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こんにちは、研究材りょ・・・

こんばんは、第15話投稿させていただきます。

楽しんでいただけたら幸いです。

 子供達と別れて森の奥進むと急に空気の臭いが変わりました。爽やかな森の香りに生臭い血の匂いが混ざって来たのです。


「これはいよいよ少女の生存は絶望的ですかねぇ」


 そんな独り言をぼやいた私の目に信じられない光景が飛び込んできました。


「なん…ですか…これは…?」


 無残に喰い殺された少女の死体が転がっていると予想していたのですが、そこに有ったのは意外にも首を切り落とされ絶命している熊の死体でした。それ以外にも様々な死に方をしている熊の死体が転々と続いています。


「どんな魔法を使ったらこんなに綺麗な切断面で首を落せるというのでしょか?そしてこっちの死体は全身の血が凍っている。おそらく水の派生魔法でしょう。向こうは感電死でしょうか?水と風しか使えないと言っていた少女が雷の魔法を使っている?これは大変興味深い。どんどん死体を追って行きましょう。」


 少女の事も心配していましたが、私の興味はすっかり熊の死に方の方に向いてしまいました。

 死体を追って進んで行くと興味はもっと強くなっていきます。焼死している物、土が棘上になっておりそれに突き刺さって死んでいる物、心臓部に濃い焦げ跡の有る物、体の一部が腐り落ちている物と七つの属性を使えるとしか思えない様な死に方で転がっているのです。少女を無事に保護したら改めてこれらの死体を観察しに来ましょう。


「テ…ウ…ド・エ…」


 熊の死体を追いかけていると遠くから誰かの声が聞こえました。

 急いで声のする方に向かうと大きく開けた場所で少女が息絶えたイビルベアの前で右手を抑えながら何かぼやいているのが見てきました。

 素晴らしい…熊の死体を見た時からもしかしたら生きているのではないかと思いましたがまさか本当に生きているとは…さすがに無傷というわけにはいかなかったらしく右腕は折れているのか抑えていますし、背中には大きな裂傷も有りますねぇ。その他にも体中に小さな傷があるように見えます。

 とりあえず命に係わるような状態ではないみたいですね。イビルベアも倒したみたいですし、彼女に声を掛け一度村まで戻ることにしましょう。

 そう思い少女に声を掛けようと一歩歩き出した瞬間に少女になんか大きな物がぶつかり油断していた少女が吹き飛んで行って後方に有った大きな岩に叩きつけられました。

 驚いて少女の立っていたところに目を向けるとそこには死体になったイビルベアよりも大きい個体が居ました。恐らく隠蔽のスキルを持っていて、一気に距離を詰めて体当たりしたのでしょう。

 少女の方を見るとまだ息は有るようです。しかし、ダメージが大きいのか立ち上がれない様です。イビルベアの方を見て驚きを隠しきれないまま動けないでいます。

 そんな状態の獲物を見逃すはずもなくゆっくりともう一匹のイビルベアは少女に近づいていきます。

 なんということでしょう!ここまで来て私の大事な研究対象を殺すなんて許しません!

 少女の目の前に来たイビルベアに向かって最近創った魔法を詠唱を破棄して放ちます。


「ヘキサ・アビスホール」


 イビルベアの足元に真っ黒な穴が開きそこから無数の骨の腕が出てきてイビルベアに絡みつくとそのまま穴に引きずり込んで行きます。そして穴の中から血飛沫を上げると頭だけが放り出されました。いけませんねぇ、些か威力が強すぎたみたいです。これでは毛皮などは換金できそうも有りません。

 そんな俗物的なことを考えながら少女に近づき、息があるかを確認します。

 幸い、まだ息はありましたが最早虫の息で通常のポーションでは意味を成しそうも有りません。さらにまずい事に極度の魔力欠乏症を起こしているようで一刻を争う感じになっています。


「背中の傷は残りそうですねぇ腕もすぐには治りそうもないですが、まぁ、命があるだけ御の字と思ってもらいましょう。」


 そんな独り言を言いながらアイテムポーチに入っている液体の入った二本の小瓶を取り出し、少女の口に入れ少しずつ中の薬を流し込みます。

 こぼさないように注意しながら飲ませると早速効果が出てきたのか傷が消えていきました。やはり、このポーションは素晴らしい。とりあえず、傷が原因で死ぬという事は無いでしょう。

 同じ要領でエーテル薬も飲ませ、一通りの治療を済ませます。


「あとは、村の人達に任せれば大丈夫でしょう。しかし、やはり背中の傷は完全には消えなかったですねぇ。」


 腕もまだ完全には治ってないようですし、肉体の損傷が大きかったんでしょうねぇ。


「さて、彼女をどうやって学園に勧誘しましょうか…些か汚い手ですがここはやはり命の恩人というのを前面に押し出しますかねぇ。まぁ、それで駄目なら第二プランを使いましょう。」


 そんな事を呟きながら私は彼女の倒した熊を見ます。では、彼女を村に届けた後でこの熊達を一通り観察してからギルドに売りに行きますか。今回の不手際の着けを払ってもらいましょう。

 後々、この子を学園に入れるためにもお金は必要ですしね。


次回はまたコハクの視点に戻ります。

ごゆるりとお待ちいただけたら幸いです。


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