隠しているのか・・・


「コハクさん。自分の国でも正体を隠しているんですね」


 戌夜も同じ事を思ったのかポツリとそんな事を言う。まぁ、コハクにも色々理由が有るのだろう・・・

 そんな事を考えて居る内にコハクは露店のおっちゃん達から大量の食料を購入していく。

 朗らかに話しながら買い物を終え、コハク達は次の場所に向かって歩き出す。

 途中で狗神が荷物を持とうか訊いていたがコハクは「大丈夫だよ」と言ってアイテムボックスの中に荷物を入れていた。

 移動した二人を全員で追いかけると唐突に戌夜が口を開く。


「そう言えば乾先輩、一つ気になっている事が有るんですけど良いですか?」

「なんだ?藪から棒に」


 戌夜の方を見て先促す。


「乾先輩って狗神先輩と幼稚園の時から友達なんですよね?なんで名字呼びなんですか?」


 戌夜の言葉に興味深そうに湊瀬と早乙女が俺の方を向く。

 おい、早乙女。なぜ、手帳とボールペンを出してメモの用意をしている?別にそんなに壮大な理由は無いぞ?

 後輩達の圧力に負け、溜息を吐いてから戌夜の質問に答える。


「別に大した理由は無いぞ。昔はお互いに下の名前で呼んでいたんだ。狗神がこっちに戻って来た時にも普通に名前呼びだったんだ。だが、前に狗神にアタック掛けてる女子共の話をしただろ?あいつ等、ある種のファンクラブみたいになっていてな。本当に質の悪い連中で男でも仲が良い奴には嫌がらせして来るんだよ。俺には自分達が下の名前で呼んで貰えない上に呼んでいないのに俺が呼んでいるのは生意気だとか言って色々やられてな。で、とりあえずアイツが彼女を作って連中が諦めるか俺らが卒業するか連中を潰して根本的な問題を解決するまでは狗神を名字呼びする事を狗神を含めた男子全員で話し合ったんだよ。」


 そこまで話した所で全員の顔が何とも言えない感じに顰められている。

 恐らく一般の人間にファンが付くのかとか色々と考えて居るのだろう・・・付いてんだよ。実際に・・・


「へぇ~、そんな理由で狗神君の事は名字呼びなんだ~」

「そ、で、そんな理由で狗神だけハブられてるみたいに名字呼びとか少し距離を取った接し方をされるからアイツは連中の事が嫌いだし女子にも多少冷たいって訳さ・・・うん?」


 誰かの言葉に答えてから狗神の呼び方に疑問を持ち、声のした方を向く。


「や」

「お前ら何やってるんだ?」


 声のした方を見るとコハクが軽い感じで手を挙げ、狗神は些か呆れ顔で此方を見ていた。


「・・・何時から気付いて居たんだ?」


 突然の尾行対象の登場に驚いている後輩達を放って置きながらコハクに訊くとキョトンとした顔をしながら教えてくれる。


「え?最初からだよ?市場で夢菜さんが魔法も使っていたし、特定は簡単だったよ」


 ハハハハ・・・バレテーラ。そりゃ、そうだよな・・・俺等は素人だがコハクはある意味、命の遣り取りの中で生きてるプロだ。尾行に不慣れなはずないよなぁ・・・

 内心で苦笑いを浮かべながらコハクと狗神に四人で謝り、その後は俺達も一緒に行動する事になった。


 ☆


 乾達と合流する事になり数時間が経ち道中で雑貨屋や玩具屋等にも寄り、コハクの用事であった孤児院への慰問も終わり、俺達は黄昏の国に帰る事になった。

 思った以上に孤児院の子供達は元気でコハク以外の全員はヘロヘロになってしまった。因みにネージュは孤児院に着いた瞬間に姿を消し、用事が終わった頃に戻って来た。

 ・・・結局、乾達が合流した所為でコハクとゆっくり話が出来なかったな・・・また機会を作って話をしよう。・・・とりあえず今日はもう休みたい

 城に着き、そんな事を考えながら風呂に入って夕食まで休もうと思っているとメイド長が慌てた様子でコハクに駆けよって何かを囁いている。


「はぁ?フェル達が?あと、小父様まで?」


 メイド長から話を聞き、怪訝な顔になりながらメイド長に確認を取っている。

 メイド長が首を縦に振るとコハクは腑に落ちない顔をしながら俺達に向き直り口を開く。


「皆、申し訳ないけどもう少しだけ付き合ってくれる?フェル達が来ているみたいだから一緒に第一応接室に行ってくれる?」


 三魔王が急に訪ねて来るなんて何か有ったのかもしれない。そう考えてコハクの言葉に全員で頷くと急いで第一応接室に向かう。

 第一応接室に着き扉を開けると中からフェルの声が聞こえて来る。


「お‼帰って来たかコハク‼皆で旅行に行くぞ‼海だ‼海‼」


 応接室にはフェル(アロハ、サングラス装備)、若干寝て居るオウル(梟の姿でアロハ装備)、申し訳なさそうな顔をしているクリストさん(アロハ装備)で座っている。因みに近くにアライさんが何時ものアライグマ姿にメイド服で立ってる。

 はぁ⁉なにこの状況?なんでアライさん以外。皆、アロハなの?それに旅行って?海ってそんな事している状況か⁉

 予想外の事に若干混乱しながらコハクを見るとコハクの表情に驚く。

 コハクは出会ってから今までで見た中で一番嫌そうな顔をしてフェルの事を見ていた。


此処までの読了ありがとうございました。

今年は大変お世話になりましたまた来年もよろしくお願いします。これが今年最後の投稿になります。

申し訳ありませんが次回1/2は投稿をお休みさせて頂きます。投稿再開は1/9になります。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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