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第五、第六の厄災討伐戦・7

おはようございます。

第152話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とてもとても励みになります。

楽しんで頂けたら幸いです。

「さて、魔王様。自重を忘れて全力を出した事に何か言い分けは有りますか?」

「特にねぇな・・・急いでいたのも確かだし、余計な犠牲も出したく無かったしな」


 規格外の超高温によりガラス化した大地の近くを歩き、第6の厄災を探しながらフェルの事を説教しながら歩く。


「皆、死にかけましたよ‼余計な犠牲になりかけましたよ‼大体何考えているんですか‼憤怒の魔王様の許可無く土地をこんな風にしてしまった上に皆で探す予定だった第6の厄災の捜索人数を削減してしまうなんて‼考えが有るなら事前に言ってください‼」

「アライ殿、土地の事はこちらが助けて貰っている身だ。気にしないで貰いたい。だが、フェル。俺も捜索の手を減らした理由は気に為っている。話して貰えるな?」


 アライさんの言葉に対してクリストさんは問題無いと告げるがやはり捜索人数を減らした事に関して疑問に思ったのか穏やかな口調でフェルに質問している。

 クリストさんに訊かれ、フェルはゆっくりと口を開き理由を語る。


「他の連中を下らせたのは簡単だ。手柄を焦った連中に第6の相手をしてほしくなかったのと探す必要がなくなったからだな」

「「探す必要がなくなった?」」


 フェルの言葉に俺以外の全員が怪訝な顔になる。

 フェルは全員の目線を気にした様子も無く言葉を続ける。


「簡単な話だ。第6の厄災は増殖能力が脅威みたいだが奴自体の力は強くねぇみたいだからな。恐らく第5の力でその姿を隠してやがったんだよ。で、姿を隠した後はずっと第5の厄災の近くに居たのを和登が確認してくれた。だから他の連中を省いたんだよ」


 そう言うフェルに今度は腐女子疑惑の有る早乙女さんが不思議そうな顔で口を開く。


「あれ?でも、第5の厄災の近くに居たのなら一緒に消し飛んじゃったんじゃないのかな?この状態で生きてるとは思えないけど・・・・?」


 早乙女さんの疑問にフェルは苦虫を嚙み潰したような顔になりながら答える。何故かオウルまでも同じ顔だ。


「まぁ、そう考えるのが普通なんだよなぁ・・・」


 そんな言葉と共に地面に空いたクレーターからピシッと何かが割れる音が鳴る。


「先代黄昏の魔王の手記を見ている奴しか知らねぇことだ。第6の厄災の野郎は首を飛ばしてから頭を潰さねぇとどんな風に殺しても死なないらしい。今回の敵はイレギュラーの連続だから当てに為らねぇけど奴らに都合の良い事が省かれてる訳がねぇんだよな‼。」


 そんな言葉と同時に《日輪》を振るいクレーターガラス化した地面を突き破って出て来た第6の厄災を切り捨てる。

 その様子に周囲に居た全員が一瞬にして臨戦態勢に入る。

 ・・・瞬時に戦闘態勢を取る当たり俺達も大分染まっているよなぁ

 そんな事を考えながら剣を構えているとクレーターから次々と第6の厄災が飛び出してくる。


「成程な、雑魚は切った部分を消し飛ばせば増殖はしないのか。和登‼コピー共の相手は俺達がやる。コハクの眼を持っているお前は本体を頼む‼忘れるなよ。首を刎ねてからだぞ‼」


