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第五、第六の厄災討伐戦・1

おはようございます。

第145話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とてもとても励みになります。

楽しんで頂けたら幸いです。

 さて、出来る限りの準備を終えいよいよ来なくても良い厄災が襲来する日が来た。

 予め決めていた勇者や女神の贈り物を持った聖騎士とそれ以外の衛兵を混ぜ合わせた10班に分かれ出現場所である外壁前に待機し、敵の出現を待つ。因みに残りの兵士や聖騎士は万が一、私達が抑えられなかった時の為に待機して貰っている。


「で?此処で待って2時間経過しているけど本当に来るのかよ。黄昏の魔王」


 敵の出現を待っていると隣で顔に大量の青痣や傷当てを付けた若い贈り物持ちの聖騎士が不満そうに声を掛けて来る。10個に分けた班の班長の一人だ。

 なぜ彼が青痣まみれなのかと言うと理由は簡単で少し前に黄昏の魔王()の実力が信用できないと抜かしたので身をもって経験して貰った。

 私の正体はこの国の上層部しか知らないから彼は私がコユキだって知らなかったんだよね。


「もうすぐ来るよ。てか、10分ごとに聞いて来るのをやめてくれるかな?集中力が削がれる」

「ちっ、こんな時に銀姫が居てくれれば安心だっつーのに・・・」


 私が冷たく答えると彼は気に食わなさそうに舌打ちしてそんな事を言う。

 いや、君の言う銀姫は目の前に居るんだけどね。

 ちなみに彼が私に刺々しいのは私に負けた後にメアからこってりと絞られたからだ。要するに逆恨みだね。


「ちょっと‼クレイ‼あんた援軍に来てくれているトワ様に絡むのをいい加減にやめなさいよ‼」


 私が若い聖騎士をあしらっていると黄緑色の長い髪をポニーテールにして同じ意匠の鎧に身を包んだ同い年ぐらいの少女が狗神君と一緒に此方に来る。

 ・・・狗神君と少し距離が近くないかい?


「な、何だよ。スイン。べ、別に絡んでた訳じゃねぇよ」

「嘘吐き。またメアニア様に怒られるわよ。トワ様、申し訳ありませんでした」


 私に頭を下げて来たスインと呼ばれた少女はさっきまで私が相手をしていたクレイと呼ばれた若い聖騎士の幼馴染で驚いた事に彼女も贈り物持ちの聖騎士だ。

 私は彼女の方を向くとクレイに向けていたより柔らかい声音で彼女に声を掛ける。


「いや、君が謝る事ではないよ。少しイラっとしたけども彼が落ち着かない気持ちも分かるからね。多分、そろそろだと思うから班の皆にも気を引き締める様に言っておいてくれるかい?」

「ハイ!すみませんでした‼ほら、クレイ行くよ‼」

「ちょ‼引っ張るんじゃねぇよ‼」


 一度私と狗神君に騎士礼を取った後、スインはクレイを引っ張って皆の所に戻って行った。

 彼等が立ち去ると狗神君が苦笑いを浮かべながら私の近くに来て口を開く。


「賑やかな子達だな。まぁ、俺達も初めて厄災と戦った時ってやたらとコハクに話しかけてフェル達に怒られたんだよな」


 その時の事を思い出し私も思わず笑いながら答える。


「ふふふ、確かにそんな事も有ったね。サイプレスの時には決戦直前で皆で騒いじゃったね・・・今回出て来るこいつ等を倒せば残り4体だよ。あと少しで狗神君達を元の世界に帰してあげられるよ」


 私の言葉で帰った後の事を想像したのか狗神君は些か微妙そうな顔をしながら口を開く。


「元の世界に戻るかぁ~、こっちに来て結構経つけど高校は確実に留年だろうな・・・」


 どうやら向こうに戻った時の事を考えて憂鬱になってしまっている様だ。

 まぁ、確かにもう何ヶ月もこっちの世界に居るし不安にもなるよねぇ・・・そこの所はレスナに要相談だね・・・

 何となく陰鬱とした表情に為ってしまった狗神君に私は話題変換も兼ねて少しだけ気になる事を聞いてみる。


「そう言えば狗神君はどんなお菓子が好き?」


 彼にペンダントのお礼にロケットの他にクッキーでも焼こうかと思ったけど、どうせなら彼の好きな物の方が良いと思い訊いてみると狗神君はキョトンとした顔をして答えてくれる。


「何か作ってくれるのか?それなら少し前に作っていた洋梨のタルトが良いな。前にたべた時に美味しかったから作ってくれるならまた食べたい」

「了解」


 仮面の下で笑いながらそう言い。そんな会話を終えた時にサイプレスの時に聞いたピシッという音が辺りに鳴り響く。

 私は表情を引き締め《カグツチ》と敵との相性の問題で装備している《クラミツハ》を抜きながらこの場に来た全員に声を掛ける。


「皆‼とうとう敵が姿を現す。最初に決めていた通り本体を倒すまで班員でお互いを庇いながら敵を抑えてくれ。敵の身体は切り飛ばさず攻撃をいなしたりして護る事に集中してくれ。奴等は本体を潰さない限り、切り飛ばした腕や最悪、飛んだ血の飛沫からも増殖する。無理をせず慎重に対応してくれ。敵本体の撃破成功及び失敗は通信機にて報告する。失敗の場合は即座に外壁の向こうに撤退し、防衛線に入る。きつい戦いになると思うが皆の力を貸してくれ」


 私の言葉に周囲から逞しい雄叫びが上がるそれと同時に空間の亀裂が開き中から身長7m前後の人型の実体が10体現れる。

 私は睨む様にして現れた人型実態を凝視する。


 ☆


 HP ?/?

 名称:第六の厄災=ガマズミ

 ランク:ミソロジー

 特記:第六の厄災、すべての命を喰らいつくし、世界に残るは彼の者一体。


 ☆


 いつも通り敵の情報を確認すると私は全員に向って声を掛ける。


「総員!作戦開始‼誰一人欠けるなよ‼」


 その言葉を最後に私は二本の剣を構えてガマズミに向けて走り出した。


此処までの読了ありがとうございます。

今回から数話は討伐戦です。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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