・・・バグキャラでしたか
おはようございます。
第151話投稿させて頂きます。
評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とてもとても励みになります。
楽しんで頂けたら幸いです。
『モード・ディフィージョン、フレイムエレメント‼』
そんな湊瀬さんの声と共に空中に一本の矢が放たれそこから無数の火で出来た矢が降り注ぎモンスターや厄災の尖兵にの体を射貫き、容赦なく燃やして命を狩り取って行く。
「うへ・・・相変わらず。えげつねぇ・・・吸収されてもエグさは変わらねえのかよ・・・故意では無かったとはいえ何てモンをコハクは夢菜の弓に取り込ませてるんだよ・・・」
片眼鏡を外し、コハクの眼の色に為った右目で単眼鏡を覗きながら空いている方の左目でフェルを見ると湊瀬さんの攻撃にフェルは双眼鏡を覗きながら複雑そうな顔でそんな事を呟いている。
「他の皆も随分動きが良くなったな。数ヶ月前とは大違いだな・・・流石、勇者というべきか・・・」
「うん??」
そんなフェル言葉に耳を傾けながら左目を閉じ、周囲を見渡していると空に一ヶ所だけ違和感を覚える。
訝しみながらその場所に集中して視線を向けていると徐々にその周辺に掛かっていた靄のような違和感が晴れて行き、ゆっくりと隠れていた敵がその姿を顕わしていく。
★
HP ?/?
名称:第5の厄災=ダチュラ
ランク:ミソロジー
特記:第五の厄災、すべての物に永遠に目覚めぬ悪夢を見せる
★
「フェル‼本体を見つけた‼」
それを聞くとフェルは今まで見せていた愛想の良い笑みではなく。獰猛な笑みを浮かべて口を開く。
「場所は‼」
「アライさん達の戦っている場所の上空、見た目は見えてるものと変わらない。距離は少し分からない」
フェルの問いかけに分かるだけの現状を伝える。
彼は獰猛な笑みを浮かべたまま通信機に手を掛けながら答える。
「位置さえ分かれば距離は問題ねぇ。アライちゃん‼敵の本体の位置が分かった‼《日輪》の本来の姿を使う‼その場に居る全員の退避と暁の国の幹部は受け取りの準備をしろ‼巻き込まれるなよ‼」
通信でそんな事を言うフェルに向かって現場で戦っている暁の国のアライさんや幹部達から非難の声が上がる。
『はぁ‼《日輪》を使うんですか⁉総員退避してください‼魔王様が自重を忘れて《日輪》を使います‼8年溜め込んだ《日輪》はやばい‼それとちゃんではなく僕の事は敬称無しで・・・』
『アライさん。そんな事を言っている余裕無いっす‼早く撤退しましょう』
『oh・・・crazyデース』
『総員撤退‼死にたくなければ全力で逃げろ‼』
『ひぃ~‼死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない‼』
『他の国の連中や勇者達にも伝えろ‼急げぇ‼』
『ちょ‼マジで馬鹿なんですかあの人‼』
『連絡してくれただけマシだろ‼おい‼そこのアンタ‼急いでベースキャンプまで戻れ‼』
『俺この戦場から生き残ったら結婚するんだ』
『良かったな‼めでたく死亡フラグが立ったぞ‼余計な事言ってないでとっとと走れ‼』
『勇者様方急いでください‼』
『え?何々?なんで皆、必死で逃げてるの⁉』
『理由は直ぐに分かります。お急ぎください』
・・・非難の声?ノー、暁の国の兵は皆、悲鳴を上げながら逃げているが正解だった。
えぇ・・・《日輪》の本来の姿を使うって言っただけなのに何でそんなに阿鼻叫喚に為っているの?他の国の人や勇者達は不思議そうな顔をしながら撤退している。憤怒の国の人達は物凄く不満そうだ。
叫び声を上げながら撤退している人達がモンスターを足止めして安全地帯に撤退したのを確認してから右手で大剣を持ち上げると剣の刀身を撫でながら口を開く。
「さぁ、《日輪》契約に従い。我が呼びかけに答え、その真なる姿で我が敵を打て」
その言葉を受けて巨大な大剣の形をしている《日輪》が複数の武器に別れ、安全地帯に逃げて来た兵士の方に向かって飛んで行く。
無数の武器が全て飛び去るとフェルの手には大剣の柄の部分だけが手元に残る。
その手元に残った柄を中心に炎が噴き出し、ツインブレードのような形に為って行く。
借りている右目で凝視していると《日輪》の情報が見えて来る
☆
名称:神滅剣日輪
刀匠:unknown
スキル:劫火の刀身、統一化、一体化、火炎吸収還元
特性:神殺し
クラス:ディバイン
特記:封印から放たれ悪しき神を殺す為に作られた本来の姿
☆
最初に見た時より随分細くなった《日輪》はまるで太陽の様に光り輝き周囲を明るく照らし、温度を上昇させていく。
その様子を見て危機感を感じたのか第5の厄災、ダチュラは花弁の中心に有る一つ目を忌々しそうに此方に向けながら逃げ出そうとしている。
アイツ、なんで攻撃してこないんだろう?
「フェル!アイツ逃げるつもりだ」
「問題ない。コハクの奴も早く解放してやりてぇし・・・最速で終わらせて貰うぜ。和登、しゃがめ‼」
そう言いながらダチュラに向けて炎の剣に為った《日輪》を振るう。
『総員‼しゃがみ込んで頭を守って気を付けてください‼』
『飛んで来る飛翔物にも気を付けろ‼』
通信機から周囲に注意を促すオウルとアライさんの声と同時にフェルが《日輪》を振り終えた瞬間、目を覆いたくなる様な閃光と爆音が周囲に鳴り響き、地上が大きく揺れる。
爆音が無くなり、揺れが収まるのを確認してからゆっくりと目を開けて第5の厄災の居た場所に目を向けると目を疑う様な光景が辺りに広がっている。
「・・・嘘だろ?」
第5の厄災が浮いていた場所には巨大なクレーターが開いておりその中心に花の用に為っていた部分が全て吹き飛び真っ黒になり目玉だけに為った第5の厄災が死んでいる。
クレーターの周辺のモンスターは爆発の余波で消し飛んでしまったのか跡も残っていない。
「生き延びた魔物は各個で処理しろ。俺とオウル、クリストのおっさん。あとアライちゃんと勇者達はこのまま第6の厄災を駆除する」
起きた出来事に唖然としていると先程よりも些か光と放っている熱が少なくなった《日輪》を持ちながら通信機に向けて淡々とフェルが指示を出していく。
そんなフェルに向けてアライさんから通信が返って来る。
『魔王様、少し自重してください』
この場に居る全員の言葉を代弁するかのセリフに俺は陰ながら同意するしかなかった・・・
此処までの読了ありがとうございます。
次回もごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。