 第6の厄災の腹を《日輪》を突き刺して消し飛ばしながらフェルが俺に指示を出してくる。

 その指示を聞き、俺以外の全員が第6の厄災の相手をしながら声を掛けて来る。


「全く‼後でちゃんと手当は貰いますよ‼狗神様‼よろしくお願いします!お気をつけて‼」

「ワト殿、頼む」

「いい加減こいつ等の顔も見飽きたしな。ちゃちゃっと倒して黄昏の国に戻ろうぜ」

「先輩‼なる早でよろしくお願いします」

「コハクちゃんも待ってますよ。お願いしますね」

「あ、狗神先輩。この戦闘終わったら少し時間くださいね。お話が有るんで」

「和登、恐らくコハクの眼には本体が違って移るはずだ。片眼鏡は外しておいた方が良い」

「分かった。ありがとう」


 そう言って第6の厄災を押し退け道を作ってくれる皆の脇を抜けながら俺は恐らく本体の居る場所であろう軍団の最後尾に向かって走りだす。

 ・・・それにしても早乙女さんの話したい事って絶対にルファルデで彼女が考えて居た事に関してだろうなぁ・・・何も見なかったとでも言っておこう。

 早乙女さんの言っていた事に関してある程度の予想を付けながら彼女に告げることを決め俺は第6の厄災の本体を探し、立ちふさがる敵を相手しながら駆け抜ける。


「見つけた‼」


 しばらくコピー達の相手をしながら戦場を駆け回ると囲んで攻撃してこようとしている敵の奥に一体だけ赤く光る個体が目に入る。

 その個体は俺が気付いた事に気付くと慌てて後方に逃げ出す。


「逃がすか‼飛べ‼バルドル」


 吸収した《アンシャル》の能力を発動させるキーワードを口にし、《バルドル》の刀身が九つに別れ周囲の敵を切り裂きながら本体に向かって飛んで行く。


「グギャァッァァッ」

「《オクタ・ルクスオーラ》」


 意味不明な鳴き声を上げながら第6の厄災がギリギリでバルドルの攻撃を避ける内に練習した強化魔法を自分に掛け、地を蹴り一気に距離を縮める。


「戻れ‼バルドル‼」


 飛んで行った刀身を呼び戻し一本の剣に戻してから第6の厄災の首を狙って剣を振るう。

 首に届く寸前の所で第6の厄災は右手で《バルドル》の刀身を握り防御し、お返しと言わんばかりに左手で俺の頭を狙って突き攻撃を放って来る。

 身を捩り迫って来る突きをギリギリで避けると右頬に痛みが走りドロリと生暖かい何かが頬に垂れて来る。

 ちっ、完全に避けきれなかったか

 内心で舌打ちをしつつ剣を引き抜き、距離を取ろうとするが握られた《バルドル》がピクリとも動かない。

 第6の厄災を睨みつける様に見ると第6の厄災はその醜い顔を醜悪に歪めてこちらを嗤いながら再び左手で突きを繰り出そうとしている。

 ・・・性格悪いな。コイツ

 第6の厄災の性格の悪さにムッとしながら相手の攻撃に合わせ《バルドル》の柄から手を離し、敵の手が届かない距離まで逃げる。

 俺が武器を手放し逃げる事が予想外だったのか第6の厄災は突き攻撃を外し大きく体勢を崩す。

 第6の厄災が体勢を崩したのを確認してから再び地を蹴り開いていた距離を再び縮める。


「来い‼」


 走りながら剣を呼び戻すキーワードを口にすると第6の厄災に握られていた《バルドル》が光の粒子になり霧散し、俺の手に集まり再び剣の形に戻る。

 第6の厄災は攻撃を避けられた事に加えて奪った武器が消えた事にも驚いたのか致命的な隙を晒し続ける。


「これで終わりだ‼」


 そんな事を叫びながら《バルドル》を振るいがら空きになった首筋に向かって刃を振り下ろし、その首を刎ねる。


「《ルクス・エンハンスアーマメント》。飛べ‼バルドル」


 強化魔法を武器に施し、再び刀身を分割させて第6の厄災の頭に向けて刃を飛ばす。

 9つの分割された刃が全て頭に刺さるのを確認し、この戦闘を終わらせる為の最後の魔法を口にする。


「《サイプレス・サーヴァント》」


 その言葉と共に刃から無数の光が放たれ第6の厄災の頭を粉々に吹き飛ばす。

 頭が完全に潰れたのを確認してから俺はゆっくりと息を吐きポツリと呟いた。


「終わったか・・・?」


 正直、一人で厄介な敵を相手にしたのは今回が初めてなので確信が持てない・・・

 そんな事を考えながら俺はとりあえずフェル達に連絡を取る為に通信機に手を当てた所で周囲の状況に気が付く。

 ・・・戦闘が終わってない⁉

 周囲に目を向けると未だに第6の厄災のコピー達とフェル達による戦闘が続いている。

 そんな光景に驚いていると左肩の上の月夜が慌てた様子で後方注意の合図を送って来るので急いでその場から飛び退くと右肩に痛みが走る。

 怪我をした右肩を抑えながら攻撃された方を向くとそこには消し飛ばしたはず頭を再生させながら手を付き出してくる本体が立っている。


「嘘だろ・・・俺が倒した奴以外にまだ本体が居るのか・・・?くそ‼《オクタ・サイプレス・サーヴァント》」


 最悪な事を想像しながら再生していく敵の手足を吹き飛ばし、頭を切り飛ばしてからもう一度敵の頭を潰す。

 いくら殺しても死なない敵に対して不安に為っていると不意に通信機から声が聞こえて来る。


『心配いらないよ。ありがとう狗神君。そのまま頭を潰し続けてくれる?後は私の仕事だ』


 この場に居ない通信できるはずのない彼女の声を聞き俺は色々な疑問を追いやり少しだけ泣きそうになった。


此処までの読了ありがとうございます。

次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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